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迎撃。

 クレアの母親、クローナと闘う事になり、俺達は作戦会議を始めた。

 

「…クレア、さっき言ってた『殲滅拳打』ってどんなスキルだ?」

「…主、読んで字の如くです…。この辺り一帯を拳打のラッシュで殲滅破壊する母上のスキルです…」


 そのまんまだな…。拳打のラッシュか…。という事は『一撃滅殺拳打』はワンパンスキルの様だな…。

それを聞いた俺はどうやって対抗するか考えた。


 俺の持つタガースキル『ストームラッシュ』全力なら対抗出来るかもしれないが…あくまでも可能性があると言うだけで、実際やって見ないと分からない。


 タガーを破壊されると困るので俺は両腕に闘気ハンドを纏わせる事にした。闘気ハンドを纏い、ストームラッシュを使う…。

 これでいけるか…?


 俺は沈黙し考える。クレアは勿論だが、ティーちゃんとシーちゃんも、クローナの強さを知っているのだろう、沈黙したままだ。


 その傍で、フラムが一人、右手から旋風掌を出して遊んでいた。風を起こして砂を飛ばすのが面白いようだ…。


 俺はフラムをじっと見て考える。


 …真似をする…か。フラムの『まねっこ』は相手のスキルを見て真似るモノだ…。フラムはまだ小さいから、真似をしてもまだまだごく弱い威力でしか真似出来ない…。


 そのスキルを大人の俺が、ステータスの振り切れた俺が使うとどうなる…?


 これは賭けになるが…何もしないよりはいいだろう。俺は考えた。闘気ハンドを纏い、ストームラッシュをタガー無しで発動する…。


 …いや、待てよ。タガー無しだとタガースキルが発動しない。しかしレア装備が壊れるのは困る。タガーの代わりを探して、俺はアイテムボックスを探った。


 …あっ、これがあったか!!


 俺はアイテムボックスからあるモノを取り出した。ベルファでカリパクして壊れたままの木小剣だ。これは刃の部分が壊れてしまったが柄はまだ残っている。


 これを使うか。壊れた木小剣の柄を両手に握る。念の為にスキルが発動するか確認してみた。


 問題なく発動した。俺が試しに使ってみたストームラッシュを見て離れたクローナが呟く。


「…あの程度の速さか…あれではわたしの敵ではないな…」


 しかし俺はそれをスルーして、フラムを呼ぶ。フラムはテテテッと戻ってきて、俺を見上げた。


 俺はフラムを抱き上げて聞いた。


「…フラム、ちょっとだけ『まねっこ』スキル借りても良いか?」


 そう聞くと、フラムはすぐに「あぅっ」と答えてくれた。一応、ティーちゃんにフラムの意志を確認して貰う。


 どうやら大丈夫なようだ。俺はすぐにフラムのスキル『まねっこ』を抽出して自分のスキル欄にセットした。


 まずは『まねっこ』を発動させておく。暫くは龍眼とまねっこで観察だな。闘気ハンドで拳を保護しつつ、ストームラッシュを使ってクローナのラッシュを捌いていくか…。


 俺はフラムをクレアに預ける。


「クレア、フラムを頼む。フラム、少し待っててくれな…?」


 そう言ってから、クレアに預けようとしたフラムを見て、クローナがまたキレた…。

  

「なんとッ!!既にもう子供を作っているだとォォォ!!許せぬッ!!人間よッ覚悟しておけッ!!」


 キレやすい人…いや、龍だな…。


「…ぁ、お母さん。フラムは俺の子ではあるんですけど、クレアの子ではないんですよ…」


 丁寧に説明したつもりだったんだが、目の前のクローナはギョッとする程、目は血走り、歯ぎしりをしていた…。最初の静かで穏やかな雰囲気は何だったんだろう…?


「まさか貴様ァ、我が娘と結婚しておきながら、他の女にも手を付けておったのかアァァァァ…!!」

「…あ、いや、違います!!そうじゃなくてこの子は花の精霊フローレンスが俺の細胞の一部を使ってですね…」


 何とか誤解を解くべく、説明しようとしたのだが…。こりゃキレ過ぎてて聞こえちゃいないな…。


 目の前のクローナは、美人顔を真っ赤にして歪ませ、憤怒していた。顔が歪み過ぎてもう変顔みたいになってる…。


「…あの、他人の話は最後までちゃんと聞いて貰わないと…」

「…許せぬ、浮気をするような男はこの世から抹殺してやるわッッ!!」

「…いやッ、だから違うってッ…」


 クローナは全く聞く耳持たず、俺に襲い掛かってきた。


 誤解を解こうと必死に説明したのだが、クローナは全く聞き耳を持ってくれなかった。それどころか鬼の形相で俺に襲い掛かって来る。


「皆ッ、早くここから離れろッ!!来るぞッ!!」


 俺がすぐに離れるように叫ぶと、ちょうど戻ってきたリーちゃんが皆をかなり離れた所まで転移させた。その直後に上から飛び掛かってきたクローナの両腕が光る。クレアと同じくガントレットを装備していた。


「消えろ人間ッッ!!『殲滅拳打ッッ!!』」


 そんなもん喰らうか!!


 クローナにゾーン・エクストリームが通用するかどうか不安だったので、俺はすぐに神速四段を発動、その場から避けて後ろに回り込んだ。


 龍眼、まねっこは発動させたまま、殲滅拳打の攻撃範囲、威力、動きを見る。範囲は人間、二、三人が軽く入るくらいだ。人間が喰らうと全身が一気に無くなるだろうね…うん…。


 動きは直線で、ガトリング砲のように次から次へと拳打を放つラッシュ技だ。俺が避けたので、そのままクローナの両拳が、地面を抉るかと思いきや、寸前でピタッと完璧に止めた。


 破壊力を見させてもらおうと思ったが…完全にスキルをコントロールしているようだ。

…全く、どういう筋力してるんだか…。


 クローナはすぐに振り返ると、瞬間俺の目の前にいた。俺はその攻撃を『龍眼』と『まねっこ』で観察し続ける。


 両腕の肘から拳が残像を残し、まるで無数の槍で攻撃してくるように見える。範囲的には何とかストームラッシュで捌けそうだが…。

 問題はあの一撃一撃の威力だな…。


 しかし観察しているだけでは(らち)が開かないので、敢えてその攻撃を弾いてみる事にした。


「人間ッ!!逃げ足だけは速いなッ!!」

「そりゃどうもっ!!」


 クローナが上から襲い掛かってくる。そろそろゾーン・エクストリームの範囲に入るな…。俺は突き抜けて来る事を予想し、両拳に闘気を纏わせ、龍眼とまねっこで観察しつつ迎撃に入った。


 瞬間、ゾーンエクストリームは発動したが、やはり上位種族だ。簡単に抜けて来た。しかし、先程よりもその範囲の分、拳打のラッシュが少し鈍っているように視えた。


 これならいけるッッ!!


 俺は叫んだ。


「攻撃を全て弾けッッ!!『ストームラッシュッッ!!』」


 瞬間、木小剣の柄の部分だけを持った俺の両腕が光る。そしてクローナの殲滅拳打の打撃に合わせて、片っ端からその拳を弾いていく。


 弾くと言っても完全にではなく、攻撃の軌道を外す程度だ。


 ドガガガガガガガがガッ、ドガガガッ、ガガガガガガッッ…!!


 二人の間で、動いている腕の残像がぶつかり合う。クローナは直線、俺の方は拳を流す曲線だ。

ゾーン・エクストリームの影響もあって、何とか拳打を弾く事が出来た。この威力だと闘気が無いと俺の肘から先が完全になくなってたな…。


「…ほぅ、面白い!!闘気が使えるか…。人間よ…」


 クローナの殲滅拳打は、ただのラッシュ攻撃ではない。カイザーセンチピードでも、物理攻撃無効化を持っていたキメラモンスターでも、スキルを無視して、その一撃だけで破壊してしまうであろう凄まじい威力だ…。


 それだけに一撃を弾くごとに集中力を途切れさせる訳にはいかなかった。ちょっとでも油断すれば、押し切られるどころか俺自体が粉微塵になる…。


 しかし、ストームラッシュで何とか凌いでいたが、徐々にクローナの手数が増え始めた。


「ホラホラホラホラァッ!!まだまだまだまだ行くぞオォォッ!!」


 目は血走り、完全に逝っちゃってる…。こりゃマジモンの戦闘狂だな…。このままだと、こっちの手数が間に合わなくなりそうだ。


 ジリジリジリジリ、少しづつ押し込まれて行く。


 …くッ、かなりキツイ…。このままだと完全に押し込まれて終わりだ…。一旦、退避するか…。


 しかし、一つ一つの拳打が速過ぎて、逃がしてくれない。完全に退避するタイミングを見失ってしまった…。もう逃げられない…。さて、どうするか…。こういう時は焦ってはいけない。一つ一つ見極めて確実に合わせていくしかない。


 俺はここで潰されるわけにはいかないッ!!絶対に押し戻すッ!!強い決意の後、俺の全身が光った。


≪合成上位スキル、イミテーションミラー獲得しました。発動します≫


 イミテーションミラー?鏡に写したように真似るのか…?考える間もなく、その瞬間に俺の腕が曲線から直線に動きを変えた。


 スピードと手数が完全に同じになる。再びインフォメーションが流れた。


≪イミテーションミラー、相手の攻撃を分析。最適化します≫


 その直後、クローナの拳を弾いていた俺の拳がクローナの攻撃軌道を外側にずらす様に、滑らせて流していく。


「…クッ、どうなってるッ?いきなり手数を増やし、押し戻してくるとはッ!!」


 殲滅拳打を放ちながら、叫ぶクローナ。俺の拳はクローナの内側から外へ外へとズラしていく。

結果、少しづつだがこっちが押し込み始めた。


 …いけるッッ!!スキルの力で完全に押し込んでやるッッ!!


 しかし、そう思った瞬間、クローナは突然、戦法を変えて来た。一瞬、少し後ろに下がると、腰を落とし一撃に集約した拳を放って来た。


 その瞬間、まるで時が止まったかのように、周囲の動きが止まる。実際は時間は進んでいたが、まるでスローモーションのように極限まで遅く感じた。

 

 その間に、俺の思考が加速する。


 手数より一発の破壊力に切り換えたか。このままだとこの一撃で俺の腹は撃ち抜かれる…いや、拳の周りに後から付いて来る拳圧で、俺の全身が爆散してしまうだろう。


 さっきのラッシュ以上の威力を集約して込めている。神速五段でも影響は避けられないかもしれない…。

 

 俺は咄嗟にストームラッシュとイミテーションミラーを止めて『神速五段』を発動、保険で『朧』と『すり抜け』を同時発動した。


 その瞬間、止まった様に極限まで遅くなっていた時が動き始める。


 神速五段で避け、『朧』で素粒子化された俺の身体は、同時併用の『すり抜け』で更にその素粒子の状態でさえも変化させた。


 電柱程もあるクローナの槍状の拳打の一撃が、霧のように消えた俺の身体を、突き抜けた。


「…なッ!!何ィィィッッ!!わたしの一撃滅殺拳打をッ!?」


 俺の身体は、クローナの攻撃の勢いで、霧散したように一瞬で消えた。

*補足*

 合成上位スキル『イミテーションミラー』は『龍眼』+『まねっこ』でプラチナスキル。『ストームライダー』は『ファントムランナー』+『神速』+『ストームラッシュ』でゴールドスキル。


かなり前の回で出ている『神幻門』は、『ファントムランナー』+『神速』+『朧』でプラチナスキルです。

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