8.濃い面子との出会い
とりあえず、森から抜けるまでに、目につく魔物は全部狩って、薬草等の収集もできる限りこなした。レベルアップの速度は落ちたがまだ確実に上がっている。
現在86level。
両親のレベルは既に越えた。
技能を使ってドロップアイテムはアイテムボックスに自動収集されていく。
私のアイテムボックスにソート機能と自動整理機能があってよかったよ。そうじゃなかったら、ぐちゃぐちゃでどこに何があるのか分からなくなってたわ。
森を抜けて街道を歩く。飛んで行こうかとも思ったが、人目につくようになる前に、いくつか試してみたいアイテムもあったのでのんびり町を目指している。
森を抜けると一気に邪気の濃度が下がるのか、魔物は弱く、見た目可愛らしくなっていく。ちょっと狩るのに躊躇するレベルだ。
一角ウサギに草原ネズミ、ビッグバタフライ、肥った鶏モドキ等々。時々、飢えた野犬っぽい魔物が群れで襲ってくる位で、本当に平和。
可愛い系獣が落とすドロップアイテムは、食肉系と毛皮だ。犬は追加でキバもまれに落とす。
うーん、個人的にはネズミ肉は遠慮したいなぁ。いや、昔は地球でも食べてたのは知ってるんだけどね?
街道を逸れて少し草原の中にはいると、薬草等の素材が自生している。
森では回復薬でも、霊薬やら高位回復薬とかの日常使いに抵抗のある薬の材料しか手に入らなかったし。
ここの草原では下位回復薬の素材がメインで、時々中位回復薬の材料が採れる。回復薬は少し落ち着いてから作るとしても、材料集めは大事です。
魔物を狩って、素材を取って、アイテムボックスに放り込む。それを繰り返していた間に、夜が近づいてきた。
うーん。そろそろどこかでセーフハウスを展開するかな?
街道沿いに戻りつつ、そう考えていたら、街道沿いの先にうっすらと煙が見えた。
マップで検索すると、10人程度の生物反応がある。
獣や魔物とは違う反応だから、多分旅人だろう。
第一村人発見!!
異世界人との、(両親以外での)はじめての遭遇です!
このまま歩こうとして、ハタと自分の格好に気がつく。
今の私は村娘の服を着ているだけの手ぶらだ。荷物なし。武器なし、防具なし。
この世界を旅するにしては、驚きの身軽さ。流石にこれじゃ、怪しまれるかな。
アイテムボックスを漁って、それらしく整えることにする。
装備と武器はオススメシリーズ。
金糸銀糸等で精密な刺繍が袖に施された、漆黒に一筋の青を混ぜたような、晴れ渡った夜空色のフード付きローブ。腰に巻いた宝石付き組み紐がお洒落。柔皮の手袋とブーツ、共に刺繍入り、手首と足首の位置にローブとお揃いの宝石が填まっている。
頭部は髪飾り。花を模した宝石飾りだ。
うん。豪華。
でもこれが、選択できる四形態では一番地味だったりする。あとは、皮鎧の上に部分的に金属装甲をつける軽鎧、上半身を覆う半甲冑、全身甲冑とどこぞに騎士様っ!って感じの防具だったりする。もちろん、金銀宝石ざっくざく。自動サイズ調整があるとはいえ、ちょっと少女が着るには無理がある。
誰かと会う前に、装備作るべきだったかなぁ。
あとはアイテムボックスに私が今まで着ていた(?)服も色々入っているけど、それも防具としては"布の服"だし。何かあったときにいまいち心許ないんだよね。
えーっと、武器は格好的にはステッキが良いんだろうけど、魔法だけってのもなんだから、地味なナイフにしようと思う。
……地味、無理でした。よくある装飾なしのナイフをイメージしたのに、出てきたのは柄に装飾、鞘に宝石が使われたまっすぐな両刃のナイフ。
仕方ないから、手持ちの布をぐるぐる巻き付けて、鞘を隠して腰に差す。
無限バック大に食料と、寝袋かわりの厚手の布を何枚か、両親に持たされた巾着入りお金を入れて、背中に斜めに背負えば、即席旅人モドキの出来上がり。
さて、もう少しで夕暮れだ。手早く声をかけてみよう。ただし、良い人達とは限らないから警戒は怠らず。
あ、なら、この腕輪と首飾りも着けておこうっと! 効果がでなければそれの方がいいんだけど。効果は発揮してからのお楽しみ♪
「……何者だ! 止まれ!!」
街道に出て、しばらく道沿いに歩くと、焚き火を囲む屋根のない荷馬車の一団を見つけた。外には10人、馬車の上にさらに1人。
メンバーはおそらく2グループに別れている。
向かって右側には、見るからに戦士×2、盗賊、狩人、魔法使いっていう雰囲気の手慣れたむさいおっさん冒険者の一団。
左には、金属甲冑の騎士(?)、軽鎧戦士(♀)、魔法使い(♀)、盗賊(♀)、神官(♀)のお花組。全員10代半ばの少女だ。見た目は様々だが、全員美少女。騎士が男だったらこれぞハーレムパティー。今のところ騎士の顔は兜に隠れて確認できない。
馬車の上には、学者然とした高齢の錬金術師(♂)かな。腰に複数のフラスコ下げてるし間違いないと思う。
わざと砂塵避けに被っていたフードを脱ぎ顔を晒した。
まだ鏡見てないから、どんな見た目かわからないけど、かなりの美人って言ってたし大丈夫だろう。腰まである一本結びの長い髪は昔と変わらぬ黒のままだから、違和感はない。あー、顔くらい確認しておくべきだったわ。
「こんばんわ。街道を歩いていたら、煙が見えたので。私はデュシスの町を目指している旅人です」
少し離れた所で止まったまま、笑顔を浮かべて話しかける。
わざと小首を傾げて、幼さをアピール。
「もうすぐ夜になります。出来たら近くで休ませて頂きたいのですが、よろしいですか?」
食い入るように見つめる10対の瞳にたじろぎながらも続ける。
隠れ家に泊まるのは、また今度。今日はこの世界の夜の越し方を体験学習しようと思います!
「あー、お嬢ちゃん、一人、か?」
戦士のおっさんの片方、電信柱みたいなクラブを背負ったスキンヘッドが声をかけてくる。迫力満点!
「はい。デュシスの町まで手紙を持って行きます」
「アレッ!?なら、境界の森の周辺、通ってきたんじゃないの?ねぇねぇ、詳しく知りたいな♪」
瞳を煌めかせて、花組の魔法使いが問いかける。桃色髪に紫の瞳の女の子だ。
三角帽子に短いマントが可愛いね。
「………ゴホン。お客さんかね?」
一人荷馬車の上にいた錬金術師のおじいちゃんが話しかけてくる。
「クレフ殿。旅人の様でして、どうやら境界の森近辺を通ってきた模様。出来ましたら、今夜共に過ごし、話を聞きたいと考えます」
お花組の騎士が錬金術師に報告している。声は若い男のものだ。うん、リアルハーレムパーティー。はじめての遭遇です!
これは要観察だわ!!
対しておっさんパーティーは一様に苦虫を噛み潰したような表情だ。
やっぱり、自分達に"おんにゃのこ"がいないのが悔しいのかしら?
個別に出会いたかったわ。濃い面子。おもしろーい。
「あー、ギル。お嬢ちゃんがびっくりしている。放置はどうかと思うぞ」
力なくスキンヘッドがそう言うと、神官さんが食って掛かった。
「ケビンさん、ケビンさんの見た目の方でお嬢ちゃんが驚いているんだと、アンはそう思います!
ねえ、お嬢ちゃん、おじさんに見つめられて怖かったね? こっちでお姉ちゃんたちと、お話しよ?」
あー、この子、自分の事を名前呼びするタイプか。フワッフワの小麦色の髪に、乳袋?と思うほどに豊満な胸。これぞラノベの神官様!って感じの見た目に、幼い様な自分呼びかぁ、あざといな。
今は私の方が幼いんだけど。それはおいておく。
うーむ、どうしたものか。近くでハーレムパーティーの観察もしたいけど、おっさんとの世間話も捨てがたい。いや、多分精神年齢変わらないし、話はこっちのおっさんたちとの方が合いそうなんだよね。悩む。
「あーこれこれ、やめなさい。
お嬢さん、若いのに一人旅の途中とは大変だね。良ければ、今夜は我々と泊まっていきなさい。
寝床は嫌でなかったら、儂の隣、馬車の上で眠るといい。
皆、良いね?」
神官の言葉で急転直下、雰囲気が悪くなったが、それに割り込むように錬金術師のクレフさんが口を開いた。
この一行で一番偉いのはクレフさんで間違いなさそうだ。
不満げな顔をみせつつお花組は口々に同意し、おっさんたちは明らかに安堵していた。
なんなんだ? 私が花組に入ると何があるのだろうか?
おじいちゃんにおいでおいでをされるまま、夜営地の中に入る。
どうやら夕飯の支度をしつつ、夜営の準備をしていたらしい。
花組と男組の代表となる騎士と、スキンヘッドのケビンさんが私と一緒にクレフさんの馬車に近づいていく。
馬車の脇について、もう一度挨拶する。
「今日はお世話になります。旅人でティナといいます。一晩よろしくお願いします」
この世界の挨拶の仕草、軽く片足を引き、頭は下げずに腰を落とし、右手は左の胸に当て、左手は後ろに回し腰の位置をキープを、流れるように軽く行う。
屋外で目上の人に対して行う正式な挨拶だ。これが貴族やら王族相手なら別の礼儀作法もあるが、これで十分だろう。
「おやおや、礼儀正しいお嬢さんだ! 驚いたよ。
儂はクレフ。
見ての通り、錬金術師の老いぼれだ。
ここの面子は、冒険者ギルドの依頼を受けて境界の森までいく冒険者だよ。
儂はその代表を勤めておる。
お嬢さんが境界の森の近くを通ってきたなら、何か気がついたことはないかね?
何でもいいんだ。教えておくれ」
身軽に馬車から飛び降り、クレフさんも返礼しつつ、話しかけてくる。
うーむ、どうしたものか。
境界の森って、あれだよね?ようするに実家。
近くを通ってきた所か、住んでました! とか言ったら、やっぱり駄目だよね? しかも、けっこうなレア物の魔物と戦ってきました! とか目立にすぎるよねぇ。
「失礼ですが、何故境界の森に?あそこは……」
必殺! 質問返し!! ついでに皆まで言わずに聞き手の想像にお任せする高等テクニックも織り混ぜてみた。
ハーレム野郎、失礼、花組の騎士が兜の下から睨んでいる気がするが気にしない!
おっさんは無反応だ。
「これこれ、ギル、お嬢さんの疑問ももっともだ。そう睨むでない。
お嬢さんや、儂らもギルドの依頼で動いているからな、詳しいことは言えんのじゃが…。境界の森で少々異変が起きているかもしれぬ、と言うウワサがあっての。それを調べに行くんじゃよ」
おー、何も話せないなら何も言えない、って返せるけど、譲歩する姿勢を見せられると、こちらとしても情報を渡さないといけない気がするね。
「そうなのですか、…異変……昼前、多分もっと早い朝に近い時間に森の側にいたのですが、森の中から空に向かって、炎や氷が打ち上げられていたように見えました。
あそこの森は魔物が凄く強いって聞いていたので、気にしていなかったのですが、もしかしたら、何かあったのかもしれません」
うん、嘘はいけないけど、目立ちたくないし、住んでたのは言わない方向で頑張ってみよう。
「炎や氷だって! ウソをつくな!!」
私の肩を力一杯掴み、ハーレム野郎ギルが声をあげた。
痛いっての! 鉄製の籠手で握られた、その場所は目玉お化けと戦った時に負傷した箇所だった。
夜にまとめて治そうと思って、軽く手当だけして放置していたのを後悔する。
せっかくカサブタになったのに取れちゃったじゃないか!
お前なんか、呼び捨てで十分だ!!
「……っ!」
こんなヤツに悲鳴を聞かせるのも悔しくて、痛みを押し殺す。
「お嬢ちゃん、もしかして怪我してるのかい?」
「なにっ? すまない! 大丈夫か?!」
私の様子に気づいたケビンさんが心配そうにそう聞いてきた。
同時にギルも手を離し、あろうことか私のローブの合わせを勢いよく引っ張り、中を覗き込んでくる。
服! 服はだけてるからっ!!
これが、鈍感系主人公特性か? ガチでやられるとムカつくな!!
利き手でナイフを引き抜き、鎧の継ぎ目を狙う。丁度良い事に、私を覗き込んでいるから柔らかい急所が目の前だ。
流石に本気にならないと、後衛職の体術じゃ本職の騎士には勝てないようで、かわされてしまう。遊び半分だし、かわされなかったら困るけどさ!
仰け反って離れた甲冑の膝裏を狙って回し蹴りをし、尻餅をつかせる。
鋭く音をたててナイフを向けると、離れた所から複数の殺気が迸った。
チッ! 仲間か!!
すっかり喧嘩上等になったわたしは、とっさに鑑定を行う。
一応、鑑定はレア物のスキルでいないわけではないが、珍しい。そしてそのスキルの運用には注意が必要なものだ。
鑑定される相手にとっては、自分の手の内を丸裸にされるようなもの。察知系技能で鑑定されているのに、気がつくことも出来るが、鑑定された! と気がつけばそこで本気の殺し合いに発展しかねない。
だから私も、やたら滅多、鑑定しない様に気を付けていたんだけどね。このバカのせいで頭に血が昇っちゃったわ。
「やめんか! 馬鹿どもがっ!!」
一瞬、私の動きが止まった隙をついてケビンさんが怒鳴る。
近距離で怒鳴られて、ビクッとなったわ。
驚いてケビンさんを見ると、眉はつり上がり電信柱を握る手には血管が浮き出ている。
「……あ、ごめんなさい。」
小さく呟く。
……いや、マジですんません。鑑定つもりなかったんだけど、スキル切ってなかったわ。
短い時間しか鑑定しなかったから、詳細まで読みきれなかったけど、お花組のレベルは20前後。おっさんたちは30~40まで。ケビンさん達のパーティーの方が強いんだね。
私の謝罪を別の意味で取ったのか、ケビンさんがちょっと困ったような雰囲気を醸し出した。流石に喧嘩を続ける気になれなくて、ゆっくりとナイフを下ろす。
「いや、お嬢ちゃんは驚いただけだよな。こっちこそ悪い。ギル、謝れ」
まだ尻餅をついたままの馬鹿にお花組のメンバーが駆け寄ってくる。
全員私を睨んでいるが、無視だ、無視!
お花組に手を借りて、ギルは立ち上がり私を睨み付けた。さっき倒れた時に微妙に兜がずれたから、表情がよく分かる。
甘いマスクのイケメンだ。
「ケビンさん、失礼ですが謝れとは?私が謝罪される側だと思いますが」
己の正義を確信した、迷いのない瞳のまま答える。
こンのー、馬鹿がっ!! まったく空気を読まずに言い放つこいつの相手をしているのが馬鹿馬鹿しくなってくるわ!
「ギル、お主……本気で言っておるのか?」
ケビンさんだけじゃなく、クレフさんも不審そうだ。私の感覚は、こちらの人たちにも通じるものがあるらしい。
「怪我の箇所を握ったことはもう謝罪しました。そうしたところ、襲いかかってきたのはそちらの少女です」
周りを固めたハーレムメンバーは一様にコクコク頷いている。
あはは、もう、馬鹿はいいや。相手にしない。お花組も諦めよう!
でもね、これだけは言っておく。
「ギル様で宜しいですか?
……突然ナイフを抜いた事は謝罪致します。少々過剰反応だったかもしれません。
ですが、未婚で、成人前の、民間人である、小娘の私の服を、プロの冒険者であり、前衛職の、騎士でもある、成人男子の貴方が、いきなり抵抗する隙もなく、断りもなく剥いだのです。しかも、ギルドの依頼地に向かう途中に、情報提供を依頼している子供の服を、大勢の目の前で、です。
私が驚き、自衛のために動いたとしても、それが咎められますか?」
わざと自分の非を認め、相手をたてつつ周りを味方につける。
双方、相手が悪いんだい!! って、子供の喧嘩をしていると周りもあきれてしまう。今回はケビンさんとクレフさんはどちらかと言えば、馬鹿に非があると思っているみたいだ。なら、さっさと謝罪して引くことによって、お花組以外の心証を良くするのみ!
昔はこういうのキライだったんだけど、上手く生きていくためには必要だったんだよね。
あー、面倒くさい!
他人と関わると、これが嫌なんだ!!
わざと服も直していないから、年の割には豊満な左胸がほぼ頂まで露出している。
興奮で潤んだ瞳と、この、はだけだ服装であの台詞なら説得力はあるだろう。
現に馬鹿は唸るばかりで、二の句を繋げていない。
男組のケビンさん以外の面子は、どうやら私の意図に気がついたらしく、少し離れた所でニヤニヤと笑っている。おっちゃんたち、性格悪っ!!
「あー……、お嬢ちゃん、この集団の代表として、メンバーが行った非礼は謝罪しよう。すまなかった。
これで許してくれんかね?」
口を開かないギルにかわりクレフさんが謝ってきた。
お花組は口々に、ギルは悪くない。小娘が狂暴だ。自意識過剰のおぼこ! と罵っているが、ケビンさんが一睨みすると、不満げに黙り込んだ。
うーん、少し、下手打ったかな? ここまでお花組が脳内花畑だとは思わなかったわ。
これは、今日このままここに泊まるのは不味いか?
「先程も申しました通り、私にも非はあります。お騒がせしましたこと、心から謝罪いたします。
理由はさておき、冒険者達の前で武器を抜きました。
殺されてもおかしくはなかったのです。
ケビン様、止めていただきありがとうございました」
小さな声で、「あんたにしか非はないわよっ」とか聞こえたけど、無視。漢組から誤魔化すような咳払いも聞こえるしね。
うーん、これは本格的に逃げた方が良さそうだな。
「……私が知っていることはもう申し上げました。こちらからの申し出ではありますが、やはり私はもう少し先を急ぐことに致します」
そう言いつつ、着衣を直して中を抜けようとする。
「お嬢ちゃん、待て。怪我してるんだろう? 手当だけでもしていけ!」
私の表情から、止めるのは不可能と判断したのか、ケビンさんが慌てて言う。
それに合わせてクレフさんも、お花組の神官アンに治癒魔法をかけるように言うが、当の本人は膨れっ面のままでそっぽを向いている。
「お気遣いありがとうございます。ですが、ご好意にすがる訳には参りません。
ポーションもありますので、こちらで対処可能です。
お慈悲に感謝致します」
そう言いつつ、おっさん達がこのままだと離してくれなさそうだから、バックの中から出したように見せかけて、アイテムボックスからハーフポーションを取り出す。
ちょっとお高い栄養ドリンクくらいの大きさの瓶に入ったその薬を傷口周辺に振りかけ、残りを飲み干した。
おや、おっちゃんとおじいちゃんの目の色が変わったぞ。何かますます不味い予感。
万一の時には、荒事覚悟で逃げなきゃなぁ。




