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情報更新されていない。

 無人の星で一人、スキル強化集中訓練をしているクレアの前に妙なヤツらが現れた。


「…なんだ、お前達は?」

「それはこちらセリフだ。お前こそここで何をしている?」


 質問を質問で返したのは人間の姿をしているが擬人化した青い龍達だ。お互いその正体が解かっているが相手がどこの星の龍か分からない。


(…青い龍…青龍の長の指金か…?しかしあの星の青龍とはすこし闘気が違うな…)


「…ここで何をしているか?と聞いているのだ。答えて貰おうか…」

「貴様らはなんなのだ?わらわは今、忙しいのだ。集中が切れるであろう?痛い目に遭いたくなかったらさっさと失せるんだな?」


 クレアの言葉に顔を曇らせる龍達。クレアは相変わらず集中を切らさず、全身の黒い闘気にスキル素粒子を集めている。


「…それは…黒い闘気…そしてそれは何だ…?闘気の外側に何か得体の知れぬエネルギー…」

「…闘気のエネルギーも増している?固有種としての龍は成龍になってからエネルギー量は決まっているもの…」

「…この様な龍種は我が星にはいない…。危険なヤツめ…ここから出て行かぬと力ずくで…」


 龍達が囲むものの、全く動じる事無く訓練を続けるクレア。


「…お主らこそわらわの訓練の邪魔をするなら排除するぞ?」


 その言葉に一気に緊張感が走る。次の瞬間、青い龍達は一気に襲い掛かって来た。クレアはすぐに『黒怨眼(こくえんがん)』を発動させる。そして青い擬人龍達の動きをスキル全体で感知する。


 直後に黒怨眼が攻撃の最適化を始めた。


 まず右のヤツに接近、プラズマを纏わせた裏拳で吹っ飛ばす。


「グハッ…!!速いッ…」


 続いて後ろから接近していた二体を回転する勢いのまま左上段蹴りで纏めて蹴り抜く。


「…グッ、どうなってるッ!?こちらの闘気が消されているッ!?」


 纏めて吹っ飛んだ二体が吹っ飛んで行った。そのまま回転しながら体勢を下げてしゃがむと右脚払いで左側にいたヤツを転ばせて上から首を掴むと、そのまま回転して前から接近していたヤツらに投げ飛ばした。


 味方が飛んできて折り重なって倒れる青い擬人龍達。


 更に前方から突っこんで来るヤツに左足を軸にして飛び上がると回転して相手の右肩から袈裟切りする様にその首元に叩き込んだ。


「…グハッ…!!強い…そして我らのエネルギーさえも吸い取っている…のか?」


 更に集まってくる龍達を見て不敵に笑うクレア。


「…フフフ、懲りぬヤツらよ。訓練ついでに思い付いた面白いスキルを見せてやろう…」


 そう言うとクレアは龍たちが飛び掛かってくる寸前に膝を付いて両手を地面に付けると叫んだ。


「プラズマオーライミット(プラズマ闘気放出)!!」


 その直後、一定範囲の地面にダークプラズマを纏わせた闘気を放射状にウニの棘のように発動した。 

瞬間、闘気が擬人龍たちを纏めて吹っ飛ばし、更にその闘気を打ち消しつつエネルギーを吸収していく。


 クレアを中心に、吹っ飛ばされた青い擬人龍達が倒れていた。


≪…それってアンソニーの範囲攻撃のパクリでしょ?≫


 突然、多層次元帯からリーアに問われたクレアが答える。


≪なんだ、お主見ていたのか?これはパクリとか言うヤツではない。主が闘気の形状を変えているのを何回か見た事がある…主に出来てわらわに出来ない事はない。そこにプラズマを合わせて闘気を放射状に形状を変えて攻撃しただけだ。参考にはさせて貰ったが真似ではない≫

≪それを世間ではパクリって言うんだけど…≫


 そう言いつつ、肩を竦めるリーア。


 クレアは今まで闘気を身体に薄く纏って闘っていたがプラズマの力を手に入れた事により、闘気をより攻撃的な形で回す事が出来るようになった。


 倒れていた青い擬人龍達が起き上がる。


 その中の一人が叫んだ。


「我らとてこのまま敗けるわけにはいかぬッ!!ブレスを使うのは不本意であるが仕方あるまい!!『水龍鋭叉咆ッ(すいりゅうえいしゃほう)!!』」

 

 口を大きく開いた青い龍の叫びにクレアが呟く。


「…水龍?青龍ではないのか…?」


 呟いたクレアはドラゴンブレスに怯む事無く全身のプラズマと共に黒い闘気を全身から放出した。


「『ダークプラズマエクスプロージョン』ッ!!」


 その瞬間、青龍ならぬ水龍の放ったブレスは霧散し、クレアによって完全吸収された。


「…そ、そんなまさか…水龍鋭叉咆がっ…闘気が変化した上に謎のエネルギーまで使うとは…お前は龍なのか?何者なのだ…?」


 震える声で問う水龍。


「…ふッ、固定概念に囚われた哀れな者達よ。それだから龍種は進化出来ぬのだ。今ので良く解っただろう?訓練の邪魔だ、早く失せるが良い!!」

「…帰れと言われてそうやすやすと帰るわけにはいかんのだ。この星は我ら水龍の管轄地…他所の者に入られて敗けたとあってはメンツが立たぬ…」

「…む?お主ら水龍の管轄だと?少し待て…今、確認する…」


 それを聞いたクレアがリーアに問う。


≪…リーよ、この星に生物はいなかったのではないのか?あやつらの話だとこの星は別の惑星の龍種が管轄にしているようだぞ…?≫

≪…えっ?…ちょっと待って調べるから…あ、ゴメン。情報更新されてなかったみたい…担当の妖精チームに確認してみる…≫


 そう言うと沈黙するリーア。しばらくして答えが返って来た。


≪…あぁ、確かに。この金煌(きんこう)星は二百年程前から隣の流水星の水龍が管轄してるみたい…他の星探すからそこの水龍達に謝っといて…≫

≪おいッ!!リーよ!!お主が間違えたのだ。お主が謝らねばダメであろうッ!?≫


 クレアが叫んで突っこんでみたものの、リーアは多層次元帯で沈黙したまま反応しなかった…。



「…済まぬ。お主らには悪い事をしたな…。どうやらこちらの間違いだったようだ…」


 謝るクレアに意外そうな顔を見せる水龍達。


「…それは良いのだが…何故、他の星の黒龍がわざわざ何もないこんな所まで来て訓練などしていたのか…?」


 しばらくの沈黙の後、静かに話を始めるクレア。

 

「…わらわはより、強くならねばならんのだ。他の星に龍種の掟があるかどうか解らぬがわらわは掟を覆す為に修行をしていたのだ…」

「掟ならどの星の龍種にもある。しかし掟を覆すなど並大抵の修行などではひっくり返せぬ…。それを敢えてやろうとは…変わった黒龍だな…」

 

 クレアが水龍と話しているとリーアが声を掛けて来た。


≪クレア、新しい所見つけたよ~?今回は下調べしたから大丈夫。すぐ飛べるよ?≫

≪解かった、改めて謝罪した後にそこへ行く。少し待っててくれ…≫


「…改めて、済まなかったな。お主達には悪い事をした…」


 そう言って頭を下げるクレア。


「いや、解かってくれればそれで良い。それでアンタはどうするんだ?」

「別に無人の星が見つかったのでそっちに向かう。縁あればまた会おう…」


 そう言うとクレアはリーアに呼び掛ける。


≪リーよ、転移出来るぞ?≫

≪はいはーい。じゃ、転移させるね~≫


 去ろうとするクレアに水龍達が慌てて寄ってくる。


「…最後にお名前をお聞かせ願いたい!!」

「…わらわはクレア、クレア・ホワイトだ…」


 その瞬間、クレアはリーアの長距離転移魔法で消えた。


 直後に水龍達が呟いた。


「…あの者、黒龍なのに…ホワイトとは…」


 水龍達は苦笑いを隠せなかった…。



 俺は先に館に戻った後、眠そうにトコトコ歩いて寄って来たフラムを抱っこする。庭で皆が訓練しているのを見に行こうかと思っていた時にふと、ブレーリンのアイちゃんとエミル達の訓練も見てくるかと思い立った。


 そろそろ亡命許可も下りているだろう。事情はウィルザーも知っているのでそこはスムーズに進んでいると思う。


 ティーちゃんとシーちゃんにはクレアは一人で訓練しているから後で戻ってくる事を伝えた。


「…やっぱりアイツは強いわ。戦闘だけならセンスの塊だよ…。俺の方が自信失くしたからね…」

「なんじゃ?そんなに力が伸びたんか?」

「…そうなんだよ。俺がアイツに力を貸したからあんまり言いたくはないんだけどね…」


 そう言いつつ、クレアがプラズマを闘気と同じ様に全身に纏い、俺の攻撃をことごとく打ち消しただけでなく、最終的にエネルギーの吸収までされたと話した。


「うぅむ、やっぱり姉さまは戦闘だけはすごいでしゅね…」

「そうじゃのぅ、戦闘だけはすごいのぅ…」


 シーちゃんとティーちゃんはそう言うが一応、歌の方も中々だったと思うけど…。まぁ、それは良いとしよう…。


「取り敢えずこれからフラムと一緒にブレーリンの戦闘訓練の方も見て来るよ。皆の訓練が終わったら夕食の準備をしてて…」


 二人に頼んだ後、俺はすぐにブレーリンに飛んだ。



 門衛に挨拶してから警備駐在所から街の中に入らせて貰った後、すぐにギルドに向かう。俺とフラムがブレーリンギルドの訓練所に入ると、エイムがエミルと組み手?をしていた。


 訓練所の隅でチャビーと未依里、憂子が見ている。アイちゃんがいないな…そう思っているとギルド側のドアから入って来た。


「ん?アイちゃんどこ行ってた?」

「わたしは採集依頼終わらせて今、帰ってた来たんだけど?ホワイトさんはいつ来たの?」

「あぁ、今来たんだよ。皆の亡命申請と訓練状況も見に来たんだ…」


 俺とフラム、アイちゃんはエミルの訓練を見学しているチャビー、未依里、憂子に挨拶をして隣で訓練を見学させて貰う。


 チャビーは戦闘が出来るので、まずはエミルの力の底上げを優先していると憂子が話してくれた。


「…絵未がダンジョンでモンスター退治を出来るようになったらアイちゃんと未依里ちゃんの訓練をするそうです…」


 …ふむ。まずはPTとして機能出来るように前衛から訓練って事ね。そんな事を考えていると一旦、休憩の為に二人が戻ってきた。


「…おや、ホワイトさんとお嬢様も来られたのですか?」

「あぁ、ちょっと様子を見にね。どうだ?訓練は進んでるか?」


 俺の問に全身、汗塗れで肩で激しく息をするエミルが答える。


「…まだまだ、体力を付けないと…」


 …まぁ、そうだな。エミルの場合はスキル発現はともかくとしてまずは体力からだろう。聞くと亡命許可が下りてから毎朝、ブレーリンの外周を一区画づつ走っているようだ…。


 …マジかw?


 そのおかげでブレーリンでもかなりの変わり者として街の人達や警備兵達にも認知されているらしい…。


 まぁ、頑張っているようで良かった…。


 …しかしどいつもこいつも頑張り過ぎなんだよ…。元から高速移動スキルや人のスキルを盗み取れる俺はこの世界に来てから特に努力はしてない…。


 クレアと言い、融真、ジョニー、キース達、エミル達と言いなんでこんなに頑張るんだよ…。俺はなんだか肩身が狭い気持ちになった…。


 続けて訓練についてのちょっとした助言、エイムに徒弟の子供達の受け入れなどを話していたその時、ある男がギルドに入ろうとしているのが見えた…。


 何でアイツがここに居るんだ…?

ちょっと最後だけ書き足してますw

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