美女とはベッドで勝負したい!!
謎の美女、クレアと向かい合うと、ティーちゃんの合図で戦闘を始めた。
しかし、見れば見る程に美しい。そしてグラマラスだ。だが見惚れている場合ではない。こうなる展開は予想していたが本当に戦闘民族みたいなセリフを言われると、正直めんどくさかった。
疲れてるから早く帰りたいし…。ホント「ベッドで勝負だ!!」とかだと、大歓迎なんだけど…。
目の前でクレアが高速で拳を繰り出してくる。武器的なモノはガントレットしかない。戦闘スタイルは格闘で確定だな。
さて今回は勝負ついでに『神速』がどこまで速くなるか試してみる事にしよう。
実際、どこら辺りが限界なのか良く分からない。どうせ戦わないとダメなんだったら、色々試してみようか。ついでにオモシロ作戦を思いついたのでやってみる事にした。
俺はクレアの拳打を神速で避けていく。このスピードが第一段としよう。クレアの背後に周り込み、このスピードに付いてこれるか検証した。
すぐに反応して反転、クレアの左裏拳が俺の側頭部を狙う。
俺はそれを神速を使って後ろに下がる。クレアはそのまま回転しながら、右ハイキック、そのまま蹴った足を軸にして更に回転。そのまま体勢を下げながら左の足払いを仕掛けて来る。
俺はバックステップと神速を使ってクレアの流れる様な攻撃を躱していく。避けていく俺を追う様に、低い体勢から体重移動をしつつ地面を踏み込むと、ジャンプして空中で前転。
クレアの右踵落としが、俺の頭上から凄まじい勢いで襲い掛かってくる。俺はそれを紙一重の距離で避けた。全体重を掛けたクレアの右踵落としが、そのまま地面を激しく抉る。
ドゴオォッッッ!!という轟音と共に、地面が砕けて陥没した。
≪オイッ、クレアよッ!!大地を壊すんじゃない!!そこはさっきワシが埋めたばかりの所だぞッ!!≫
叫んでいるのは大地の精霊ガイアスだ。…いや、アンタ、まだいたんかいw
クレアは精霊からの苦情を無視したまま、俺に向かってくる。裂帛の気合と共に、ハイキック、回転して後ろ廻し蹴り、続いて中段突き。俺はその攻撃全てを避ける。
「ほぅ、人間の癖に速いな?しかし我が種族にも、それくらい動ける奴はザラにおるわッ!!」
「そりゃどうも!!精々頑張って俺に攻撃を当てて見せてくれ!!」
俺はクレアと闘いながら応酬する中で『種族』という言葉に疑問が浮かんだ。…ふむ。部族じゃなくて種族か?戦闘民族的だから、アマゾネスな部族の人だろうと勝手に思ってたけど…。
…種族か。もしかして亜人かな…?それだと、この自信も頷ける。「人間の癖に」とか言っていたから恐らく亜人なのだろう…。しかし俺には限りなく人間に見えるんだが…。
俺は更にスピードを上げていく。神速二段目。
「ほうッ、まだまだ速くなるのかッ!!面白いッ!!」
面白くなってるところ、大変申し訳ないけど、俺はまだ攻撃はしない。
クレアの攻撃は凄まじいパワーとスピードだ。普通に、パンチ一発で大地を抉り大穴を空ける。これは下手に手で捌いたりすると腕ごと持っていかれそうな破壊力だな。
…おっ、俺のっ、俺の、うっ、腕がァァァっ…!!とかにはなりたくないので、今は取り敢えず避けつつ観察した。
禅爺と比べると、型があって規則的な感じではなく、攻撃をランダムに流れる様に繰り出してくる感じだ。龍眼で見ていると薄っすらと、クレアの全身をエネルギーが覆っているのが見えた。
さっき感じたオーラ…これは闘気だな。全身に黒い闘気を薄く纒い、攻防一体で使っているようだ。シーちゃんがプロテクトを纏っているのと同じだな。
「人間よッ!!攻撃せんとわらわには勝てんぞッ!!早くさっきのエネルギー弾を出してみせろッ!!」
クレアは早くエネルギー弾を出して見せろって言うけど、あれは弓攻撃だ。こんなに接近されて出せるワケない。というか今回はタガーも弓も使わないけどね。
オモシロ作戦を決行する為に、俺も闘気を使う事にした。神速二段目で避けつつ、俺も全身に闘気を纏おうとしたが、かなり繊細なコントロールが必要の様だ。
なかなか上手くいかない。今はまだ無理か…。
仕方ないので闘気を使って、両手にガントレット両足に拗ね当てをイメージする。そして今まで観察した、クレアの動きをトレースして真似てみた。
「…ほぅ、お前、闘気が使えるのか…面白い人間だな!!しかしその動きはわらわのマネか?そんな柔なパワーでは、わらわの闘気を突き抜く事は出来んぞッ!!」
そう言われても、こっちは今、攻撃当てるつもりないからね。動きの練習になるかも、と思って組み手の様に当てずに攻撃を繰り出しているだけだ。それを交互にやる。
クレアは俺の攻撃を受け流し、俺はクレアの攻撃を避ける。なんか二人で、ダンスしているみたいで面白い。
「…人間ッ、何が面白いッ!?」
…自覚がなかったが顔がにやけてたのか…。最初は対戦する事にかなりめんどくせぇと思っていたが、クレアの攻撃を見て真似てみたら凄く面白い。
格闘も武術もやった事のない俺には、禅爺の様な武術や武道より、こっちの格闘の方が合ってる気がした。まぁ、このステータスありきで、というのは否めないけどね。
「…いやいや、クレア。アンタに会えてよかったよ。かなり面白い、感謝するよマジで!!」
「ふんッ、そんな事はどうでもいいッ!!キサマッ、本気で戦っておらぬな?」
そりゃそうだよ。いくら亜人とはいえ女性と殴る蹴るはちょっとなぁ…。まぁ、観察はほぼ終わったし、そろそろ作戦を始めるとしますか。
少し怒った様に迫ってくるクレア。…ホントマジでこれがベッドで…だったらなぁ…スゲェ嬉しいんだけど…。
しかし、この戦闘中に何に困ったかって、そりゃクレアの大きすぎるムネが攻撃の度にすんごい揺れるわ、ミニスカみたいな装備が捲れて生足とかお尻とか際どいパンティみたいな装備が見えるんだもんな…。
この衣装というか装備、何とかならんもんかな?ホント困るわ、俺の下半身が…。動きづらくて仕方ないんですけど…。
◇
ほぼ、攻撃の観察は終わった。そしてスキル泥棒によって、クレアの持っているスキルも視えた。驚いた事に、俺と同じスキルを持っていた。
『龍眼』と『龍神闘気』の二つだ。やはり龍系の亜人かな。ドラゴニア?ドラゴニクか?
まぁ、それは一旦置いといて、避けるばかりではなく今度は俺も闘気を使ってクレアの攻撃を捌いてみた。闘気同士がぶつかり合い反発しているのが見える。俺はプラチナカラーの闘気、クレアは黒い闘気だ。
攻防の中で、俺は作戦通り、ギリギリまでクレアの黒い闘気に近づけるようイメージする。そのまま掌で触ってもクレアの闘気は反発して突き抜けなかった。
ここでも俺は、あの漫画を参考に闘気をコントロールしてみる。『一点集中』だ。指に手袋の様に黒い闘気を纏わせる。そっと触れると、直に肌に触れる事が出来た。闘気は汎用性が高いと神様が言ってたがその通りだ。
俺が闘気を指に纏わせ肌に触れた事に、クレアは気付いていなかった。繊細な力加減が必要だが何度も試してみる。ククッ、これなら作戦通り行けそうだな。
俺は思わず、ニヤけてしまう。
「…フッ、何が面白い?わらわを倒す算段でも思いついたか?それともあのエネルギー弾を出す気になったか?」
正にしのぎを削る様な攻防の中で、俺はクレアに答える。
「ちょっとエネルギー弾は見せられないけど、その代わりに俺のとっておきの技を見せるよ!!」
その言葉に、クレアが喜色満面の表情を見せる。
「ほほぅッ!!ついに本気を見せてくれるか、人間よッ!!」
「ああ、とっておきのを見せる!!」
そのセリフに、リーちゃんとアイちゃんの両方が反応した。
「…まさか、そのとっておきのヤツって…アレの事じゃ…」
二人とも漫画の読み過ぎだwそう言う意味で使ったんじゃなくて、今回は本当に俺のオリジナルと言ってもいい攻撃方法を考えた。
それを俺は、戦う前から既に考えていた。まともに当たる気なんてなかったからね。ティーちゃんが、リーちゃんの言葉に反応し、俺に『ひそひそ』を飛ばしてくる。
≪アンソニーよ、リーの様子で分かったが、まさかまた漫画のパクリをやるつもりなんか?≫
そう聞かれたので、言い回しだけでオリジナルの攻撃を見せると伝えた。
「ほほぅ、そうか。それは楽しみじゃのぅ…」
シーちゃんも期待したような目で見ている。
「シーも楽しみでしゅ」
俺は、両手をわきわきさせた。ふふふっ。皆、見るがいい!!これが俺の、対クレアのオリジナル攻撃法だ!!
俺は、更に神速のスピードを上げる。神速三段階目に突入。一瞬にしてクレアの背後に立ち、反応する前に素肌のままのクレアの背中を指でそっと触れた。そして、ツツーッ、と指でなぞった。
「…ひゃぅッ!!…キッ、キサマッ、何をッ…!!」
意外と可愛い声が出たなw怒って振り返り、拳を繰り出すクレア。
「…ぉっと、あぶねぇっ…!!」
それを半身になって避けつつ、腕の内側の露出している部分を、すーっと指先で触る。そして、腋をチョンチョンした。
「ひゃっ、クッ…キサマッ!!ふッ、ふざけてるのかッ…! ?」
そのまま回転して振り返りざまのクレアの裏拳を、神速で避けて背後に廻る。後ろから耳たぶを指で、くにくにっとチョイ揉み。
「ぁはぅッ…!!こッ、このッ…!!」
振り返りに合わせて、そのまま神速で移動し続ける俺。背後を獲ったまま、今度は耳を指で掻き回して闘気を乱し、フッ…と吐息を耳に吹き掛ける。
「はぁぅッ…なッ、何をするかッ…」
クレアの動きが、少しづつ鈍くなっていく。それに合わせて、俺は腋をくすぐり、脇腹の生肌を指でなぞり上げる。
そして五分経たず、クレアはその場にへたり込んだ。
「…クッ、卑怯な…!!」
クレアが悔しそうに歯噛みしながら、恨めしい目で俺を見上げていた。
◇
「どうやら動けなくなったようで。約束だから、俺の勝ちで良いかな…?」
悔しそうに歯噛みしたまま何も言えないクレア。代わりにティーちゃん以下、全員がジト目で俺に抗議してきた。
「アンソニーよ…それで勝ちというのは色々な意味でダメじゃろ…?」
「んー、なんかこちょこちょだけして攻撃してない気がするでしゅ…」
「アンソニーのとっておきって、エロ攻撃だったのか…期待して損したわー…」
「…ホワイトさん…セクハラ攻撃って…なんか色々アウトな気が…」
せっかく俺が考案したオリジナル攻撃は大不評だった…。こちょこちょ攻撃自体はオリジナルではない。オリジナルな部分は、その方法と言うか手法の方だ。
俺は、皆に反論した。
「ただのこちょこちょ、セクハラって言うけど、よく思い出してよ?勝敗の条件は動けなくなるか、参ったをするか?だったよね…」
皆、ジト目のまま何も言わない。
「…良い?こちょこちょって拷問にも使われたりするんだよ?と、いう事はよ?ダメージ与えてるって事だよね?つまり!!こちょこちょも立派な攻撃です!!セクハラなどと言われるのは心外ですっ!!」
俺の、その反論に全員ジト目のままだ…。構わず俺は話し続けた。
「この攻撃方法はかなり考えたんだよ。いい?闘気の波長を合わせて微弱なパラライズボルトを相手の敏感な所に少しづつ繊細に流すんだよ…?スピードとパワーのあるクレアを相手にこの攻撃だよ?逆に凄くない…?」
呆れ顔の皆に、俺は更に反論を付け加えた。
「良く聞いてよ?俺とクレアがまともにぶつかったら、森も大地も大被害受けるでしょ?殴る蹴るとかスキルとか魔法の応酬じゃなくて、この辺りの一定範囲から出ない、森にも大地にも優しい素敵な攻撃なんだよ?」
そして俺は言い放った。
「この攻撃は優しさで出来てるんです!!クレアが大地を抉っちゃったけど、森に被害はないし、俺も戦闘訓練出来たし、クレアは自分より早く動けるヤツがいるって分かったし…。誰も損してない気がするけど…?」
俺が反論を述べている間、クレア本人は不貞腐れた様に顔を背けたままだ。今までだんまりだった、クレアがぶっきらぼうに言い放つ。
「…今回だけは…わらわの負けを認めてやる…!!」
クレアは、スッと立つと俺の胸倉を掴んだ。
「…ちょっ、オイッ!!もう終わってるんだからやめろっ…!!」
胸倉を掴んだまま、クレアが言い放った。
「…次は真面目に戦ってもらうからな!!それと…」
何かを言い掛けて、恥ずかしそうに顔を背けたクレアが衝撃の一言を放った。




