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閑話 毎日は楽しいけど、休暇も必要! 

 明日に筆記試験を備えた朝。昨日は肉体的にも精神的にも疲れていたからか、ベットに腰掛けた瞬間、睡魔が襲って来て、そのまま寝付いてしまっていた。

 そのおかげか、今日はスッキリと目覚た。


 「……さて、目が覚めたのは良いが……どうしたものか。ま、とりあえず、朝食だな」


 俺は手探りで寝癖を直し、アイテムボックスから先日雑貨屋で買った服を取りだし、身を包む。アイテムボックスは温度は勿論、鮮度や時を止めた状態で保存が可能なのだが、買ったのが夕方、たまにはとギルドに隣接している酒場に外食しに行った帰りだったため、服の生地が朝の空気より少しひんやりしていたが、暑がりな俺には心地が良かった。


 着替え終わり、いつも通りに食堂で朝食を食べた。いつもなら直ぐにギルドへ直行するのだが、明日の筆記試験の事で頭が一杯なのでレモン水(自作)を飲みながらどうしたものかと、ボーッとする。


 そんな俺を不思議に思ったのか、他の冒険者も出掛けて落ち着いて来た頃に、女将さんが話し掛けてきた。


 「どうしたんだい? 浮かない顔して……彼女にでもフラれたのかい?」


 「そもそも彼女なんていませんよ……冒険者のランクアップ試験が明日なんですけど、変に緊張というか不安なんですよ……考える様な問題は無いって言われてるんですけどね」


 気楽にやれ、と言われても、どうしてもため息しか出ないのは俺だけでは無いと信じたい。俺は大きくため息をついて、一気にレモン水を飲み干す。

 

 「出掛けるのかい?」


 「ええ。気晴らしに。街の中は人が多いので、適当に依頼を受けて狩りにでも行こうかと。普段通りが一番って言いますからね――あ、お弁当は今日は遠慮しておきます。特に長くは出ないので」


 「あら、そうかい。残念だねぇ」


 女将さんは少しがっかりした様子。緊張の所為か、あまりお腹が減っていない。

 俺は席を立ち、外へ向かおうとする。


 「あ、ちょっと待ちな! 東の森にある小川……少し奥に在るけど、その上流に行ってみるといいよ。綺麗な所でね。きっとリラックス出来ると思うよ」


 東の森――ロード・ウルフを倒した所か……あの岩場より奥となると、結構遠い気もするが……」


 俺は少し考え、行ってみる事にした。女将さんにお礼を言って、その場を後にする。めんどくさいので依頼は受けない。


 グラフィルさんに軽く挨拶して門を出る。

 「昨日の試合見てたよ」と笑顔で言われた……正直、昨日はどうかしていた気がする。今思い返すと、赤面待ったなし位には……。


 だが、今日は風が強く、寒いわけでは無いのだが、直ぐに顔を覆っていた熱気が飛んでいった。

 

 東に少し歩き、森に入る。そこからしばらく歩いて、岩場までたどり着く。ここまで二十分弱程だ。

 大岩の裏に周り、そこを背に四、五分歩いた。


 たどり着いたのは小さな小川。横幅は俺が横になって丁度程なので、一・六メートル程度。水は澄んでいて、木漏れ日をキラキラと反射している。小魚っぽい影も見える……。


 もうここで昼寝すればリラックスには十分な気もしてきたが、上流には何があるのだろうかという好奇心に背中を押され、進む――。

 

 







 たどり着いたのは小さな泉だった。


 当然と言えば当然だが、水は澄んでいてキラキラしていた。俺は近くの木の下に腰掛け、木にもたれ掛かった状態で、目を閉じ、水、葉の音を聞いているうちに、いつの間にか夢を見ていた――。



 

 「――んっ……ぅあ?」


 起きると、辺りは薄暗く、上を見上げると空は橙色に染まっていた。


 「もうこんな時間か……」


 俺は立ち上がり、伸びをする。先程まで、何かの夢を見ていた気がするが……思い出せない。


 もう暗いので、森で迷わないように帰りは文字道理に吹っ飛んで帰った。


 今回の反省点は着地だった。『フライ』で上に上がって、大体の方向に『エア・プロテクト』、『バースト』で吹っ飛ぶまでは良かったのだが……。

 今度からは地面に近づいたらレジストで()()()()を無くすのでは無く、フライで()()を無くそう……。


 何事かと、突如爆発した地面を見に来た街の警備員に囲まれながら、俺はそう痛感した。


 

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