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「依頼といっても今回はギルドを通していないので、これは非公式の依頼です。本来は禁止されていますので、あくまでたまたま俺が通りがかった村を襲っていた山賊を討伐した、という体でいきます。なのでその事を弁えておいてください」


 そう、これはギルドを通していないため正式な依頼とは認められず非公式の依頼となる。そして非公式の依頼を受けることは本来禁止されている。理由としてはギルドが把握出来ないことにある。

 もし非公式の依頼でもランクが上がってしまうならば、わざわざギルドを通さなくても頼まれたからという言い訳が通じてしまうし、何よりギルドの存在している意味がほぼ無くなりギルドはランクを上げる手続きをしてくれるためだけの組織となってしまう。


 もちろんこれには例外がある。それは冒険者が居た街や村が盗賊や魔物に襲われた場合だ。この場合ギルドを通している余裕なんてものは襲われている側にはないのだから、その場にいた冒険者に頼るしかない。そして頼られた冒険者が依頼を断ることはほとんど無い。もし依頼を達成したら沢山の人からの信頼を一気に得られるからだ。そしてそれはランクを上げるためには重要なファクターだ。

 しかしこの例外は()()()()()()()()()()()()()()。よって式人はこの村が襲われるのを待つしかなく、自分から手を出すことはできないのだ。


「次に山賊が来るのはいつですか?」


「明日の昼頃です」


「間に合うのですか?」


「間に合いません。なのでシキトさんには誰かが殺される直前で入ってきてもらいたい。」


「誰かが、ですか」


「そうです。当日は村の皆が入り口に集まって奴らを迎え入れるのが決まりになっているんです。だから、もし誰かが殺されそうになってもすぐに分かると思いますので、そこに割って入って欲しいのです。」


 ルナの父――アレクはそう言って式人を真っ直ぐ見つめた。式人を見るアレクの目はとても力強く、それは式人を納得させるのに十分だった。


「分かりました。ですが村の人達にはその事を伝えないで下さい」


「何故ですか?」


「もし助けが来ると皆が知っていたら逆に山賊に喧嘩を売ってしまうかもしれないからですよ。そうなった場合山賊は必ず大人数で村を襲います。俺はそれを全て防ぐことはできませんので、村の人達には黙っておいてください」


「なるほど、分かりました。それとルナのことなのですが、どこかに隠しといてくれませんか?」


「俺が山賊を殺すところを見せたくないんですね?」


「その通りです。出来ればでいいので一緒にいてもらうか、気絶させてどこかに匿うかして山賊に見つからないように、お願いします」


「そっちも分かりました。それじゃ一つ頼みがあるのですが、よろしいですか?」


「何でしょう?」


「水を一杯貰えませんかね?」


「・・・・・・はい?」


 式人からの頼みだ。どんな内容が来るのかアレクは待ち構えていたのだが、あまりにも普通の内容で拍子抜けしてしまった。式人は元々水を貰うつもりでこの村に来たのだ。連れて来た本人は母親と一緒にどこかへ行ってしまったが、もう限界だったのだ。水を貰えて満足そうな式人と、どこか複雑そうな表情のアレクの何とも言えない空気の中にルナと母親が帰って来たためどこか締まらない感じで打ち合わせは終わり、明日の山賊に備えるために式人は準備をすることにした。

明日から更新出来るか分かりません。もし楽しみにしてくれてる方が居たなら、ごめんなさい。作者が無能で文才がないため更新が滞ります。

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