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ついでにお酒も買っといた。

 無事、調査依頼も完了したので、シャリノアで一泊してから、ブレーリンに戻る事にした。醤油についてはそれからでも良いだろう。


 ギルドの簡易宿泊所に泊まるという事でロメリックとはここで一旦、別れた。ギルドを出て予約を取って置いた宿屋へ向かう。


 予約を取っていた宿屋に行ったのは良かったんだけど…。


 クレアが大部屋は嫌だとゴネ始めた。大部屋ではなく、大人二人と子供達と別に部屋を取ろうと言い出したのだ…。


「子供達と一緒の部屋だった場合、教育によろしくないモノを見せてしまう可能性があります故…」

 

 …とか言ってる…。


 お前は一体、俺とナニするつもりなんだよ…w?広いし、安くて済むし風呂も付いてるからと思って大部屋を取っといたんだけど…。


「姉さま。今更、予約の変更は出来んじゃろ?」

「そうでしゅ、今更文句言っても聞かんでしゅ…」

「あの時、単独行動してる方が悪いのよ?一緒に居れば希望くらいは聞いて貰えたのにね…」

「…ぐぬぬぬぬッ!!おぬしら、仲間であろうッ!?揃いも揃ってわらわの邪魔をするとは…」


 俺はチラッとカウンターのおやっさんを見る。俺達の会話に苦笑いしか出てこないみたいだ…。


「今回は、多目に酒飲んでいいから我慢してくれ。キャンセルしても他が空いてないんだよ…」


 実際、時間的な事もあり、多くの交易商人が宿泊予約に来ていた。


 クレアがみんなと話している間に、おやっさんに聞いてみたが、この時間になると、別々で部屋を取るという事はかなり難しいそうだ…。

 

 何とか、皆にクレアを説得して貰って無事、予約していた大部屋に宿泊する事となった。


 部屋に上がると、俺は皆に断ってから早速、一番風呂に入った。木材出て来たヒノキ風呂のような感じで凄く良い。


 身体を流す桶も置いてあり、日本人の俺にとっては温泉宿に来たような感じで最高だった。



 風呂から出ると、既に食事が運ばれていた。部屋の中にお座敷の様な一角があり、そこで皆がテーブルを囲んでいた。


 下の食堂で食べても良かったんだけど、部屋にお座敷もあるし届けてもらえるという事で、そっちでお願いした。


 皆、食べずに待っててくれたようだが…。


 約一名、我慢出来なかったのか、運ばれてきてたお酒に先に手を付けたようだ…。顔を真っ赤にして、幸せそうな顔で既に沈没していた…。


 

 …色々、早いんだよ!!



 まぁ、今日は働いてもらったから疲れたのかもしれないな。そう思いながら、既に寝落ちしていたクレアをベッドに運び、寝かせておいた。

 

 改めて席に着いてみんなと夕食にした。メニューはまず前菜で山菜の炒め物の小鉢からだ。


 次にスープ。野菜と鳥骨の出汁をベースにして、そこに塩を加えたようなスープで、あっさりしていて美味しい。肉団子のような具と人参や大根などの野菜も入っており、ヘルシーな感じだ。


 今日はもう辺りも暗い時間なので、ビールとお酒を注文しても特にちびっこ達からの突っ込みはなかった。


 まずは麦芽が香るスタンダードなビールだ。イイ感じに冷えていて美味い!!それを飲みながら、メインの肉料理を食べる。


 牛肉を豪快に厚切りしたステーキだ。味付けはシンプルに塩だったが、これがまた美味い!!


 ビールが進んだが、明日早くにここを発つ予定なので、ビールは二杯までとして、お酒の方も呑んでみた。


 味は清酒のような感じだ。少し辛口で舌触りがさらっとしていて呑みやすい。あまり飲み過ぎて明日起きれないと困るので、お酒も二杯だけにしておいた。


 クレアが肉が良い肉が良いと、うるさかったのでメインは肉料理のコースを頼んでおいたんだが…。本人はビールと酒だけ飲んで、料理に手を付ける前に寝落ちしている。代わりにリーちゃんが肉に必死に食らい付いていた。


 酒をゆっくり飲みながら見ていると、ちびっこ達は自分達の料理とラストのデザートのゼリー?の様なものをペロリと食べた後、クレアの残した料理を三人で全て綺麗に食べ切っていた…。



 翌朝、早めに起きて、シャリノアを発つ支度をする。クレアは酒が飲めて満足だったのか、料理については何も言わなかった。

 

 とにかくビールと酒が美味かったと朝からうるさいwお前そんなに飲んでなかったろ!!と突っ込みたい所だったが黙っておいた。


 支度をして宿屋を出てから、村長に言われた米の卸業者を尋ねる。お米の保管と販売を兼ねているお店?に挨拶をしてから入った。


「おはようございます。昨日、村長からここへ来るように言われたホワイトです…」


 店の奥を見ると保管倉庫のようになっていて、みんな朝早くから既に仕事を始めている。そこのカウンターにいたおばちゃんが、ハイハイ、伺ってますよと言いながら奥に入った。


 その間、店の中に並ぶお米を見て周る。米以外にも、麦なども販売しているようだ。種類もかなり豊富だ。


 そうこうしているとおばちゃんが十キロ分ほどのお米を台車で持って来てくれた。俺はそれを担ぐと、勢い良くアイテムボックスに放り込む。それを見ておばちゃんが驚いていた。


「ボックス持ちだったのかい。それなら十キロくらいならなんて事は無いね」


 笑いながら、サービスで二キロほどの、これもまた最高品質のお米を出してくれた。それを受け取ってお礼を言い、お米のお店を後にする。次は色々なお酒を取り扱っている酒蔵に向かう。


 禅爺に幾つかお酒を買ってお土産に持って行こうと思ったからだ。水が綺麗だと、お米がおいしい。お米がおいしいと当然、お酒も美味しい。


 と、言う事でシャリノアを発つ前に、村長に教えて貰っていた酒蔵兼販売店に来た。お酒だけでなく、ビールやカクテルのようなものまで置いているようだ。


 取り敢えず辛口の清酒、純米酒とかなり高級そうな大吟醸みたいなヤツを二本づつ買った。

 

 一本は自分用、もう一本は禅爺へのお土産だ。クレアにも、お酒を買ってくれとねだられたので、仕方なくもう一本づつ買う事にした…。


 お酒であればビールだろうがワインだろうが何でもイケる口のようだ…。


 しかし毎回思うんだが、コイツ絶対金持ってないよな…。宿屋にしても料理屋にしても、一切の支払い行動を見た事がないからな…。


 道の駅のような広い店内をお酒を見て歩いていると、ロメリックも現れた。義兄であるテンダー卿に、いくつかお酒を買って帰るそうだ。

 

 俺はついでにビールも四種類ほど買っておいた。



 ちょうど良くロメリックとも合流出来たので、シャリノア北門に向かう。農場なので朝早くから働いている人が多い。俺も地球では朝早い仕事だから、特に違和感はない。


 エミルについては、未だに意識不明なので、シャリノアで村長とギルドマスターに引き継いで看てもらう事にした。

 

 俺は買ったお酒とビールを、お米と同じくアイテムボックスに放り込む。ロメリックは普通の鞄しか持ってなかったので、リーちゃんが鞄に入れて代わりに運ぶ事にしたようだ。

 

 これで途中、襲われても酒瓶が割れる事はないだろう。シャリノアを発つ前に、クレアが先程の酒販売店で、朝からやたらと試飲をしていたので結構な酔いっぷりだ。


 陽気な感じで鼻歌交じりにふらふら歩いている。俺はその後ろを歩きながら、シーちゃんに『ひそひそ』で頼んだ。


≪…シーちゃん。例のアレ、出してくれる…?≫

≪例のアレってなんでしゅか?≫


 俺がチラッと一瞬、酔っ払いクレアに視線を向けると、何の事かすぐに分かった様だ。シーちゃんが鞄から酔い覚まし用の青苦水を出してくれた。

 

 凄く、凄ーく濃い、緑色の液体。


「…クレア、カクテルだから飲めよ…」


 それを喜んで受け取ったクレアは、栓を抜いて青苦水を一気に飲み干した。


「…!!…グッ…ンンッ…!!」


 立ったまま、暫く目を閉じて顔を顰めている。握った拳がプルプル震えててちょっと笑った。

 

「…主、騙しましたね…?」


 クレアが、俺をジロッと見る。何とか酔いが覚めたようだ。


「そんな事言っても、酔っぱらったままだと道中、危ないだろ?」


 俺はそう言い聞かせたが、危ないのはクレアの方じゃなくて、酔っぱらって加減を忘れた攻撃を喰らう盗賊とかの方なんだよな…。


 怪物を蹴り飛ばしたあの強度の攻撃を見ていると、盗賊の頭とかをうっかり消し飛ばしそうでコワいからな…。


 俺も何回かティーちゃん達に飲まされてるから、青苦水だとある程度酔いが覚めるのを知っている。クレアはブツブツと文句を言っていたが、全てスルーしといた。



 北門に付くと、朝早いのにマロイ婆とゴーリック村長が見送りに来てくれていた。


「お世話になりました」


 という俺に、世話になったのはこっちだよ、ありがとう。と二人に言われて、何だかこそばゆい。

マロイ婆がうちのちびっこ二人にも、またおいでと行ってお菓子をくれた。

 二人に見送られながら、俺達はブレーリンに向かって出発した。


 帰りは何組かの盗賊に会ったが問答無用で、ロメリックと俺、ティーちゃんとシーちゃんで無力化した。


 クレアはまだ少し酔いが抜けてないのか、反応が遅い。そのまま縄を掛けてブレーリンまで俺とクレアの二人でゴミを引き摺って行く。


 昼に差し掛かる少し前に、再びキャンプをして腹ごしらえをしてから、俺達は再び歩き始めた。


 ゴミが俺達にも食わせてくれとうるさかったので気絶させといた。これなら腹が減ったとか考えなくていいだろうw?


 どんどん街道を北上していくと、行き掛けに見た海底遺跡に繋がるダンジョンの入り口が見えた。


 その入り口には、何組かの冒険者やハンターと思われるPTがいる。俺はゲームが好きなので、ダンジョンと聞くとやはり興味を惹かれる。


 憧れのダンジョンに、とてもとても入りたい所だったが、色々とゴミを引き摺っていたので、またの機会に来る事にした。



 夕刻に差し掛かる頃に、何とかブレーリンに到着。衛兵達に引き摺ってきたゴミを引き渡し、ロメリックの特権で衛兵の詰所から街に入った。

 

 ギルドの前でロメリックと別れる前に、調査同行のお礼に夕食に誘ってみた。勤務は明日からと言っていたので恐らく誘っても大丈夫だろう。

 前に一度、館にお邪魔して御馳走して貰ったからな…。


「本当ですか!!ご一緒させて頂きますよ!!」


 快諾してくれたので、前に泊まったダンディさんのいる宿屋にある広い料理屋兼、飲み屋で待ち合わせをする事にした。テンダー卿も誘ってみるとの事だったので俺達は先に、宿屋に向かう事にした。


 その際、リーちゃんが忘れずに鞄からお酒を出してロメリックに渡す。ロメリックと別れた俺達はすぐに宿屋へと向かった。

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