依頼
「次の依頼はグレートモンキーの討伐です。」
「また討伐系ですか。ていうか討伐系の依頼ほとんど俺に押し付けてません?」
「いえいえ、そんな事ありませんよ。シキトさんの実力を鑑みた結果です。そもそもSランク冒険者に薬草採取とか任せるとか、人材の無駄です。もちろん採取系の依頼を蔑ろにしている訳ではありませんが、適材適所というものがあるのですから。変な事言わないで依頼行ってください。」
「分かりましたよ。それで場所は?」
「エリエスの街から東に行ったところにあるウルス大森林です。」
「ウルス大森林ですか。あそこ無駄に広いんですけど。」
「そうですね。端から全部見ていけばグレートモンキーの1匹や2匹ぐらい倒せるんじゃないですか?」
「・・・」
そうにこやかに告げるイーリスの目は一切笑っていない。式人は冷や汗をダラダラと流しながら、イーリスを見る。
「どうしましたシキトさん。まるで親に叱られてるけれど、何が悪かったのか分からない子供みたいな顔してますよ?」
「いや、あの、どうしてそんなに怒ってるんですか?」
「私は怒ってませんよ。ええ、たとえ依頼を受ける度に何かしでかしてギルドに多大な負担を与えてるSランク冒険者が居たとしても私は怒りませんとも」
「・・・」
式人はもう何も言えなかった。主に恐怖で。よく見るとイーリスのいる机の脇に胃薬の様なものが置いてあるのが見えた。というかほぼ全ての受付嬢の机に胃薬が置いてあり、奥には箱詰めされている胃薬が見える。それを見た式人は自然な動きで土下座した。
「すいませんでした!」
それを見たイーリスはふぅ、と息を吐くと式人に
「今度ご飯奢って下さい。なるべく高級なものを」
と言った。式人は何故?とも思ったが、許してくれると言うのでそれを了承した。が、
「イーリスったら自然な流れでシキトさんをデートに誘ったわよ。大胆ね」
「落としてから上げる戦法かしら。イーリスも考えたわね」
という会話が聞こえてきた。イーリスは顔を真っ赤にし式人を見るが、当の式人にも聞こえてたであろう癖に真顔で
「イーリスさん顔真っ赤ですよ。大丈夫ですか?」
と宣い、とうとう堪忍袋の緒が切れたのか
「さっさと依頼に行きなさい!」
「は、はい!」
と式人を追い出した。その後イーリスはゆっくりと後ろを振り向き「ちょっと裏に行こうや?」と同僚に目で語りかけ、同僚は涙目で頷いていた。
式人がギルドの外に出たあと、ギルドの裏から悲鳴が聞こえてきたので式人は何だか気の毒になった。




