成らざる者との接触
「あみちゃん!危ない!」
「ちさとちゃんのほうが危ないから!」
「・・・さっきの人間かぁ?」
ちさとは怪人のほうを見て硬直してしまった。
「ただの人間に何ができる。それに僕の姿を見てしまったお前に」
これはヤバい、見てられないと思ったあみは、とっさにちさとの後頭部をたたく。
「・・・気絶してて・・」
「きゅぅぅぅ」
ちさとは気絶した。
「・・・頼む、ちさとのことを何も見なかったことに。」
「くくく・・・そうだよね。きみは」
怪人は不敵に笑う。
「体でわからせてくれるんじゃないの!?」
「・・・いいのか?殺るぞ」
「・・・はやくして。・・・レイネ」
あみが怪人の名を呼ぶ。あみがどことなくうれしそうだ。
「イェアアアアアアアアアアアア!」
レイネがあみに飛びかかる。爪でひっかく。そして、長い鋭い舌であみの体を貫いた。
が、あみの傷ついた体は即座に再生した。
「・・・やっぱりそんだけ?」
「きみ・・・・・・やっぱり化け物すぎる・・・」
レイネが呆気にとられていると、あみが血相を変えて叫んだ。
「・・・殺すんだよな!?ああ?殺すんだったよな!?」
あみがレイネに迫る。握った拳がレイネの肉体を徐々に傷つけていく。
「ウッ・・・ア・・・・・・やめ・・・」
傷口から出る青い血が微かに砂塵と化していく。
「ったく・・・貴様は弱すぎて殺意が倍増する。」
「いや、絶対きみがチートなんですってば・・・」
あみの背後から細い糸のような物が伸びてくる。
「・・・ハッ」
息をのんだレイネは自身の体を透明にして逃げ去った。
「逃げたか・・・」
糸のようなものは消える。同時に殺気も消える。
「・・・レイネ・・・。」
怪人の名をまたつぶやく。そして、あみは気絶しているちさとを見た。
「ちさとちゃん・・・。」
これがさっきまでの鋭いまなざしの少女なのか・・・
悲哀な瞳で見つめている。
「ん?んん・・・」
ちさとが目を覚ました。
「気がついた?」
あみが心配そうに見下ろす。
「う・・ん。あの・・・怪物は?」
あみが気づかれないくらいの一瞬だけ複雑な表情になったが、すぐに戻って言った。
「逃げていったよ。」
「はあああ、よかったああああ。」
「・・・・・・。」
「どうしたの?」
「・・なんでもない。帰ろ!」
「うん!」
二人は仲良く帰っていった。