銃と弓。
最近、AI画像生成でイメージイラストを入れています。まぁ、イメージ通りにはいきませんがw
どこかのタイミングで失敗した画像を載せてみたいと思う今日この頃ですw
ゲインと蟲テイマーを連れて士武馬の西の海岸沿まで転移した俺は、ゲインと闘いつつ、蟲達から逃げていた。
特殊な弾丸を避けた所で突如、空が暗くなった。
俺とフラム、ゲインと蟲テイマーは驚いて上空を見上げた。そこに悠々と空を飛んでいる一体の黒い龍がいた。
次の瞬間、一瞬にして黒龍は空から消えた。と思ったら上から人がスーッと降って来た。背中におんぶしていたフラムが上を指さして声を上げる。
「あぅぁーっ、あぁいうー(パパーっ、ははいるー)」
俺は思わず溜息が出た。来ると思ってたよ…。留守番頼むって言ったのに…。
擬人化して上空から降りて来たのは、ベ〇ータくらい自信満々に腕を組んで何故かドヤ顔しているクレアだった。
「オイッ、確か俺はお前に留守番を頼んだよな?何でここに居るんだよ!!」
「主ッ!!助太刀に参上しましたぞッ!!」
…助太刀って…。お前は、単純に暴れに来ただけだろうw?それを良い様に言い換えてるだけじゃねえかw!!
「…むッ!?敵が二人…。主、どうやら苦戦しているようですな!?」
「いや、別に苦戦してねーわっ!!」
背中でフラムがケラケラ笑っている。
「ほほぅ?やはり、フラムもわらわが来た事を歓迎しているようですぞ?」
…こりゃダメだ…何でもかんでも自分に都合のいい様にしか取らねぇな…。仕方ないな。向こうも二人だし、クレアにも戦わせるか…。
そんな事を考えていると、ゲインが叫ぶ。
「…お前ら!!戦闘の最中に随分余裕だなッ!!死んで後悔しろッ!!『ブラストマシンガン』!!」
その瞬間、クレアの背後に向けたゲインの両腕が巨大な機関銃に変形する。凄まじい爆音と共に無数の弾丸が間断なく襲い掛かる。
「…オイッ!!クレアッ!!避け…ろ…」
と言おうとして俺はすぐに言葉を止めた。クレアが人間の能力でどうにかなる訳ないからな…。マシンガンを撃ち終ったゲインの顔が蒼褪めていた。
「…で?なんだ?その攻撃は。全く痛くも痒くもないぞ?」
腕を組んだまま、振り返りもせずに言うクレア。背中から凄まじい黒い闘気が溢れ出している。
全ての弾丸を闘気で完全にブロックしてるわ…やっぱりコイツに関しては戦闘で心配する必要はないだろう。取り敢えずクレアには蟲くんの方をやって貰うか。
「クレア、そっちは俺がやる。そいつに親父を殺されたヤツと敵討ちを約束してるんだ。お前はあっちのフードの方を頼む」
「承知ッ!!」
そう言うとボキボキと指を鳴らしつつ、フードに向かって行くクレア。蟲フードも、さっきのクレアの全弾丸、弾いているのを見ているので、完全に及び腰だ。
さぁ、今のうちにゲインを倒しちゃうか!!
と思ってたら今度は俺に向かって機関銃で攻撃して来た。全弾がゾーン・エクストリームに侵入する前に、俺は龍神弓を取り出す。
「ゲインくん、見るが良いッ!!俺もキミと似たような事が出来るのだよッ!!」
俺は龍神弓を構えたまま、『イミテーションミラー』と『狂襲乱射』を同時発動させて、ゲインの機関銃攻撃に応戦する。
ゲインの弾丸と俺の弓スキルによるエネルギー弾がぶつかり合い、凄まじい轟音が響く。少しの間、拮抗していたが、同時発動しているイミテーションミラーが状況を最適化し始めた。
機関銃から向かってくる全ての弾丸を、こっちのエネルギー弾が外へと滑らせて弾いていく。そしてじわじわとゲインの攻撃を押し込み始めた。
「…クッ、俺のブラストマシンガンが弓攻撃に押し敗けるとはッ…なんて野郎だッ…!!」
「あっはっはーっ!!驚いたかね?ゲインくん!!俺はそこらのザコとは違うのだよ!!ザコとは!!」
ゲインの機関銃攻撃の終わりと同時に、俺は狂襲乱射を止める。そしてその一瞬で、俺はゲインの心臓を狙ってエネルギーショットを放った。
「…クソッ、エニルディンにこんな能力者がいたとはッ…!!しかしッ…『フレキシブルアーマード』ッ!!」
ゲインはエネルギー弾が心臓を貫く前に、防御スキルを発動させる。寸前で柔軟な装甲?スキルが俺の放ったエネルギー弾をいなした。
…コイツ、中々おもしろい能力者だな。一瞬で放った俺のエネルギー弾を見切って弾きやがった。攻防兼ね備えたバランス型だな…。いや、攻撃力の方が少し高いか…。
俺がゲインを休ませまいと、龍神弓からタガーに持ち替えて神速で接近しようとしたその瞬間、後ろからクレアが俺の肩を叩いた。
何だよ!!こんな肝心な時に何でコイツは俺の邪魔すんだよ!!
◇
「…主、ちょっと話があるのですが?」
「オイッ!!今、戦闘中だぞッ!?戦闘に集中しろよっ!!」
俺が振り返ると、クレアが恥ずかしそうに言う。
「いや~、わらわは蟲が苦手なんですよ。あのフード、まさか蟲を出してくるとは思わなかったんで…だから代わって貰えませんか(笑)?」
「はッw!?何言ってんだ!!戦闘しに来たんだから蟲くらい龍のスキルで何とかしろよ!!」
俺の言葉に、クレアがキレて俺の胸元を掴む。
「主!!今の言い方は聞き捨てなりませんぞ!?いくら龍と言えど苦手なモノは苦手なんですよッ!!」
…コイツ、開き直りやがった!!
「ていうかお前、戦闘中なんだから手を離せよ!!開き直ってる場合かッ!!」
俺達が掴み合いの問答をしていると当然だが、ゲインがブチ切れた。
「テメェらッ!!戦闘中にフザケやがってッ!!いい加減にしろよッ!!マジでぶっ殺してやるッ!!」
「オイッ、ゲイン!!止めろッ!!いったん撤退だ!!そいつら尋常な能力者じゃない!!俺の呼んだ蟲達が黒い波に呑まれて戻ってこないんだ!!」
どうやらクレアの『怨蝕』によって蟲達が消えてしまったようだ。…ちゃんと戦闘してるじゃねーか…。何でクレアは今更、交代してくれとか言うんだよ…。
クレアの『龍戯・怨蝕』に呑み込まれた蟲達を目の当たりにした蟲テイマーから忠告が飛んだが、ブチ切れていたゲインには届かなかった。
「喰らえッ!!『アームストロングキャノン』ッ!!お前ら消し飛べッ!!」
叫んだ瞬間、ゲインがアームストロング砲に姿を変える。砲身に急速に魔素が集まり、エネルギーが急上昇する。
「オオッ!!キサマ、良い度胸だな!?ドラゴンブレスのモノマネかッ!?わらわが相手をしてやろうッ!!」
そう言うと、クレアは掴んでいた俺を突き放す。
「オイッ!!お前の相手は向こうの蟲テイマーだろッ!?そいつは俺が…」
俺の言葉も空しく、クレアは大きく呼吸を吸い込むと、ゲインに向かって一気にブレスを放った。
瞬間、アームストロング砲から放たれた強力なエネルギー波を飲み込んだクレアの『黒閃咆』が一気に砲身を消し飛ばした。
すぐにスキルが解除され、下半身だけとなったゲインが、その場にドサッと倒れる。
…コイツッ!!一番、懸念していた事をやりやがった!!
クレアの黒閃咆は小規模ではあったものの、ゲインの上半身を消し飛ばし、その向こう側、北方向にある山をも貫通して北にある領地まで長いトンネルを作ってしまった…。
…コイツは一度、黒龍の里に連れて行ってクローナにヤキ入れて貰った方が良いな…。
俺はすぐに振り返る。蟲テイマーは既にどこかに逃げたようだ。士武馬領に戻ったか、レバロニア本国に戻ったかのどっちかだな…。
俺達が…いや、エニルディン王国が介入している事を本国に報告されると面倒な事になりそうだ。
それを知ったらレバロニアも本腰を入れて東鳳に介入してくる可能性がある。俺はすぐに、リーちゃんを呼んで追跡して貰おうとして瞬間、閃いた。龍眼で視るとまだ転移スキルの残滓が残っている。
俺はすぐにその残滓を辿る様に『神幻門』を発動した。
◇
備戎陣営の洞窟では士武馬からの攻撃軍を撃退したエイムを歓迎していた。
「まさかあの様な能力をお持ちとは…。あの凄まじい攻撃を受けてからの逆転劇、感服いたしました…」
「わたしもあの魔法同時発動にはかなり驚かされましたよ。ビヴァク殿は中々の能力者でした。太蘇にあのような能力者がいるとは今後も油断は出来ないですね…」
エイムの言葉に頷く備戎幹部達。エイムが太蘇、士武馬領軍を撃退した事によって厳戒態勢は解かれ、ビショウと備戎幹部が集まる。
そこにリベルトが戻ってきた。
「皆さん、ご無事でしたか?戦況はどうなっています?」
リベルトの言葉に、幹部の一人が笑顔で答える。
「エイム殿のお陰で先程、戦闘が終了し士武馬領軍は撤退しました」
その報告にほっとしたリベルトがエイムを見る。エイムがリベルトを気遣いつつ、ここであった事を報告した。
「リベルトさんは大丈夫でしたか?ホワイトさんと先程、能力者の存在を確認しました。まずは能力者の確認と排除からした方が良いだろうと話していた所なのです」
そのエイムの報告に、リベルトは離反工作に行っていた士武馬太守屋敷であった事を話した。
太守屋敷で転移を止められ、能力者ゲンゲンと戦闘になった事、そしてその後、備戎陣営が太蘇士武馬領軍に攻撃されていると聞いて戻ってきた事などだ。
話を聞いたエイムは自身が抹殺した能力者ビヴァクが話していた事を思い出した。
「…その方は太蘇側が能力者を雇っている様に話していました。恐らく外部勢力からの雇用かと思いますが…」
その言葉にビショウがリベルトとエイムの二人に問う。
「…あの、その話ですと他国が既に東鳳に介入している、という事ですか?」
「…そうです。恐らくあの装備から考えると『噴奴』ではなく『レバロニア』かと思います。憤怒は能力者を雇う事に消極的な国ですからね」
「ホワイトさんはどうしましたか?能力者との戦闘に入っているのですか?」
エイムに問われたリベルトが答える。
「わたしが戻ってくる前にまだやる事がある、とおっしゃっていたので恐らく士武馬太守、ヨウカ様を説得しているかと。能力者と戦闘になっているかは不明です…」
リベルトの話に考えるエイム。
「わたしが闘った方は幻術、元素魔法を使う方、そしてリベルトさんが闘った方は魔念道使い…。少なくとも銃撃、狙撃が可能な能力者がまだいるかと思います。この後どうされますか?」
リベルトとエイムが今後の動きについて話をしようとした瞬間、軽い地響きと揺れが起こった。突然の地響きと揺れに動揺するビショウ以下、備戎幹部。
同時にエイムは、東の方角からの高出力のエネルギーを感知した。
「…これはッ!?このエネルギーは…ッ!!」
そう言いつつエイムがリベルトを見る。
「エイム殿、どうしましたか?まさかまた太蘇からの襲撃ですか?」
「…いえ、違います。このエネルギーは奥様のものです。奥様がこちらに来られているかと…」
それを聞いて思わず顔をしかめるリベルト。
「…奥様は名代として館の留守を任されているはずですが…」
そんなリベルトに笑い掛けつつ、エイムが言う。
「リベルトさん、わたしにはあの方が大人しく留守をしているような性分ではない気がしますが(笑)?」
「…確かに(笑)。しかし戦場においては一人の勝手な行動が作戦全体を狂わせてしまう事もあります。奥様にも困ったものだ…」
そう言いつつ、リベルトは苦笑いしていた。
◇
その頃、士武馬太守屋敷では、門番をしていた男がヨウカに報告をしていた。
「…お嬢様、ビヴァク殿が敗北したとの知らせが入りました…」
「…ほぅ、強大な魔法を行使するあの者が敗れたか。ゲンゲンを撃破し、備戎を攻撃したビヴァクまでも破るとは…」
「先程の商人に扮した者達、如何でしたか…?」
「…うむ。口だけではなさそうだ…」
「ではどうなさいます?あちら側に付きますか?」
その言葉に笑みを浮かべるヨウカ。
「まぁ待て。アイツらは利用出来る。まずはレバロニアの者共をこの太蘇から排除させる…。アイツらに付くかどうかはその後だ…」
その言葉に頭を下げて退去する門番の男。
「…さて、次の東鳳の天下は誰に転がり込むかな…様子を見させて貰うか…」
ヨウカは笑みを浮かべで呟いた。




