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魔障気とスキル強化。

 ウィルザー、ジョニーとキース達、フィンと霍延(かくえん)、シグルス、カシス達が家を見に来たという事で取り敢えず皆で夕食にする事にした。


 館の前にある庭まで皆で上がっていると、フィンにどこに行っていたのか聞かれたので東鳳にいたと話した。


「東鳳ッ!?何でまたそんな遠い所にいたんだ?」


 俺の答えに霍延が驚く。その事に付いてウィルザーが説明を始めた。


「ちょっとした依頼があってな。それでホワイトとエイム、子供とリベルトが東鳳に行ってたんだよ。名前が売れるとあちこちから依頼が来るからな…」

「…ふーん、忙しいんだねぇ」


 シグルスの反応に俺は笑う。


「あぁ、色々あって忙しいねwまだギルドからの罰のボランティアも残ってるし…」

「罰?何かやらかしたのか(笑)?」


 フィンに聞かれたのでブレーリンでの泥酔暴れん坊事件の事を話した。ドン引きする四人の中でカシスが呟く。


「…よくそれで罰がボランティアだけで済んでるわね…」

「まぁねwちゃんと謝罪して反省してるからねw」

「普通はそんなモンじゃないからな?警告が出てもおかしくない件だぞ(笑)?」


 フィンの言葉に皆笑っていた。


 館の前で夕食の準備をしていたクレア、フィーちゃん、セーナさんとアマナ、レイザに合流して皆で準備を終わらせた後、俺はアイテムボックスから大量の肉を取り出す。


 それを見た霍延が突っ込んできた。


「アイテムボックス持ちか(笑)!!アンタ、色々持ってるよな(笑)?」

「アイテムボックスはこの星に来た時に最初から付いてたからねw」

「そうなんだよ、コイツは召喚組の中でもかなり恵まれてるんだよ(笑)!!」


 ウィルザーに言われたが、ゲーム内の機能がほぼ丸ごとついて来てるからなwそこはただの召喚者とは違うからねw


 皆で話しつつ、肉と野菜を焼いた。



「…ダンナ、そろそろスキルに付いて話を聞きたいんだが…」


 ジョニーに言われて思い出した俺はまず融真の事から話す事にした。


「あぁ、そうだったな。まずは融真の『魔障気』訓練の話をしてからスキルに付いて話すよ。この二つには関連がある…ような気がするからなw」


 ジョニーの質問に答えつつ、融真の魔障気に付いて気が付いた事を話した。


「ちょっと気になってたのが何故、融真だけ魔障気を呼び込めないのか?なんだよ…」


 俺の話に、一人だけ発現出来ていない融真は真剣な表情だ。


「…ぁ、話を遮って悪いんだが魔障気の事から教えてくれないか?」


 霍延に言われたので簡単に魔障気に付いて話した。


「おもに魔族が使う、スキルの底上げする補助能力の一種…で良いよねw?」


 俺がフィーちゃんに聞くと肉を頬張りながらうんうんと頷く。


「魔障気は一般の魔族も使うでな?だから人間に教えても大丈夫なんじゃ」


 俺とフィーちゃんの説明に頷くジョニー、キース達、フィン、霍延、シグルス、カシス。


「それでダンナが気になってる事って何だ?」


 融真に促されて話を続ける。


「俺が暴れて魔族のえらいヤツと闘った時なんだけど…『メルトフィーバー』が中々発動してくれなくてね。それで呼び掛けたんだよ。そのスキルに付いている炎熱神アドら…何とかにね。で、ギリギリでメルトフィーバーが発動したんだ…」

「…アドラヌシアね。で、何が言いたいんだ?呼び掛けるのはいつも戦闘中にやってるけど…?」

「えっw?融真は声に出して言ってないだろw?」

「…ダンナ、あれは心の中で念じれば良いだけで声に出さなくて良いんだよ(笑)?」 


 …そうだったのか…あの時、必死だったからな…。思いっ切り声に出して言っちまったじゃねーかっw!!


 …まぁ、良いか…。取り敢えず話の続きだ…。


「…そのアドラヌシアね。で、俺が考えたのは融真が魔障気を呼び込むにあたって炎熱神に許可を取らないとダメなんじゃないか?って事なんだよ…」


 瞬間、融真の険しい表情が柔らかくなった。 


「それだッ!!ダンナ、ありがとうッ!!ちょっと下で試してくるよ!!」


 そう言うと融真は、皿と箸をおいて門の前まで走って行った…。そんな融真を見て肉を喰いながら肩を竦めるキャサリンとクライ。


「…魔障気なくても融真の能力って充分反則級だと思うけどね~」

「うん、僕もそう思いますよ…」


 走って行く融真を見たジョニーが呟く。


「…アイツ、熱いヤツだな~…」


 俺も肉を喰いながらお前もだいぶ熱いヤツだけどな、と心の中で突っこんだ。続けて俺はスキルに付いて話をする。


「…次はスキルについてだな…」


 そう言いつつ、戻る前にシャリノアで買っておいた小瓶に入ったビールを配っていく。


 フラムは蜥蜴人レイザに抱っこされてお肉と野菜をモリモリ食べていた。ティーちゃんはセーナさんに抱っこされてお肉と野菜を、シーちゃんはアマナが抱っこしてお肉と野菜を食べさせていた。


 フィーちゃんはキャサリンに抱っこされて魔力を使って肉だけを引き寄せて食べていた。


 皆でビールの栓を抜いた後、乾杯しようとしたその瞬間、融真のスキル、メルトフィーバーが魔障気を呼び込んで一気に拡がって来た。



「…これはまさかッ!?融真(アイツ)がやったのかッ!?」


 ジョニーが立ち上がり、俺を見る。あまりに強いエネルギーにフィン達も思わず立ち上がった。


「ああ、アレがアイツの能力なんだよ。このままだとちょっと危険だから止めて来るわ…」


 俺はすぐに『朧』を発動して転移で融真に接近するとスキルを止めろと叫んだ。このままだと上にいる俺達は良いとしても、ご近所迷惑になるからな…。


 魔障気を呼び込んだ融真のメルトフィーバーはそれくらい危険なエネルギーを持っていた。そのまま転移で、融真と上に戻る。


「凄まじいエネルギーだな(笑)?使う時と場所を考えて使った方が良い。ここは王宮が近いからな(笑)!!」


 ウィルザーに注意されて恥ずかしそうに頭を下げる融真。


「…いゃ、嬉しくなってつい…皆、ごめん…」


 そんな融真を見た一同は笑っていたが一人だけ、ジョニーは笑っていない。ジョニーは真剣な目で俺を見る。


「…ダンナ、スキルの底上げで魔障気が有効なのは解かった。俺も訓練するよ。切り札で使えそうだし。あとはスキル自体の強化の話を聞きたい…」


 真剣な眼差しに俺は頷いた。



「…主、もう一本下され…」

「あんまり飲み過ぎるなよ?お前も明日からスキルの訓練だからな?」

「…わ、解っておりますとも…」


 苦笑いするクレアにビールとついでに純米酒を渡す。それを蜥蜴人レイザ、カシス、アマナで分けている。そして意外な事にセーナさんもお酒がいける口のようだ。


 グラスに分けて女性陣で純米酒を飲んでいた。


 それとは逆に樽ごと酒を飲みそうなイメージのキャサリンはビールを飲んだ後は全く飲んでいなかった。ひたすら美味しいと言いながらフィーちゃんと一緒に肉だけ喰っていた…。


 ウィルザーは何でも飲めるようだ。今はフィン達とワインを飲んでいる。俺もビールを少しづつ飲みつつスキルに付いて話を始めた。


「スキルに付いてはエイムから話して貰おうかとも思ったんだがちょっと気付いた事があってさ…」


 俺は昼間、クレアがスキルを発現した時の事をビールを飲みつつ話す。


「…簡単に要点だけを話すよ。スキルが発現するにあたって必要なモノがある。『スキル素粒子』だ。解りやすく例えると魔法を発動させるときに必要なのが魔素、スキル発動に必要なのがスキル素粒子なんだ」


 ふと見ると全員、真剣な目で俺を見ている。恥ずかしいからあんまり見ないで欲しい…。


「気が付いたのはクレアが新しいスキルを発現させた時の事なんだ。こう、なんて言うかエネルギー的なものが集まっているのが視えたんだよ。あ、俺、そう言うのが見えるスキル持ってんだけど…」

「…アンタ、さらっと言ってるけどスキル、幾つ持ってるんだ?」


 霍延に聞かれたが今、自分がいくつスキルを持っているか数えていない。


「…ごめん、数えてない…」

「…て、事は…数えきれない程あるって事?」


 シグルスに聞かれたので、まぁそうだねと答えておいた。


「…話を戻すよ?魔素や魔障気をスキル素粒子に置き換えてみれば俺が言いたい事は解かるよね?」

「…つまりスキル素粒子をより多く呼び込めれば強化出来るって事か?」


 ジョニーが俺を見て言うので、この辺りに詳しいであろうエイム先生に話を振った。


「…で、大体スキル強化に付いては合ってるかなw?」

「えぇ、ホワイトさんの説明がほぼ答えになってますよ。補足を付けるとしたら魔法と同じく、スキルを発動時に意識を向ける事が重要です。しかし…」


 そう言いつつ、ビールを飲んだエイムが話を続ける。


「戦闘中に意識を向けてスキルを使っていると自殺行為になります。ですからそれを『無意識』に使えるようになるまで訓練が必要かと…。正に魔導師の方が意識せず強大な魔法を行使しているのと同じ理論ですよ」

「って事だ。ジョニー、キース達もまずは魔障気を呼び込む所からやった方が感覚を掴みやすいかと思う。スキル強化に付いては並行してぼちぼち進めた方が良いだろう…」


 俺の言葉に頷くジョニー。納得する説明が出来て良かったw


 皆、話しながら飲み食いする中でセーナさんがお母さんに食事を持って行くという事で席を立った。ティーちゃんは俺が膝の上に乗せる。


 セーナさんが食事を運ぼうとした時、お母さんが部屋から降りてきたようだ。


「母さん、起きて大丈夫なの?」

「うん、お薬がだいぶ効いてるから大丈夫。皆の楽しそうな声も聞こえて来たからね…」


 そう言いつつ笑うお母さんに、クレアが真っ先に席を開ける。


「お母様、こちらへどうぞ!!」


 セーナさんがお母さんの前に食事を置く。


「皆さん、こんばんは。セーナの母のシーナです。よろしく…」


 皆と挨拶の後、お母さんと一緒に改めて夕食を再開した。



 翌朝、フラムとティーちゃんシーちゃんと朝の支度をしていると外が騒がしい。俺は執務室の隣の寝室から出て二階フロアの窓からの庭を見ると、正門前の広い庭で朝っぱらから皆が集まっていた…。


 …なんで朝から皆うちに集まってんだよっ!!


 融真、キャサリン、クライはここに住んでるから良いとしよう。フィーちゃんが来る前に既に朝の訓練を始めている。更にジョニー、キース、レイザ、ルドルフ、アマナも来て魔障気訓練をしていた。


 まあまあ、ここまでは良いとしよう。


 フィン、霍延、シグルス、カシスまで来て皆で魔障気訓練を始めていた…。アイツら、元気良過ぎだろうw?


 下に降りるとセーナさんが起きていて既に朝食を作っていた。


「皆さん居らっしゃってるので多めに作ってるんです」


 俺達はすぐに朝食作りの手伝いに入った。ティーちゃんとフラムは野菜の皮むき、シーちゃんが野菜のカット、俺はスープに入れる鳥肉をカットして行く。


 セーナさんはそれを煮込んでいく。更に俺はカットしたジャガイモとハムをその他野菜を混ぜて簡単なポテトサラダを作った。


 最後にフライパンで目玉焼きを作って朝食が完成した。お母さんのシーナさんも降りてきたので一緒に、皆の訓練が終わるまでに長ーいテーブルの上に朝食を並べていく。


 リーちゃんも起きて来たのでクレアがどこにいるか聞くと二日酔いでまだ寝ているとの事だった…。


 …アイツ、だから飲み過ぎるなって言ったのに…。

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