アルバイト
パン屋でのアルバイトの依頼を紹介された式人はパン屋『ベーカリー』の前にいた。
「ここか?」
そこはどう見ても冒険者に依頼する必要が無さそうな、でかいパン屋だった。今は準備中の札がかかっているが既に並んでいる客らしき人がちらほらいるようだ。式人は店の裏に周り裏口から入った。
「すいません、依頼を紹介された冒険者ですが」
「ああ、いらっしゃい。依頼を受けてくれるなんてありがたいね。私は店長のヤナだ。早速で悪いけど仕事に入ってくれるかい?」
「それはいいんですが、具体的に何をすれば?」
「私がパンを焼くから、君は店員として会計やパンの品並べをして欲しい」
「分かりました」
「では、準備が出来たら店を開けてきてくれ」
式人は店の服を借りて着替えるだけで特に準備することはなかったので、準備中の札を取り店を開けた。
「『ベーカリー』開店です」
すると、ちらほらいた客らしき人達が一斉に店に押し寄せてきた。それだけで店の中は半分程人で埋まってしまった。それほど混むと会計も大変なのだが、何故か式人以外に従業員が全くおらずレジも3台程あるがほとんど意味を成していない。そんな中で会計をするとなると必ず順番待ちが出来てしまうが流石Sランク冒険者。自分の能力を活かしてできるだけ早く袋に詰めていく。計算も足し算だけで、この世界に来るまで学校に通っていた式人には簡単だった。
「ありがとうございました」
遂に店の客を捌ききった式人は店を見渡すと、ありとあらゆるパンがすっからかんになっている。開ける前は沢山あったはずだが、今は最初の客だけでほぼパンが無くなってしまっている。するとちょうどいいタイミングで、
「おーい、君! 新しいパンが焼けたから持って行ってくれ。場所はどこでもいいぞ」
「了解です」
焼けたパンは最初にあったパンと同じような量で、どのようにしてこんなに焼いたのか気になったが今は仕事中だとその考えを捨ててパンを並べていく。適当でいいと言われたがどうせならと最初と同じ位置に並べることにした。並べ終わったところで、
「パンはあるかい?」
と新しい客がやって来た。
「今出来たてですね」
「ああよかった。いつもはもう無かったりまだ出来てなかったりするからちょうどいい」
「お好きなパンを選んでください」
「そうだね。どれにしようかな」
客が悩むこと数分、どうやら決まったようでレジに持ってきた。
「全部で120Aになります」
「おや、そんなもんか。はい。これでちょうどかい?」
「はい、ちょうどですね。お買い上げありがとうございました」
「君は今日アルバイトかい?」
「ええ、今日だけですが」
「そいつは残念だな。君みたいに計算が早くて仕事も早い人がいてくれたら、こっちも助かるんだけど」
「そうですね・・・。店長が決めることですので」
「それもそうか。じゃ、君が明日もいることを期待してるよ」
「またのお越しを」
そして、それからの仕事も十分にこなした式人は一日アルバイトを終わらせた。
「いや、助かったよ。従業員皆ぎっくり腰とか風邪とかで今日全員来られなくなって焦ったよ」
それは、バックレたのではないだろうか。と思ったが言わぬが花というやつだ。式人は黙ってることにした。
「もし君さえよかったら、明日からも働かないかい?」
「俺は冒険者なんですが」
「分かってるさ。だから君がこの街にいる間だけでいいんだ。報酬もちゃんと出す。どうだい?」
「俺でいいのなら」
「本当かい? 助かるよ。じゃあ、明日からもよろしく頼むよ。時間は今日と一緒でいいよ」
「分かりました。こちらこそよろしくお願いします」
何故かパン屋にスカウトされた式人は明日からもパン屋で働くことに決めたようだ。臨時アルバイトという立場だったが。
すいません、昨日まで家のことでバタバタしてまして書く時間が取れませんでした。これからも間が空きます。作者はそろそろ春休みが終わってしまうので更に時間を取ることが難しくなりますが、なんとか更新していきたいと思います。これからも読んでいただけたらいいなと思います。




