成らざる者 〜蘭〜
そして、学校。
いつもと変わらない。隣が空席であること以外。
「あみちゃんがいない・・・。」
(フフ・・・全くなんてクラスなんだよここ)
レイネは異様な気配を感じていた。
(僕のような奴らしかいない)
ちさとを見る。
(あ、気配濃すぎて人間いることに気づいてないなこいつら)
そしてちさとの隣の空席を見る。
(たった一人いる人間とその隣の席の奴の正体知ったらどんな反応するのかな・・・フッ)
その顔に表情は浮かんでいない。
「くくく・・・」
人気のない空き地にいる蘭は人間を喰い殺していく。
辺りには蔓で捕らえた人間の骸が転がる。そして大量の血。
「ここにはもういないな・・・」
そう言うと人間の姿になり立ち去る。
あみは微かな気配をたどりながら、その方向へ向かっていた。
そして、二人はすれ違った。
あみは人間としての気配をまとう。
蘭は反応した。
「くく・・・まだいたのか・・・」
蘭は不敵な笑みを浮かべる。
そして、人間の姿のまま背中の方から蔓を伸ばし、あみを捕らえる。
「・・・。」
あみは無言で無表情。
そのままさっきの場所に連れ去られる。
あみは無造作に放り出される。
「・・・そんだけ?」
あみはすぐ立ち上がり尋ねる。
「いいや・・・お前を殺す・・・!」
そう言うと、蘭は桃色の体液に包まれ怪人の姿となった。
あみは即座に成らざる気配を強めた。
「ん・・・?お前」
蘭が異変に気づく。蘭は鋭利な花弁を飛ばす。
あみの体に刺さり、ほんの一瞬血が出るがすぐに傷が閉じた。
「血が・・・紫だと・・・?」
「・・・検討ついたか?・・・下等が。」
あみはそう言うと、どす黒い体液に包まれ怪人の姿に変わる。
「ウゥゥゥゥ・・・。」
「そうか・・・お前がイレギュラーか・・・くくく」
蘭は不気味につぶやく。
「私がお前を殺せば手柄だ」
「・・・言ったな?今殺すって言ったな?殺してみろ。」
「すぐに逝くだろう」
蘭はそう言うと、無数の蔓と無数の花弁と麻痺する花粉で襲って来た。
「くくく・・・死ぬがいい」
あみの肉体は紫の血を吹き出し傷ついている・・と思いきやすぐに傷は塞がる。
「・・・何だと」
「・・・そんだけ?」
蘭はその瞬間、目の前にとてつもなく格上がいることを理解した。
「お・・・まえ・・・」
蘭の声が震えている。
「貴様・・・やはり殺せないか。なら、」
あみの殺気が蘭に降り注ぐ。
「来るな・・・来るな」
「貴様が死ね!!!」
あみは無数の粘着質の糸を口から吐き出し、蘭に絡み付ける。
「う・・・うう」
そして、鋭い糸を突き刺した。
「う・・・ぐぐぐうう・・・ううあ!」
蘭の傷口から血が吹き出し、そこが崩れてきた。
「うう・・・はあはああ・・・体があ・・・うぐ」
蘭が苦しむ。それを無表情で見つめるあみ。
「ぐ・・・ぎゃあああああああああああ!」
蘭の体は崩れ去った。
あみは人間の姿に戻っていく。
「・・・ちさとにバレるのはいつだろう・・・?」
しばらくして、いつもの廃工場
「蘭が来ないな」
どこかにやにやしているオクト。
「・・・あいつにやられたようねぇ」
だるそうにメディが言う。
「・・・」
・・・それをレイネは黙って聞いているだけだった。