それは成らざる者
次の日の昼休み、ちさとは昨日のことをあみに聞いてみた。
「昨日のは・・何なの?」
すると、あみの表情が一瞬曇った。が、話しだした。
「私は、奴らを『成らざる者』って呼んでる。」
「成らざる者・・・?」
「人成らざるからね。何で生まれたかは分からないけど、人間とは全く違う生き物。奴らは少ないから人間に成りすまして人知れず人間社会に潜伏しているよ。」
「え、怖い!」
「で、重要なのが、・・・奴らの糧は人間の命なの。」
「えええええ?」
「だから・・・奴らは人間を狙うの。」
ちさとは驚いて言葉が出ない。
それを見たあみも言葉に詰まってしまう。
両者の沈黙が続く。先に口を開いたのはちさとだった。
「で、あみちゃんは成らざる者と戦っているの?」
あみは俯き加減に黙っているがやがて口を開きこういった。
「・・・そうだね。」
「・・・そうなんだ。私はなにもできないけど応援してるから!」
あみは小さくうなずく。
「ちさと!?」
遠くで翔磨が名前を呼んでいる。翔磨が駆け寄ってきた。
いつもなら見かけてもよってこない。当然だ。そういう仲だから。
「え、ちさと・・・友達できたのか!」
「できちゃったw」
そういうことだ。ちさとが友達といることなんてめったにないから翔磨は一大事だと思って来た。
「めっちゃかわいいな!」
「そっちか!」
翔磨はデレデレしている。
「あ、これ幼馴染の翔磨。翔磨、こちらあみちゃん。」
「あみです。」
「あみちゃん、よろしく〜」
翔磨の調子がいつもよりいい。
「ちさとよかったな!仲良くしろよ!」
と言いたいことだけ言って翔磨は足早に去っていった。
「なんだあいつw」
「だねw」
二人は思わず笑顔になった。
その時、ちさとの視界に何かが入った。
ちさとは立ったまま動けなくなってしまう。
「ちさと?」
あみもちさとの方を見る。すると見覚えのある顔があった。
「・・・レイネ?」