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白と黒の共宴。

 俺はクレアに作戦を伝えた後、真獄を発動させる。一瞬にして辺りが真っ暗になった。継ぎ接ぎの怪物と戦うクレアごと、俺達は別空間に移動した。


 もし、俺の考えた方法でダメなら、力技でいくしかない。まぁ、真獄の中なら少々暴れても構わないだろう。


 周りの被害を心配する必要もないし。今回はクレアに本気でやって貰うとしよう。


「…クレア!!頼むぞ!!」

「あぁ、分かっております。しかし、さすが主じゃ!!この様な方法を考えつくとは…」

「…まだ巧く行くか分からんけどね。継ぎ接ぎなら、逆に解体も出来るだろ?恐らくだけど…」

 

 俺達は作戦を実行に移した。



 外部からの攻撃は受け付けない。しかしコイツは継ぎ接ぎだ。攻略法はなんとなくだけど考えついてた。この作戦は俺とクレアにしか出来ないだろう。


 今回、ここで接敵したヤツは帝国と教皇領の者である事は、乙女ちゃんと闘った事によって解った。王国のゴミだとか、教皇に逆らう邪教徒だとか叫んでたからね。こういうヤツを生み出して、王国内部を混乱させようとする者が、潜伏しているのかもしれない。

 

 センチピードを撃破された事によって、物理攻撃無効化も付けた継ぎ接ぎのモンスターを造ったんだろうけど、甘いね。

 

 甘い甘い、虎〇の団子より甘いわ!!


 さて、クレアと二人で怪物を解体してやるか…。俺は神速を使い、怪物の背後に立つ。


 コイツが反応する前に、俺はスキル『朧』を発動した。当然、怪物は俺に反応し攻撃をして来る。

しかし、何をやっても当たらないんだな、これがw


 怪物の鎌の乱撃は、ビュンビュンと俺の身体を通過していくだけだ。次に、クレアにコイツの気を引いてもらう。


 この場所で、だ。俺に攻撃が当たらない怪物は、背後に立ったクレアに反応した。その場で、怪物の攻撃を受け流しつつ、相手をしてもらう。


 怪物が巨大ベアクローでクレアに乱撃を仕掛ける。その攻撃を見切り、出来るだけこの場から動く事無く、ギリギリで躱していくクレア。

 

 時折、ガントレットで攻撃を弾いている。


『受け流してもらう』、と軽く言ったが相手はリッパーマンティスの鎌をデカい爪のように両手に五枚づつ付けた危険なヤツだ。


 コイツの相手は、パワー、スピードそして闘気アーマーを兼ね備えているクレアにしか出来ないだろう。


 俺は朧を発動したまま、この怪物に身体を重ね合わせた。接近すると、すぐに蛇の尻尾が反応して攻撃してくるので、まずは蛇の尻尾から解体だな。

 

 俺は人体再構成八十%までスキルを戻すと、気脈逆流タガーも同じように再構成八十%まで戻ったのを確認する。


 タガーを怪物の蛇尻尾の付け根部分に重ねたまま、そのままちょっとだけ刺す。このタガーは、刺突攻撃のみで気脈逆流を起こし小爆発を起こせる。


 思った通りだ。内部に先に武器を差し込んでいれば、攻撃とは認識されないようだな。

 

 すぐに、怪物の尾てい骨辺りが、内部小爆発を起こした。その瞬間に俺は神速で退避、朧を解除した。


「クレアッッ!!頼むッッ!!」

「分かっておりますとも、行くぞッッ!!怪物ッッ!!」


 叫んだクレアが素早く怪物の背後に回り込むと、怪物の脚を思いっきり蹴って転がす。怪物をうつ伏せに倒すと、体勢を戻される前にクレアが蛇の尻尾を掴んだ。


「ウオオオォォォォォッッッ!!」


 咆哮と共にクレアは左足で怪物の腰を抑え付けたまま、全力モードで掴んだ蛇尻尾を根元から捥ぎ取った。

 クレアは捥ぎ取った蛇尻尾を投げ捨てる。


「キシィィィェェェェェェーッッッ…!!」


 何とも奇妙な叫び声を上げる怪物…。フクロウ頭だからフクロウの鳴き声をデカくした感じだ…。


 ドサリと落ちた蛇尻尾が、まだぴくぴく動いていてキモチワルイ…。俺は神速で近づくと、すぐに腐蝕のタガーで数回刺しておく。ほどなくして蛇尻尾は腐って、土に還った。


 継ぎ接ぎで良いとこ取りにしたのが、逆に仇になったな。


 これで俺はこの作戦で行けると確信した。



 今回、俺が考えた作戦は、内部からの破壊だ。勿論、元のネタは俺が好きな、あの漫画からですw


 ジョ〇フがサ〇タナと戦った時のヤツだ。わざと取り込まれて半分同化した後、内部から波〇を流してサンタナの身体を破壊したアレです。


 しかし、内部から気脈逆流で小爆発を起こしても、完全に破壊とまではいかないだろうと踏んでいた。だから、ここからはクレアのハイパワーの見せ所だ。


 魔法を撃って霧散させられるなら、攻撃して物理攻撃が通らないのなら、関節技でやればいいんじゃあないかな、と考えた。

 まぁ尻尾は引き千切って貰ったけどw


 一度、内部から小爆発を起こせば、その部分は何もない丸裸と同じだからな。

上手く行きそうで良かったわ。


 ダメだったらプランBの『力技で折りに行く』予定だったからなw

 

 集中を切らさず、続いて怪物の鎌付きの腕に狙いを定める。再び接近した俺に、怪物が反応した。


 巨大ベアクローで切り裂き攻撃を繰り出すものの当たらず、翼を使って上昇した怪物が、ジェットフラミンゴの脚で攻撃を繰り出してくる。


 しかし『朧』を使っている俺には、何をやっても当たらないw

 

 同じ要領で、クレアに攻撃を捌いて貰いつつ、朧を使い身体を重ねる。次はコングの肩とベアの腕の付け根に気脈逆流タガーを刺し込む。

 

 俺が退避した後に、怪物の背後に周ったクレアが、小爆発を起こした鎌の付いたベアの腕を取り、関節部分に膝を当てる。


 メキッ、メキメキッッ…!!


 もう少しで折れそうだ。怪物は必死に藻掻くものの、クレアの怪力によって逃れる事が出来なかった。


 怪物の腕を取ったまま、クレアが左手で怪物の翼を掴む。小爆発を起こした関節部分に膝を当てて固定したまま、全力で腕を折りに行く。


「ウォオオォッッ!!」


 クレアは全力で折ったベアの鎌の付いた腕を投げ捨てる。

もう片方の鎌の腕も既に、俺が気脈逆流で小爆発させていた。


 再び背後に回ったクレアが怪物の鎌の腕を取る。

翼を掴んで固定し、膝を腕の根元に当てると、同じ様に思いっきり腕を折った。


「ギィシャァァァーッ!!」


 これで二本の鎌の腕は無くなった。

千切れた両肩から、ボタボタとドス黒く染まった体液が流れ出ていた。


 しかしモンスターはそれに構わず、翼を羽ばたかせて空中へ逃れる。

そのまま空中から、ジェットフラミンゴの脚で怪物が俺に向かって急降下で突攻してきた。

 

 俺は寸前まで引き付けた後、神速で避ける。

怪物がフラミンゴの脚で地面に着地した瞬間を狙い背後からクレアが怪物を蹴り倒す。


 態勢を戻そうと藻掻いている間に両翼の付け根に逆流を起こさせておいた。地面に倒れたまま藻掻いている怪物の上にクレアが跨る。


 両方の翼を両脇で抱えると、クレアは脚で押さえ付けて固定した怪物の背中から、翼を捥ぎ取った。


 しかし、この怪物の叫び声は聞くに堪えない…。コイツに罪はないが、このまま放ってはおけない。何とかしないと村の住民達が危ないからな…。


 ようやく立ち上がった怪物は、翼と腕を失い、バランスが悪くなったのかふらついていた。


 次の瞬間―。…ゴフッ!!と嘴から大量の体液が噴き出した。もう攻撃らしい攻撃は出来ないだろうが、油断は出来ない。


 クレアがふらつく怪物を足払いして、うつ伏せに倒す。その上から俺は、両脚の付け根を爆発させた。もう既にコイツのキャンセル効果が機能していないのか、逆流の小爆発だけで両脚が千切れ飛んだ。


 胸に無数に生えていたセンチピードの脚で、何とか逃げようとする怪物。それをクレアが足で押さえ付ける。逃げられなくなった怪物の首にタガーを刺す前に、スキルを確認した。


『マジックキャンセル』赤色スキル。人造怪物錬成によって生み出された特殊モンスターが※※※※※によって与えられたスキル。


『物理攻撃無効化』赤色スキル。これも上記と同じ説明文が付いていた。


 説明欄を見て、これが人為的に生み出された怪物だと分かった。今回は粉砕していないので、スキル説明文が簡単に見えた。巨大センチピードも人為的に生み出されたモンスターだったのだろう。


 しかし、肝心の『誰によってこの怪物が生み出されたか』の部分については、伏字になって見えなかった。

 スキル泥棒のレベルが上がらないとこの部分については見えないのかもしれない…。


 取り敢えず、俺は二つとも『天獄』で抽出した。クレアに、押さえ付けて貰っている間に怪物の首の部分に気脈逆流タガーを刺した。

 

 小爆発起こし、首と胴体が離れて動かなくなった怪物に俺は合掌しておいた。

 

 人間の都合で作られた合成モンスターか…。コイツらはある意味、被害者と言って良いだろう。

こういうのを創り出すマッドかサイコか知らんけどそういうヤツがいるのか。


 もっと知識をまともな方に使えよな…。


 怪物との戦闘を終えた俺は、乙女ちゃんが回復したかどうか確認する為に真獄を解除する。その瞬間、俺とクレアは元の場所に戻った。


「ホワイトさんッ!!…モンスターは…!!」


 別空間から戻ってきた俺達に、ロメリックが駆け寄って来た。ティーちゃんとシーちゃん、リーちゃんも集まって来る。

 

 ロメリックが、四散した怪物を見て驚愕した。


「…これはッ!!…一体どうやって…!!」

「アンソニーよ、よくやった!!センチピードの時の教訓が生かされておるのぅ。通常の攻撃とは違う方法を考えたんじゃな?」

「うん。まぁそんなとこだね」

「アーッハッハーッ!!わらわと主に掛かればこんな怪物など敵ではないわッ!!」

「…シーも戦いたかったでしゅ…」

「シーはまたの機会だな。やはりわらわと主くらい相性とコンビネーションが良くないと出来んからな!!」


 そう言って高らかに笑うクレア。俺と一緒に倒した、という事をやたらとアピールしてる…。そんな中、皆が俺の頭に注目する。


「…ところで、また髪が…」


 リーちゃんが俺の頭を指さす。


「ホントじゃ、またちりちりになっておるのぅ…」

「髪がボンバーしてるでしゅ」


 …何いィィッー!!


 俺は慌ててリーちゃんに頼んでミラーの魔法で自分の姿を映して貰った。


 …またかよ…。

 

 怪物倒すのに必死だったから皆も今、俺のチリチリ頭に気付いたようだ。…炎のゾンビのせいだな…。


 俺の頭はまたもやド〇フのコントみたいになっていた…。何とか必死に髪をすいてみて、見れるように戻した…。

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