楽しくても、勉強って同じ事の繰り返しだよね!
昨日はこっぴどく叱られたが、これしきの事でめげるタシューさんではない。……俺? 俺はもうあんなことはしませんって約束をしたからなー。
ということで現在、危険な魔法の勉強ではなく、歴史を教えてもらっている。
「そうそう、この初代セルカトブルド王は、当時あった3つの集落をまとめあげた。いがみ合っていたそれぞれの集落の矛先を他種族に擦り付けてね。僕はあまりこだわりはないけど、あまり人前……特に異種族の前ではこの話はタブーだ。見に覚えのない……それこそ外見的な事から、差別に至り、それが戦争の火種になり、それが未だに根に持っている種族がほとんどだからね」
「でも、母さんや父さんのように……知らないけど母さんの両親も結婚してるけど、エルフとは関係ないの?」
これが駆け落ちしての結果だったら将来的に狙われたりしそうな気がするのだが。
「うん、いい質問だ。エルフ族とも、最初は他の種族と同じく嫌い合っていた。しかし、今の代のセルカトブルド王はこれを良く思わず、エルフとの友好を図った。その結果、君のお父さんとお母さんは巡り合って君が生まれた。いわば政略結婚って奴だよ」
「へー」
よかった。普通に。
「それを良く思っていない貴族が王に不満を抱いている、っていう噂もあるけどね」
よくなかった。普通に。
「そろそろお昼なのでご飯にしますよー」
母さんの声が聞こえて、「行きましょうか」と、タシューさんと手伝いに行く。
タシューさんは基本的に住み込みで教えてくれている。とはいっても午前と午後に二時間ずつ教えてくれるだけなので、余った時間は自分の部屋で研究しているらしい。
「レティアさん、レト君の魔法のこと、本当に駄目なんですか?」
タシューさんが食べ終わって一息つくと母さんに訊ねる。
「ええ、だめです。レトが十三歳になるまでは魔法は禁止……と言いたいところですけど、流石に普通の魔法ならいいですよ」
「ありがとうございます。今後は常識の範囲内で教えていきますので」
軽く雑談したあと、午後からは外で魔法の練習をするため、頑張って直した(タシューさんが)平原に向かう。
「よし! じゃあ、魔法の勉強を始めましょう。この前は少し焦りすぎてましたからね」
と、タシューさんは笑う。
「まずは魔法について教えていきます。魔法とは、属性魔法と固有魔法。珍しい物で精霊魔法という主に三つに分けられます。精霊魔法は置いておきましょう、僕が使えないので……。属性魔法ですが、簡単です。レト君は魔力を認知出来るようなのであとはイメージと詠唱さえ出来れば、魔法を使えます」
若干興奮気味に説明してくるが、精霊魔法を使えないと言った所は落ち込んでいた。かんじょうの波というか切り替えが早いようで、すぐにいつもの楽しそうないたずら心を目に宿す。
「魔法って覚えるのが難しいんじゃないのですか?」
強欲の書でそんな文を読んだ記憶がある。
「いや、魔法が難しいといわれているのは単に魔力を感じることが難しいからなんだ。その壁さえ越えられるのなら、誰にだって使える。向き不向きはあるけれどもね」
確かにそんな感じだった気がする。
「固有魔法はユニークスペルとも呼ばれていて、身体能力を上げる物や魔法を合わせた二次魔法、三次魔法等も含まれる。三つ合わせると二次、四つで三次になる」
「二つだと、固有魔法にはならないのですか?」
「ならない。そもそも固有魔法は特技を極める事で、魔力を使ってより大きな結果に出来るという物だから稀ではあるけれど、二つを合わせる……二重詠唱する人はいるからね。しかもユニークスペルが詠唱に入っていないと固有魔法にはならない。ということで固有魔法はおしまい」
二重詠唱というのも気になるけれど、それより……。
「タシューさんは固有魔法を持っているのですか?」
「ふふふ、それは秘密だよ。寝首を掻かれたくないなら君も奥の手は隠して置くのがいい。見せても悟らせるなってね」
「はぁ、分かりました」
人差し指を上げて、一の手を作りながら注意して来るが、目は笑っている。
「少し長くなってしまったかな? 次で説明は最後。属性魔法だね。最も一般的で魔法の代表とも言える。属性魔法はその名前の通り、いくつかの属性から成る。火、水、土、風、光、闇、無の七つがそれに当たる。
これからは適当にレト君に向いているものを探して、教えていく予定だけど、何か質問はありますか?」
「えっと、ないです」
「じゃあ、始めて行きましょうか――」
それからは、午前に勉強、午後に魔法の練習。たまに研究に協力をする。
そんな毎日が過ぎて行き、七年が経った――。




