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第十話 白の魔王ウォレス

 ごとごとと音を立てて、十二個の籠手こてが袋から絨毯の上に落ちた。


「これが『証拠品』でございます。この籠手こてに、王は見覚えがありましょう」


「それは……それは我が子、グラウス、フラルスの籠手こて。王国親衛隊の十二名の籠手こてか?」


「さよう。これが動かぬ『証拠品』でございます」


「これをどうやって集めた? どうやって全て集めたというのだ? ……いや、分かった。皆まで言わぬでもよい。お前はこれらを……ともかく全て集めたのだな?」


「はい」近衛兵はウォレスの首に剣をあてがう。次に何か言葉を発すれば、首を切り落とさんとする勢いであった。


「近衛兵よ、下がれ」国王が手を振り、近衛兵たちは剣をしまって横に下がる。

「わかった。それでは話を聞こう。『嘘吐きオッティア』とやらよ。お前は一体何が望みだ?」


「まずは……『竜殺し』のお手伝いをさせていただきたく存じます」

「竜殺しか……して、その対価は?」


「八十八年前の『盟約』を履行し、精霊採掘都市リリオットへの侵攻は、これを取り止めて頂きたい」


 再び近衛兵の剣が、ウォレスの首にあてがわれる。大国グラウフラルにおいて、王の立案する軍事的作戦に他の者が意見を差し挟むことなど、決してあってはならないことゆえに。

 

「近衛兵よ、よい、下がれ」


「お前は『証拠品』を持ってきたといったな、『嘘吐きオッティア』よ。ならば嘘をついてみせよ!! 我が子、グラウス、フラルスを。王国親衛隊の十二名を、黄泉から引き戻して見せよ!!」


「仰せのままに」


「父上!」「父上!」たちまち、金髪のグラウスと銀髪のフラルスが現れた。謁見の間がざわめきに包まれる。そこにいたのは王国親衛隊の十二名であった。まるで透明であったものが現れたかのように、眠りから醒めて跳ね起きたように、十二名の若者たちがその場に現れていた。


「これこそが動かぬ『証拠品』。あわれでかよわい『嘘吐きオッティア』の吐いたしがない『嘘』の顛末にございます」


「十二の籠手こて……殺して奪い取ったのではなかったのだな……」「そのようなこと、まったくもって滅相も無い」


「ならば『嘘吐きオッティア』よ。本当の名を名乗れ。お前は誰だ。なんのために余をこんなペテンに掛けた」


「それでは名乗らせて頂きましょう」

 白いローブが宙を舞い、青い髪の少年の上に覆いかぶさった。


「我が名こそは『白の魔王ウォレス』。全てはただの気まぐれ事、大国グラウフラルと精霊採掘都市リリオットの未来のためでございます」

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