魔法
説明が長いかもしれないです。
――ウルス大森林。そこはエリエスの街から東に10キロ程行ったところにある広大な森だ。あまりにも広過ぎて未だに全容が把握出来ていないといわれている。
式人の今回の依頼はその広大な森の中からグレートモンキーを討伐することである。Sランク冒険者に相応しくないと思う者もいるのだが、実はグレートモンキーはウルス大森林にしか生息していないのである。別にウルスモンキーでも良かったのではないかとも思うだろうが、ウルスモンキーは動物として存在している。
このグレートモンキーはとても賢い。そのため森の地形を上手く使って群れで襲ってくるのだ。だからこそ、グレートモンキー討伐はAランクの依頼となり、エリエスのような小さな街にいる高ランク冒険者は式人だけだったので、式人に白羽の矢が立ったという事だった。決してイーリスが腹いせに押し付けた訳ではない。
「相変わらずここは広いな」
式人はそんな森の中を真っ直ぐに歩いていく。迷っている様子は無く、ただ只管真っ直ぐ進んでいる。
「この先にグレートモンキーがいるはずなんだがな」
何故そんな事が分かるのかというと、魔法を使っているからだ。
――魔法。それは体の中にある魔力というエネルギーのようなものを体の外に放出することで、世界にあらゆる現象を具現化させる力の事だ。
基本的にこの世界――アーレスという――の人間は誰でも魔法が使える。差が生じるのは魔力の量だ。魔力が多ければ多い程威力にも差が生じる。だからと言ってそれで優劣がつく訳では無い。魔力が少なくても完璧にコントロールした者が魔法を使おうとするならば、魔力がコントロール出来ていない者よりも遥かに高い燃費の良さで魔法が使えるのだ。
また、魔法には属性が存在し、火、水、風、土、光、闇、無の7つがこの世界における属性という概念である。この属性は適性検査によって使える魔法属性が分かれてくるのだ。
式人が今使っている魔法は無属性魔法『探索』。この魔法は広さは術者にもよるが、自分の周りの様子を球状に索敵出来るというものである。この魔法、実は使い勝手が良く、探す対象を任意で設定出来るというとても利便性が高い性質がある。この魔法でグレートモンキーを見つけていたのだ。すると、
ガサガサ、ガサガサガサ、ガサガサガサガサガサガサ!!
「来たか。やっぱり多いな」
『探索』で既に見つけていたとはいえ、群れで襲ってくるため数が多い。その数は優に20を超えている。それらが一斉に襲い掛かって来た。
「まあ、いいや。お前らが俺のことを舐めているうちに片をつけさせて貰おうか」
「キキイィーーーーーー!!」
式人は腰を深く落とし、腰に差していた刀を握り体を回しながら一気に振り抜いた。
「第二の型『円閃』」
式人が振り抜いた刀を鞘にしまった瞬間、すべてのグレートモンキーが断末魔のような悲鳴を上げながら体が上下に分断された。刀を差し直した式人はふぅ、と息を吐き、
「しかし、どうすっかなコレ」
と言って周辺を見た。そこには半径10メートルにも渡り、木という木が切り倒されており、地盤が削れて軽くクレーターが出来ている。
「やりすぎちまったかな」
式人は多分に自嘲が混ざった声で呟いた。




