9.夜の攻防戦
私が使った中位回復薬を見て、大人組(錬金術師のクレフさんとケビンさんのおっさんパーティー)が目の色を変えて詰め寄ってきた。
もちろん、捕まえたりとかそういうのはなし。でも、逃がさん!! ってことだけは、顔に出てたよ。
聞けば、今、この国全体でポーションが深刻な品不足になっているそうだ。それも、これも、ここ何年も続いている戦争に、一般のアイテム職人やポーション職人が強制徴用されて市場に出回らなくなっているから、とのこと。
アイテムは大事に使えば持つし、そもそも高価だから今のところ影響は限定的。まぁ、値上がりはしてるみたいだけど。
ただ、薬はそうはいかない。使いきりで、万一を考え予備も種類も複数持つ。一般市民も、神官にかかるよりは安価だから使う人間も多い。
ついでに回復薬から解毒剤、各種解除薬と必要になる種類も多い。
徴用を免れた冒険者や、冒険者ギルドお抱えの職人がせっせと作ってはいるけれど、絶対数が足らないらしい。
冒険者はそもそも自分用が優先で、お小遣い稼ぎくらいにしか考えてないらしいし。
そんな中、かすり傷でほいっとポーションを使ってごらんなさいな。
こいつは何者だ!ってそりゃ、なるわねぇ。
あはは、下手打った。
という訳で、お花組を威嚇しつつ、私の尋問が始まった。まずはさっきの件を再度平謝りしつつ、何故ポーションを持っているのか、から始まり、作れるのか、どうして徴用されないのか、等々。
「ポーションは母が作った物です。旅に出る時に、持たせてくれました。
流れ者なので、どこの国にも所属していません。だから徴用もされません。
ようやく冒険者ギルドに登録出来る年になったので、最寄りで登録しようと思ったのですが、両親から手紙を渡されて、昔お世話になった方に相談するようにと言われました。
ですので、今は旅をしています」
って感じで答えた。嘘は言ってないよ? 真実の全てでもないけどね!
ポーションが作れるのは言わなかった。
大人組だけなら話しても良いけど、お花組がね。
ローポーションくらいは作れるって言っておいた方が無難かな?
悩んでいると、クレフさんが問いかける。
「お嬢さん、お母さんが熟練の薬剤師なら、お嬢さんもポーション作成を教えられているはず。ローポーションくらいは作れるのかね?」
質問ではなく確信を持った問いかけで、誤魔化せないかな、と覚悟を決める。
脳内に浮かび上がるこの世界の常識によると、子供は親の能力を引き継ぐことが多く、特に職人と呼ばれる作成者の子供は能力の強弱はあれ、皆、作成技能を持つ。中位回復薬を作れる薬剤師は職人に分類される。
しかもポーション作成技能者は食いっぱぐれのない技能だ。誰でも才能さえあれば、ローポーション作成くらいは、最低限覚える。
「ええ、一応何とか、ローポーションと、いくつかの薬は作れます。経験は少ないから数は期待しないでください」
苦い声で低く答える。言外にこれ以上は詮索するな、という空気を滲ませた。
これ以上突っ込まれたらボロが出る可能性がある。しかも、品薄の未成年技能者。警戒はしておかなくては。
この世界には奴隷狩りがあり、身内のいない子供は格好の餌食だ。
「ああ、すまんの。立ち入った事を聞いた。悪気はないのじゃよ。
ところで、そっちのケビンたちはデュシスがホームでな。今回は商隊の護衛ついでに、この依頼を受けているが、終わり次第デュシスに帰ることになる。
儂も普段はデュシスの町のひとつ手前、ケミスの町がホームじゃ。お嬢さんや、良ければ境界の森の入口で少し待っていてくれんかね?
なに、簡単な調査だけじゃ、半日程度で終わるじゃろう。
儂らは馬車がある。ここから、境界の森まで戻ってもらうことになるが、遅れはすぐに取り戻せる。どうじゃろう? 考えてみてくれんかね?」
しばらく押し問答して、しぶしぶ同行を受け入れた。決め手となったのはクレフさんの
「町に入るとき、未所属でしかもポーション作成技能持ちとバレたら、その場で強制徴用じゃよ。熟練冒険者の連れなら、見習い冒険者だと言いはることが出来る。
儂はケミスの町までだが、ケビンが安全にデュシスまで連れてってしんぜよう。のう、ケビンよ。」
という一言だった。それでも、警戒を解かない私にピンと来たようにクレフさんは続ける。
「もし、お嬢さんが奴隷狩りでわしらに売られる事を心配しているなら、それは無用じゃよ。(こそっと……お嬢さん、テリオ族じゃろ?テリオの民を奴隷に落とす。そんな度胸はわしらにはない)」
種族を当てられて、また戦闘モードのスイッチが入るのを止められない。
ケビンさんが目付きの変わった私の二の腕を軽く叩く。
「落ち着け、お嬢ちゃん。長く冒険者で生き残ってる奴等なら、(テリオの)見分け方くらい知っている。まぁ、ギルたちは知らんかもしれないが、ヤツラとは次の町で別れる。問題はないだろう。
お嬢ちゃんがあいつを嫌っているのは知っている。次の町まで我慢してくれないか?
接触は最低限で済むようにする。」
「なぜ? そこまで……」
素朴な疑問。この人たちは私に親切すぎる。
「お嬢ちゃんは冒険者希望のポーション作成技能保持者だ。なら、デュシスで冒険者になってくれりゃぁ、俺たちにもポーションが回ってくる可能性がある。
それに、さっきの馬鹿野郎の詫びでもある。気にするな」
そう言いつつ、離れた所に固まりこちらを窺う花組を睨み付ける。
花組と私たちの間には、ケビンさんパーティーの面々が陣取っている。
庇護欲に火でもついたのかな? 全員が花組を監視しているようだ。
でもさ、これ、不味いんじゃないかな。これから協力して依頼を片付ける予定なんだよね? 敵対してどうする!?
「え、いや、でも、めいわ…… 」
反論をことごとく封じられ、しどろもどろになる。
「決まりじゃな。基本的にはお嬢さんは儂と一緒にいてもらおう。
森の入口で待っていてもらうことになるが、儂が作る魔物避けの香でも焚いておけば、安全じゃろう。ついでに、馬車の見張りも頼めると嬉しいのう」
最後は強引に決められて、あれよあれよという間に、夕飯が振る舞われた。
お花組とケビンさんパーティーは少し離れた、それぞれの焚き火で無言で食事をしている。
私は、クレフさんと馬車の後ろに腰かけてのんびりと食事中だ。
夕飯は、硬いパンに、塩がキツイ干し肉を草原に自制する野草と一緒に煮込んだスープ、ドロップ品のウサギ肉を焼いたものだ。ウサギ肉は私が出して焼いた。スープはお花組が大鍋で作っていたものだ。
ケビンさんたちは、鳴子の罠など簡単な警戒装置の設置に忙しそうだった。
クレフさんと錬金術やここの辺りによく出る魔物の種類、食べられる草についてなどの他愛ない話を小声でする。
雰囲気、最悪。
耐えきれなくなって、クレフさんに謝る。
「クレフ様、なんだか、私が同行するせいで申し訳ありません。こんなにギスギスするなら、やはり、多少危険でも、私は別行動を取った方が良いのではないでしょうか……?」
「ティナちゃんや、気にせんでええ。元々、雰囲気は悪かったんじゃ。
ギルのパーティーはまだ若いからのう、どうしてもケビンたちとは合わん。
それでも、まぁ、お互いにBランクとCランク、一流に片足を突っ込んだプロじゃから、当たり障りなくやっておったがのう……。
ま、戦闘となれば、お互いに命懸けじゃ。上手くやるじゃろ」
しょっぱい顔のまま、クレフさんはそう締め括る。食事の前に私の事はティナと呼んで欲しいと伝えたから、今はお嬢さん呼びからティナに変化している。
その日、私はお客さんという事で、見張りも免除された。クレフさんもだ。二人で横になってもまだ余裕がある荷台で、無限バックから取り出した毛布にくるまる。
眠気はすぐに訪れた。
***
深夜、妙に甘い香りが漂っていて目が覚めた。
目を閉じたまま、マップを確認すると、お花組の盗賊と軽戦士が近くにいる。
ケビンさんたちはまったく動いておらず、クレフさんも近くに見当たらない。
見当たらない??
慌てて少し広範囲の地図に切り替える。
移動したのはクレフさんではなく、私のようだ。
ふたつの焚き火からしばらく歩いた夜営地の外に転がされている。
「ねぇ、本当にやるの? この子、クレフさんが客分として送るって話している子よ? 大丈夫なの?」
「平気だよ。最初は少し抵抗するかも知れないけど、みんなで仲良くすればこの子もすぐになつく。
今までだってそうだっただろ?
ギルに任せておけばいい。
本人がこっちにいたいって言えば、他の連中だって口は出せないさ!」
どっちがどっちだかはわからないが、小声で会話をしている。
下草を踏む音がして、更にお花組のメンバーが集まってきた。
「ギルぅ、本当にこんな小娘、仲間にいれるの?」
甘えた口調で話すのは、魔法使い。
「アンは、ギルに乱暴した子なんて、イヤです」
駄々を捏ねているのは神官か。
宥める男の声も至近距離でする。
「ほら、夜営地の守りもしなくちゃならないよ! 判断力が低下する、ロカの草をわざわざスープに入れて、眠り草の毒団子を焚き火に放り込めるようにしたんだ! ここで怪我人を出したら名折れだよ」
「スープを作ったのは、アタシもだよ♪ あんただけの手柄じゃない」
魔法使いと、盗賊(?)の言い争う声がする。
「マリア、キャサリン、二人ともありがとう。私の我が儘を聞いてくれて。さぁ、私はこのお嬢さんの説得をしなくてはならない。キャサリン、解毒剤をくれるかい?」
「ほい、しっかりね、ギル。ポーション作成技能者と最初から知ってれば、なんとしても取り込んだんだけど、仕方ないさ。
任せたよ!」
「ああ、任せてくれ。皆は夜営地の防御を頼む。ボロがでないようにしないといけないしな。
明日のケビン達の驚く顔が目に浮かぶよ」
おそらく皆、闇笑いを浮かべているんだろうなぁ、と思う会話をして、ここに残ったのは馬鹿だけだ。
うん、アウトー!
何するつもりかしらんが、説得出来ると思うなよ!!
「さてと、……」
バチッッッッッ!!
不用意に手を伸ばしてきたギルを腕輪の効果で撃退する。
絶対守護者の腕輪:何らかの形で意識を失っているとき、対象者を全ての悪意から自動的に完全防御する腕輪。任意発動も可。
説明に偽りなし。
音で目が覚めたように装って起き出す。
腕輪のシールドに弾かれたギルは、口から丸薬をこぼし悶絶している。
えー、口移しで解毒剤を飲ませようとした? 鎧も脱いでるから、そのあとは、ゴニョゴニョな展開??
無理矢理から始まる、愛もあるさ!! とか言う気だったとか?
殺していいよね??
シールドで弾かれた音で、お花組の面子も集まってくる。
「なんで?! あれは解毒剤なしで目が覚めるようなものじゃないのに!!」
走り戻りながら、キャサリンと呼ばれた盗賊が叫ぶ。
無言で剣を抜き走ってくる軽戦士。
「お姉さんたち、ここで剣を引くなら、これ以上はやりません。私も今日あったことは忘れます。ただし、これ以上はやるようなら……」
殺気を放出しつつ、脅しつける。この期に及んでと、怒られそうだが人殺しや怪我をさせるのは出来たら避けたい。
「ウルサイ!! 死んじゃえ!!」
遠くから絶叫し、火の玉を飛ばしてきたのが戦闘開始の合図になった。
相手は五人。うち前衛一人は防具なし。
バランスが良く、一流と呼ばれるグループだ。
このまま戦うのは不利。
魔法を使うしかないが、オーバーキルの可能性が付きまとう。
一人づつ潰す!!
火の玉を目指し走り込む。ギリギリまで引き付けて、氷槍で相殺した。
辺りが水蒸気で覆われ、視界が阻害される。マップを頼りに、目指すは神官・アン。
回復役から潰すのは乱戦の基本だ。
ナイフを抜かずに鞘で殴り付ける。後衛職の体力だから気絶させるのは簡単だった。
そのままの勢いで、次は魔法使いのお嬢さんを狙う。
私が予想以上にやるのがわかったのか、手加減なく攻撃してくる。地を這う雷撃だ。喰らえば麻痺する可能性もある。
置いてこられた敵前衛は、もう少しで私を攻撃範囲に捉える。今のうちにもう一人落とさないとキツすぎる!
「ウインド・カッター!!」
本当は攻撃魔法を使うつもりはなかったんだけど、追い詰められた私は魔法使いに風の刃を放った。
後のことも考えて使うのは初級魔法までだが、威力は最大限上げている。
今のウインド・カッターも本来は一本のかまいたちが出るだけの魔法だが、30本近いカマイタチが生きているかのように、縦横無尽に駆け回った。
「マリア!!」
切り刻まれて倒れる魔法使いに盗賊が叫ぶ。
次はお前だ!
ぬらりと光るダガーはおそらく毒が塗ってある。腰にも何本かナイフが刺さっているから、投擲してくる可能性もある。
単純な物理攻撃しか持たない相手よりもよっぽど厄介だ。
接近戦はさけて、後ろに下がりつつ、ウインド・カッターを再度放つ。
いくつかは当たるが、戦闘不能までは追い込めなかった。
あとすこし下がれば、ケビンさんたちが転がっている場所に戻ってしまう。
これ以上は下がれないか。
覚悟を決めて迎え撃つ。レベル差もあるし、負けることはないだろう。
接敵までの一呼吸に、死後の世界で作っていた解毒剤を、封を開けて後ろに放り投げる。
狙いはケビンさんパーティーの盗賊さんだ。
その盗賊さんを目指して、同時に出した五つの解毒剤も蹴り飛ばしておく。
「この、チビ!死ね!」
キャサリンが飛びかかってくる。体重の乗ったその一撃を何とか受け流し逃げる。
そこで花組の残りの前衛メンバーも合流してきた。
「イア、油断するな。このチビ強いよ!」
軽戦士に声をかけると連携して攻撃してきた。
装備の整わないギルは、積極的には参戦しないようだ。
正直助かった。レベル差はあっても、圧倒的に実戦経験は不足している。
殺さずに三人の相手はきつかっただろう。
防戦一方になりつつも、なんとか凌ぐ。
いや、全員塵も残さず殺すつもりなら、やり用はいくらでもあるんだけど。
大人組も始末することになるしな。
それは嫌だなぁ。
なんだか、転生してから攻撃性に磨きがかかっている気がするわ。
視線の端に写ったままの地図をチラチラと見ながら時間を稼ぐ。
ーあと少し!
眼球を狙って突き出された毒のダガーをさけ、腰を一閃しようと薙ぐ剣を受け流す。
後ろに飛び下がって、距離を稼いだ。
ドッガッッアァァァァン!!
私と生き残った花組の間にフラスコが落ち、爆音が鳴った。
ーチェック・メイト!!
「お前達! 何をしとるんだ!!」
穏やかな顔を一変させ、クレフさんが怒声を響き渡らせる。
ケビンさんパーティーも武器を抜いて臨戦態勢だ。
「薬を盛られて、襲われかけました。抵抗力が高かったので、大事には至らなかったのですが……」
息切れしつつ言う私に被せるように、
「そのチビが、襲いかかってきたんだよ! 昼間のギルの仕打ちを恨んでのことだろう!! おっそろしいガキだよ!!」
とキャサリンが怒鳴り付ける。
あまりの事に絶句する私に近づき、ケビンさんは短剣を取り上げようとする。
力を込めて抵抗する私に、小さな声で、「落ち着け」とだけ言うとそっと腰の後ろに短剣を戻すように促す。
「ギル、間違いないか?」
お互いに武器を向けあったまま、視線を交わす。
「クレフ殿、我らとその少女、どちらを信じるので?」
質問には答えず疑問で返す。ふてぶてしいほど落ち着いた声音だ。
こいつ、今までもこうやって曖昧にしてきたな。屑がっ。
「のう、ギルよ。儂も錬金術師の端くれじゃ、自分が何かを盛られたことくらいは分かる。
その上で、じゃ、教えてくれんかね?
なら何故、わしらと同じ薬を盛ってお主らを殺す方が楽なのに、お嬢さんはそれをやらんかったのかね?
襲いかかってきたと言うたが、お主だけ装備を脱いでいるのはなぜじゃ?
逆に、お主以外の面子が全員フル装備である理由でもよい。
納得できる説明を頼むぞ」
「そ、それは……」
とっさに言い訳がでないようでいい淀むギルを庇うように、キャサリンが口を開いた。
「装備は、昼間のあのガキをみていて、危ないと思ったから着ていただけだよ!ギルは全身甲冑で重いし、そのまま寝られないから、装備を脱いでいた。
薬に関しては知らないよ!!そのガキに聞いてよ!!」
「ティナ、何か言いたいことはあるか?」
「ケビンさん、私は薬は盛っていないし、こちらから攻撃も仕掛けていません。反撃はしました。それは認めます。
キャサリンさんが、夕食にロカ草を混ぜたと、スープはアンさんも作ったと話していました。
ロカ草は判断力が低下する草でそれを食べたから、ケビンさんパーティーの焚き火にも眠り草の毒団子を入れられた……と。
ケビンさんパーティーの盗賊さんに解毒剤を投げ掛けたのも、五つの解毒剤を蹴り渡したのも私ですが、証拠はありません」
証拠がない、と言う私の言葉を聞いて、ギルとキャサリンは笑い、イアと呼ばれる軽戦士は明らかに安堵した。
「双方の言い分がここに揃った! なれば、アルケミストの秘薬を使い、審判を行おう!
ギル、ティナ、双方、己の言い分に間違いがないと言うならばこれを一口飲みなさい!!」
大事そうに出てきたフラスコは黒ずんだ緑色で時々茶色も混ざり、お世辞にも美味しそうだとは言えない色だ。
ギルの顔がひきつっているから、余程不味いものなのだろう。嫌がらせのつもりで、先に一口飲む。
まっずぅ!!
青臭さと苦味が一気にきて、吐きそうになる。涙目のまま、ギルに押し付けた。ギルもケビンさんに促されるまま、しぶしぶ一口飲んだ。
「ではこれから、審問を始める。
問う。ティナよ、我ら、ケビンとそのパーティーメンバー、錬金術師クレフに毒を盛ったか?」
「否」
なんだこりゃ、口が勝手に動く。一種の自白剤??
「問う。ギルよ、我ら、ケビンとそのパーティーメンバー、錬金術師クレフに毒をパーティーメンバーが盛る事を知っていたか?」
「……諾」
苦しそうに口を押さえながら頷く。
「重ねて問う。ギルよ。その少女に最初に攻撃を仕掛けたのはお主、ギルのパーティーか」
「諾」
次々とクレフさんは質問し、それにギルが諾と答える度に、ケビンさんパーティーがおっかなくなっていく。
「最後に問う。ギルよ。その少女を犯し、味方に引き入れる、または奴隷に落としポーション作成技能を利用しようとしたか?」
「諾」
もう、最後の方はやけくそだったんじゃないかな?迷うことなく、頷いていた。ちなみに、途中からケビンさんパーティーがギルたちの武器を取り上げて拘束してたよ。
「ここに、審判の結果は出り!!」
宣言と共に薬の効果が切れる。
後から聞いた話では、あれは、「真実の口」という、錬金術で作られるポーションで、ああいった主張が食い違う時に使う自白剤だそうだ。
評判があまりよくないギルたちと同行すると言うことで、クレフさんが作って持ち込んでいたと教えられた。
怖っ!!




