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昼食の準備
勝手知ったる幼馴染の家。案内の必要もなく揃ってリビングに入った。
「あるもんでいいからな」
制服の上からエプロンをつけ手を洗っている瑞穂に声をかけ、横に並ぶ。急かすようにして自分の手を蛇口から流れている水にさらす。
「ちょっと。手洗ってるんだから。手伝ってくれるの?」
「当たり前だ」
瑞穂は冷蔵庫の中から昨晩の残り物の揚げ物をレンジに入れ、その温めている間にキャベツを千切りした。千宙は茶碗を取り出して、ジャーからよそった。
「私、少な目にね」
「何言ってんだ、ちゃんと食わねえと元気にならんだろ」
そう言われるものだから、テーブルに置かれた茶碗を、瑞穂は覗いてみた。普通よりも少なく盛ってあった。その辺の気遣いに、彼が変わっていない所があることに彼女は微笑を湛えた。
冷蔵庫から取り出した麦茶をグラスに注いで、一飲みしてから、テーブルに並べられた昼食に箸を付けた。対面で並ぶ二人にとって会話を無理に出す必要はなく、ただ取り留めもなく浮かんできたことのキャッチボールでその時間を過ごしていった。