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彼氏は怪人が現れると色々と理由をつけてどこかに行ってしまう。もしかしたらその正体が悪と戦う「正義のヒーロー正義マン」かもしれない

作者: 黒豆100%パン

「ねえ、どこ行く??」



「ああ?次はね...えーっと」



アキノはデートをしていた。相手はこの剛という名前の男性。屈強な筋肉と凛々しい顔立ちに惹かれて付き合うことになったのだ。この剛という男、好青年で優しくある事を除けば完璧といえる。それは...。



「あっ、ちょっとトイレ行ってくるからね!」



「ああ...うん」



何かを察したのか剛はトイレに行く。アキノは「またか...」と言いながらため息をついた。

この剛という男、おそらく怪人を倒しているヒーローなのだ。確証はないがその状況がそれを物語っていた。例えば今にようにトイレに行くと言って去った数分後に怪人が出てくる。今日の怪人は目が飛び出ていて赤い怪人だ。もちろん最初は偶然だろうと思っていたが高確率で出てくるのだ。そのたびに剛はトイレだのなんだのと理由をつけて何処かに行ってしまう。



「正義マンよ!!」



「きゃー正義マン!!」



怪人が出てくると現れる正義マンという赤い格好の男。もちろん素顔は見えないが、身長も体格も剛にそっくりなのだ。ある時は怪人が出た時にすごく丁寧に怪人について語っていた事もあった。怪人を倒す正義の味方でもない限りあんな怪人について語れない筈だ。なのでおそらく間違いないとアキノは考えていた。



「私より怪人の方がいいの...?」



剛の唯一の欠点である怪人がくるとどこかに行ってしまうところは直してほしいと思っている。だがもちろん怪人に大暴れされても困るのでその両方でアキノの気持ちは揺れているのだった。

正義マンは怪人をキックやパンチを使って倒す。そして「正義は勝つ!!」という決め台詞を言って去っていった。そして去って数分後に剛は戻ってくる。タイミングバッチリすぎるぐらいだ。



「ごめんごめん!長くなっちゃって!!」



「ねえ」



「ん??」



「何か隠してる事ない?」



「え?え?べ、別にないよ!そうそう!ないない!!ははははは」



その動揺っぷりを見てアキノは確信した。おそらく正義マンの正体なのだろうと。アキノは諦めずにもっと詰め寄ってみる。



「正義マン...」



「ああ、さっきの怪人と戦ってた人ね」



「正直言って?あなたそうなんでしょ??」



「僕が正義マン??まさか!!そんなわけないよ」



「嘘つかないで!正義マンが現れるとあなたがどこかに行くんだから!!」



「まさか!偶然だよ」


剛はやはり偶然と言ってきた。だが、そんなことが何回もあったので偶然問おうには少し無理がある。そのまま押し切ればもしかして...とアキノは思っていた。



「あ、そうだ!用を思い出した!じゃあね!」



「あ!ちょっと!!!」



そう言いながら剛は去っていく。剛の秘密は誰にも言ってはならないのだ。そう、彼女のアキノにも...。








「正義は必ず勝つ!!」」



怪人を倒した正義マンは今日もそう言いながら去っていった。アキノはそれを見計らいバレないようについていく。今日は剛と過ごす予定だったのだが、突然キャンセルされたのだ。だがそれは逆にチャンスなのでは?とアキノは考えた。変身と解く所を見てしまえば言い逃れできないと考えたのだ。アキノはこっそりついて行き様子を伺う。正義マンはベルトのボタンを押すと光だした。おそらく元の姿に戻っていくのだろう。



「さあ...さああ姿を現しなさい!!」



期待しながらそう呟くアキノだったが、そこにいたのは全くの別人だった。アキノは「え???」という声を漏らしてしまう。確かに剛ではない。どこをどう見ても違うのだ。訳がわからずアキノは頭が混乱した。




「なんで?なんで??剛じゃないの??じゃあなんで剛は毎回??」



もう訳がわからずその場から立ち去りたかった。走っているとどこかで声が聞こえる。そっちの方が気になってしまい覗いてみるとそこに剛の姿があった。そして正義マンと戦っていたクワガタの怪人の姿。上司と思われる男とどうやら反省をしているようだった。



「今日もダメだったか...何がダメだったんだ?」



「えーっと...」



「えっと...」


剛もクワガタの怪人も頭を捻っている。だが何も思いつかないようで全く口が開かなかった。



「まあいいや。剛、今度は強い怪人を頼むぞ」



「はい!今度こそはあの正義マンを倒して見せます!!」



まさか怪人側だったなんて。話から察するにあの今までの怪人を作ったのも剛だろう。怪人に詳しい事にもそれなら納得がいく。



「ところでお前、彼女との約束はよかったのか?」



「それは...」



「すいやせん剛さん、私がもっと強ければ剛さんの時間を取らずに済んだのに」



「いや、いいんだ。俺の責任だ。もっと強くできなかった俺の。早速帰って試作を練らないと。「剛...あんな苦労をしていたのね...」

とアキノは言い去った。









「ごめん、ちょっと待っててくれるかな??」



剛はいつものようにそう言いながらどこかにいった。もちろん正義マンが現れたので怪人の様子を見に行くのだろう。アキノはその後ろ姿をみながら「頑張って」とエールを送った。

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