とある学校の日常風景・・・?
語り手崩壊します。
「?」と思う方は読んでください。
チャイムが鳴り、席につく。
雄馬は隣の席を見ながら思う。
まさか、エロゲー的な展開なのか!?・・と。
にやつく雄馬に、椎名は目を細める。
椎名の席は雄馬の後ろ。
いつもの紳士キャラはどこにいったのだろう。
「んじゃ、HR始めるよ~。・・・・だるっ」
雄馬のクラスの担任である椿は今日もご機嫌斜めだ。
首をゴキゴキと鳴らす椿は女である。
目にクマを浮かべ、いつも眠たそうな目をしている。
椿は「あ~」と発声練習をして、疲れをほぐす。
「先生、早く始めてください。転校生が来てるんでしょ?」
そう言い放ったのは勇人だ。
面倒くさそうに足を机に放り出している。
「あ、そんなのいたね。入ってきていいよ~」
その声と同時に教室の扉が開かれる。
雄馬は戦慄した。
その女子はドカドカと入り込み、黒板に名前を書いていく。
周りの生徒は雄馬を見る。
「桂木アリスじゃっ!趣味はブレインバーストじゃっ!よろしくぅ!」
テンションの高いアリスが転入してきた。
むしろ、みんなは『桂木』という苗字に反応している。
雄馬は、ただ口を半開きにさせていた。
開いた口が閉じない。
「あー、桂木さんは桂木の隣だー。生き別れの双子だっけ?仲良くしな」
椿はそう言うと教室から出て行った。
クラスにざわつきが生まれる。
いつの間にか雄馬の席の周りには野次馬が出来ていた。
「生き別れってどういうこと?」
「結婚させてくれ!」
「お、俺の嫁候補だあぁぁ!」
「一緒に加速しなイカ?」
などなど、いろんな声が飛んできた。
雄馬は罵声に近い声がむかついたので、アリスの手を持って引きずりながら教室から出て行く。
教室から出ても声は止む気配を見せない。
雄馬は握っていた手を離すと、少し声を荒げた。
「何でここにいる!」
「いや、バーストリンカーを探しにのぅ」
「冗談言うな!そんなに時代経ってねー!何が目的で来た!」
雄馬の沸点は頂点に達しようとしていた。
それとは逆に、アリスは愉快そうに笑う。
「ふむ。実は雄馬のクラスに死者がいてな」
「まだ誰も死んでねー」
雄馬の叫び声は学校中に響いた。
‡
「な、雄馬。いつから可愛い双子ちゃんが出来たんだ?」
四時間目終了後、雄馬と勇人と椎名は屋上で昼食をとっていた。
いつもと変わらない昼食、なのだが・・・。
「黙れ、勇人。お前に紹介なんかするか」
「ねぇねぇ雄馬。何でさっきからアリスちゃんはずっとコッチを見てるの?」
椎名の言うとおり、アリスはずっと雄馬を見つめていた。
入口付近に腰掛け、獲物を見つめるように。
寒気すら覚える眼差しが何か怖く感じた雄馬であった。
「うーん、あれはね、視力トレーニング?」
「何で疑問系なのよ・・・」
いささか食べずらいが、雄馬たちは気にせずに食べ続ける。
数分経ち、雄馬はついに動き出す。
「アリス」
「何じゃ?」
「視線が痛い」
「・・・・・」
少々上目遣いでアリスは雄馬を見つめる。
何故黙ったのか、雄馬にはわからなかった。
無愛想面のアリスをじっと見つめる。
「おい」
「何だ」
「雄馬ではない。そこのお前じゃ」
雄馬は後ろを向く。
だが、アリスは「違う」と冷たく言い放つ。
では、アリスは誰に言っているのだろうか。
雄馬は小首を傾げる。
「お主じゃ。さっきから感情無しに喋るでない。語り手よ」
・・・・・・・ん?
「そうそう、お主じゃ。やっと自信の自我に気付いたか。余が調教してやろう」
「ア、アリスさん!?やめたほうが良いんじゃ・・・!?ストーリーが乱れるような 」
「たわけ!雄馬は優しすぎじゃ!」
ちょ、わ、て、いや、ぎゃあああああぁあぁあぁあ!
‡
※語り手であるハリーは調教されました。
五時間目の英語。雄馬のクラスは小テストを受けていた。
カリカリカリ・・・とペンの音が教室中に響き渡る。
バンッ!
急に勇人が机を叩いて立ち上がった。
「この問題おかしーだろ!『釘宮は虚無の担い手です』とか!どこのルイズだよ!」
くぎゅうううううううううううううううう!
「語り手は発狂するな!その気持ちはみんなも同じだ!」
「ちょっと!今は授業中です!やる気ないなら出て行きなさい!」
英語の教師は勇人にチョークを投げつける。
勇人は避けようとするが、チョークは下に角度を変えて落ちる。
いわゆるフォークだ。
チョークは勇人の股関に当たる。
ベストヒットだ。なんちゃって。
「ぐわぁあああああ!」
「おい!この問題も変だ ぐぇ!」
クラスで一番変態の立石が撃破される。
言い終える前に殺るとは・・・この英語の教師、できる!
立石は倒れると、その死骸を捨てるかのようにアリスは処分する。
窓から投げ捨て・・・!?
「うぉぉい!何やってんだ!?」
雄馬が声を荒げて防ぐ。
「死骸が教室に置いてあるのは嫌じゃろ?」
「可愛げに傾げるな!それにまだ息してるよ!!」
「むっ?死んでるように見えるじゃろ?生きてるんだぜ?」
立石は未だに気絶している。
早く起きないと本当に死んでしまうよ?
アリスは立石の頭を片手に持って力を込める。
ミシミシと音を絶てるが、立石は眉一つ動かさない。
「もうやめてあげて!立石君のライフポイントはもう0よ!」
椎名が声をあげて立ち上がる。
アリスは言われてもなお手に力を入れ続ける。
「アリス!いい加減にしろ!」
「ああー!!お前ら放課後職員室だ!!」
英語の教師、飯島先生は教卓を叩いて出て行った。
狂い始めていく雄馬の日常は、一体どこに向かおうとしているのか――