表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/52

その日の夜

すみません、今日は一話更新になってしまいます。

 準備をすると言っても式人が出来ることは少ない。精々盗賊が来る方向や、村人が集まった場所を一望出来る場所を探すくらいだ。前者はアレクから村の入り口から堂々と入って来ると聞いたので、これは問題ないと判断した。しかし後者は明日にならなければ村人がどのように集まるのか、どの程度の人数がいるのか分からない。そのためこちらは保留とした。これで式人に出来ることは終わってしまったので今は何もすることが無く、暇そうにしていたルナに構っている状態だ。


「お兄ちゃん、おままごとしよう!」


「おままごと? まあ、いいか。それで、俺は何をすればいい?」


「お兄ちゃんはルナの旦那さん役!」


「お、おう」


「じゃあやるよ!」


 そう言ってルナは役を演じ始めた。だが、


「ちょっとあなた!? こんな時間まで何してたって言うのよ! 私が夕食作って待ってたっていうのに、あなたはどうしてそうずぼらなのかしら!」


「うるせえなぁ。こっちは上司との飲み会で疲れてんだよ。文句なら後にしてくれ」


「何よその態度! 飲みに行くなら行くで連絡ぐらい入れなさいよ!」


「そんな暇が無かったんだよ。お前も俺がこの時間まで帰ってこなかったら、飲みに行ってることぐらい分かれよ」


「そんなこと言って前に先に寝てたら叩き起こしてきたのはどこの誰ですか!」


「あれは残業があるって連絡入れただろ。残業のときは作っておけよ。・・・・・・・・・ねえ、もう止めない?」


「何よその理屈! ・・・・・・え?」


 これはもうおままごとではなく、もはやただの昼ドラだ。そんなことをしていたからか周りから変な目で見られていた。そんな視線に気づいていないルナは不服そうに式人を見て


「何で止めちゃうの」


「いや、これ、おままごとじゃないよ」


「おままごとだよ?」


「何でこんなにドロドロしてんの。本当にルナは10歳か?」


「ルナはもう10歳だよ!」


「そ、そうか」


 10歳で果たしてこれだけドロドロした人間関係のおままごとを演じようと思えるのかな?と式人は考えながら立ち上がった。


「お兄ちゃんどこ行くの?」


「ちょっと散歩」


「じゃあルナが案内してあげる!」


「お、ありがとう」


 すっかり懐かれたな、と少し懐かしそうな目でルナを見る。式人に見られたルナは首を傾げていたが、式人が歩き出すとルナも歩き出した。


「この村では何が名物だ?」


「鹿だよ。この村の周りに鹿がいっぱいいるから」


「でも今は食糧がないから体力がつかず、結果鹿を狩りに行っても逃がしてしまう、と」


「うん。この村には野菜もあったんだけどそれも取られちゃったから、何にもないんだ」


「そうか」


「お兄ちゃん、明日はどうなるの?」


「さぁな。なるようになるとしか言いようがないな」


「そっか」


 それから二人は静かになり、そのまま村を一周してからルナの家に戻ってきた。


「ただいま〜」


「ただいま戻りました」


「おう、おかえり。それで?」


「それで、とは?」


「とぼけるんじゃねえぞ。娘とデートしてきやがって、楽しくなかったなどとほざくつもりじゃねえだろうな」


「パパ!?」


「デートではありませんが、楽しかったですよ」


「お兄ちゃん!?」


「何だとぉ?」


 父は情緒不安定で、娘は驚いてもはや叫ぶだけしか出来なくなっている様子を見て、この家族大丈夫かな、と式人は心配になった。


「そろそろ二人とも落ち着きなさい。シキトさん、夕食を食べていかない?」


「いえ、俺は俺であるので大丈夫です」


「あら、心配しなくても大丈夫よ一人分くらいの余裕はあったから。少ないけどね」


「・・・それじゃあお言葉に甘えて」


「うんうん。そうしなさい。若い子が遠慮なんかしちゃいけないわよ」


 そして招かれた食卓には本当に少なかったが、家庭の味とも言えるような感覚を覚え、かつて仲間と共に火を囲い夜に騒ぎながら夕食を食べたことを思い出す。どれくらい懐かしんでいたのだろう。いつの間にかルナの母――シアの腕の中にいた。


「あなたが何を抱えているのか分からないけど、ここを自分の家だと思っていいのよ。あなたはまだ若いのだから」


 明らかにシアも若く見えるのだが、女性に年齢を聞くのはタブーだと知っている式人は聞かなかった。恐らく懸命な判断だっただろう。

 気づくとアレクとルナがものすごい形相でこちらを見てきていたので式人はすぐに抜け出した。


「さあ、明日は忙しいのだからもう寝ちゃいましょう。シキトさんは、寝る場所どこにする?」


「俺はあるので、大丈夫ですよ」


「そお? なら大丈夫ね。じゃあおやすみ」


「シキトさん。明日は頼みます」


「お兄ちゃん明日頑張ってね」


「ええ、おやすみなさい」


 こうして夜は更けていき、式人は外に出て収納袋からテントを取り出して中に入り込んで、早めに寝ることにした。

明日も一話だけでも更新できるように頑張ります。ところで一話更新か二話更新どっちがいいんですかね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ