歪み ~空白~
わたしは、ここが何処か急に判らなくなった経験がある
大学の教室移動で廊下を歩いていた時 え? となった。
古い建物で、増築に増築を重ねた校舎での事。
正しくは 一瞬の空白 ここどこ・・・? と思った。
頭を打ったわけでもなく、衝撃があった訳でもない。
しかも歩いてる途中に。
頭の中は真っ白。
足は止まった。
左右を見渡す・・・ここは?
建物、窓、壁、廊下の質感 歩いてる人々
大学だ!!と思ったとたん記憶が戻った。
怖かった・・・
怖い記憶。
でも判らなくなった時は、不思議な感覚だった。
どこかぼんやりして、なんだろう・・・? ただ不思議なだけ。
どこか透明で白い印象がある。
頭の中にはただ純粋に「ここは・・・?」しかなかった。
そこに恐怖は無かった・・・
あまりの不思議さに、友達に話したら意外な答えが返ってきた。
「ああ、あの校舎の4階のあの辺? あそこ変だよね。私も感じた、なんか次元の歪みがある感じ。建て増しで本当に廊下が歪んでるしね、そうゆう事もあるんじゃないかな?」
そういえば友人は霊感がある人だった。
「建物が歪むとそんな事ってあるの!?」
と聞けば
「あの校舎、細かいの多いよ、古いし暗いし。 でも・・・周り、この辺の建物のバランスも悪いんだと思う。ばらばら過ぎて流れがおかしい。歪みが出来ても不思議じゃない。」
と返された。
・・・知る人ぞ知る、学校の怪談だったらしい。
歪みは流れがおかしくなれば、いつどこに出来るか知れない。
無秩序に建物を建てる現代。
歪みに嵌り、帰ってこれなかったら・・・そう思うと怖い。
いきなり 全健忘 になったのかも知れなかったんだ、わたしも・・・
今日もわたしは歩く。
建築は毎日どこかで行われている。
歪みも・・・毎日どこかで誰かを待ってる。