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普段着も良いけど、制服姿はもっと萌える。

 リベルトがランディPTと入れ替わりで戻ってきた。


「あぁ、リベルト。何かあったか?」

「えぇ、『東鳳』の件について進展があって戻ってきました」

「そうか。話を聞く前に紹介しておくよ。フラムの護衛として雇ったエイムだ。エイムはアンドロイドなんだ」


 そして俺はエイムを見てリベルトを紹介する。


「エイム。ファミリーで情報収集と相談役をやって貰ってるリベルトだ。お互い挨拶してくれ…」


 俺の言葉に、二人は握手をしつつ挨拶をする。


「リベルトです。今後ともよろしく」

「わたしはエイム。エイム・ヒトリゲンです。よろしくお願いいたします」


 その後、ついでにキース達もリベルトに紹介しておいた。各人が挨拶を終えた後、俺は皆にそこで待ってもらい、離れたテーブル席でリベルトと話す。


「…で、進展って何があった?」

「アマル殿を発見しました」

「ホントか!!生きていたのか!!どこにいた!?」


 思わず大きな声を上げてしまった。その消息が中々掴めないので、俺はアマルがキヒダに消されたと思っていた。


「…ぁ、スマン。それでどこに潜伏していた?」

「灯台下暗し、というヤツですね。パラゴニアに潜伏していた様です」

「パラゴニア!?じゃあ俺が滞在していた時には既にいたのか!?」

「はい。その様です」

「…で、何か話はしてみたか?」


 俺が聞くと、リベルトは腕を組んで考える。


「『東鳳』の事は伏せたまま、通りすがりを装い話しましたが…。視線を合わせず、話が噛み合わず支離滅裂です…」

「…ふむ。それは障害か?アマルの元々の経歴は調べたか?」

「…えぇ、元々はアマダ王の補佐をしていた様です。東鳳の政策にも参画しています」

「と、いう事は宰相格ってとこか?何でそんなヤツがボケてるんだ?バカのフリでもしてるのかな?」

「正に。わたしはそう見ています。愚か者のフリでしょう…」


 狙われない為か…逆に何かを悟られない為か…。


「それで、アマルの仲間はいたか?」

「はい。五人程です。離れてわたしを観察していた様です」

「…仲間もいるのか。取り敢えず一度、直接アマルと話しに行くか…」

「東鳳の件を話すのですか?」

「…そうだな。隠すよりこっちがぶっちゃけた方が話がスムーズに進むかもしれん…」


 俺の言葉に頷くリベルト。


「ではもう一度、パラゴニアに飛んで話をする段取りを付けてきます。アマル殿にはいつ頃、会いに行きますか?」

「…そうだな。まずは『罰』を終えてから、になるから早くても明後日以降だな…」

「それではまず、話をする段取りを付けてから、日程は調整する、という形で行きますか?」

「そうだな。その方向で進めてくれ。椿姫にはアマルに会いに行く事を伝えておくよ」


 頷くリベルト。それからもう一つ、と言いつつリベルトが話を続ける。


「今回の戦争の功績で、王宮ではホワイトさんを取り立てようと言う動きがある様です。どうするおつもりで…?」

「…うーん。取り立てるって軍人としてって事か?一代貴族籍とかかな?」

「詳しくはまだ不明ですが、恐らくはまず軍人として取り立て、その後、貴族籍を与えてその末席に加える、という形になるかと…」


 それを聞いて俺は考えた。貴族籍を貰って領地経営ってのも面白そうだが、そうなると動きづらくなるな…。しかしいきなり拒否るのも印象が悪くなるかもしれん…。


「一応、褒章は受け取る。軍人として取り立てるのはやんわり断って、俺を含めてファミリーは傭兵扱いでお願いする、にしようかな…。動きづらくなると今後の活動に支障が出そうだし…」


 俺の見解に頷くリベルト。


「暫くはそれが良いでしょうね。あまり深く関わり過ぎると良い事はないかと思います…」


 元軍人として西大陸の国に所属していたリベルトの言葉には重みがあった。関わり方によっては神経使いそうだもんな…。


 話を終えてリベルトを見送った後、皆の所に戻ると、ウィルザーとブラントも加わり、テーブル席に移動していた。


「何の話をしていたのだ?」


 挨拶もそこそこに、ウィルザーが質問してくる。


「あぁ、一つ請け負ってる仕事があってね。その話をしてたんだよ」

「請け負っている仕事とはどんな仕事なんです?」


 ブラントに聞かれて、ざっくりと答える。


「…うーん、人助けって所かな…。詳しくは話せんけど、国に戻れなくなった人を戻れるようにするって感じだな~…」

「…複雑そうな依頼だな?」


 ウィルザーに言われて俺は頷く。


「あぁ、この問題は一筋縄じゃ行かない。色々と難しいね」


 俺の言葉に頷きつつ、ウィルザーが話を変える。


「まぁ、それはそうと、ホワイト。今回の戦争の功績で正式に王宮への招聘が決まったぞ?」

「呼ばれるのは良いけど何があんのかね?論功行賞でもすんの?」

「まぁ。そんなとこだな。まずは軍人として取り立てられ、そこからの功績によっては一軍の将、更に功績を積み重ねれば貴族として爵位も夢じゃないだろう…」


 ウィルザーが、良かったな!!と言わんばかりの顔で俺を見る。


「まぁ、軍人くんも将も一代爵位も面白そうではあるんだけどね~…」


 俺の言葉に、特大パフェを注文して食べていたティーちゃんとシーちゃん、フラムにミニのパフェを注文して食べさせていたエイムがチラッと俺を見る。


 浮かない俺の言葉に、ブラントが突っ込む。


「あまり嬉しそうではないですね?何か懸念でもありますか?」

「…うん。権力や政治ゲームは神経使って疲れそうだし、今請け負っている仕事もあるし…暫くは自由が効くのが良いね…」

「今暫くはハンターとして所属するという事を直接、王宮で伝えた方が良いな。それとは別に褒章が出るぞ?何が欲しいか決めておいた方が良い」


 ウィルザーに言われたので、俺は即答した。


「今は拠点になる『家』が欲しい。出来れは広くて綺麗な風呂付で。子供達を遊ばせたいから、そこそこの庭も欲しい…」

「何だ、そんな事か?妻子持ちらしい要望だな。それくらいなら通るだろう。俺達が直接、王に話してやろう」


 そう言うウィルザーの横で、ブラントもうんうんと頷いている。


 …直に?この二人は王様に直接話を通す事が出来るのか…?ブラントは侯爵次男だから解かるが、貧乏子爵の三男坊で遊び人のウィルザーが何で深く入り込めるんだ?王のお気に入りなのか…?


 俺が考えていると、ウィルザーがランディの話を振って来た。


「そう言えば、さっきランディと揉めたらしいな?」

「あぁ、あのバカね。難癖付けて来たからシーちゃんが叩きのめしたんだ」

「…そうでしたか。ランディさんは今回の闘いで武器を失いましたからね。それでイライラしていたんでしょう…」


 ブラントに続き、エイムが話を引き継ぐ。


「…愛剣を失った事で情緒不安定になっているようです。あの方は頭に血が上りやすいタイプですからね…」

「…闘い?剣を失ったって…ガーゴイルの他に何か来たのか?」

「あぁ、帝国のマッドサイエンティスト、ジード博士が直接、乗り込んで来てな…」

「マジかっ!?あのジジィっ!!それでどうしたんだ!?」


 ウィルザーの説明に思わず声を上げてしまう俺。


「敵方の能力者によって惜しくも逃がしましたが、エイムさんが撃退しましたよ。ウィルザーと僕が見ています」

「あの時、わたしは敵の能力の解析中だったのですが、ランディさんが突っ込んで来ましてね。辛うじてランディさんを敵の能力から引き離しましたが、剣は持って行かれた、という事です」


 エイムの説明に、何故あのバカが難癖を付けて来たのか、剣のスキルを持っているのに、剣自体を持っていなかったのか解かった。


「しかし、皆が止めているのに突っ込むアイツが悪い。敵の能力が解らないのに突進し、剣を失ったのだ。自業自得だな」


 ウィルザーの言葉は辛辣だ。しかし俺も剣を失った事は確かに残念な事だとは思うが、その経緯を聞くと全く同情出来ない。


 そこはウィルザーの言う通り自業自得だ。それは難癖を付けて良い理由にはならないからな。


 その後、ウィルザーとブラントは王宮に戻って行った。


 俺はエイムに『東鳳』に関して説明した後、皆に状況が進展した事を話した。



 翌日からも俺達はボランティアで王都内を周っていく。西地区は終わったので今日は南地区と東地区を周る予定だ。


 今回はエイムも一緒に施設を周った。王都は大まかに五つのエリアに分かれている。王宮と貴族の館、大商人が多く住む北地区。


 商業街、工業区、スラムなどが多い西地区。


 田畑が多く農業人口の多い南区には米の卸業者を始めとした卸業の人が多いようだ。


 そして東地区は帝国の領土に面している為か、軍事関係の施設が多い。職業軍人や騎士、王都警備隊などがその家族を含めて居住する地区だ。


 そして中央には、大きな噴水と銅像?が設置されたかなり広い公園があり、その公園の周りに学術施設や学生目当てのカフェや出店などが並んでいた。


 王立図書館も、その中央のエリアにあった。


 北区を除く他のエリアには少なからずスラムや裏路地が存在し、恵まれない子供達が児童施設などで保護されているそうだ。


 俺達は順調に南区の児童施設と教会を周り、運営資金と食費、着替えなどの衣服に当てて貰うお金を渡し、お悩みがあれば解決していく。


 南区は田畑が多く、大体のお悩みは、畑の育ちが悪いというものが多かった。ティーちゃんによると元々の土壌が畑向きではないのが原因の様だ。


 土壌改善を提案し、その為に必要な肥料などの資金も渡して置く。南区の施設を周り終えた俺達はお昼の為に一度、中央地区に戻った。


 出店の並ぶ通りで食べ物を買い、設置されているテラスで昼食にする。お昼を出店にしたのはティーちゃん達の要望だ。


 テーブルには所狭しと、食べ物と飲み物が並んでいた。


 ジャガイモのチーズ掛け、フランクフルト、焼き鳥、リゾット?イカの照り焼き、サイコロステーキ、肉と野菜を小麦粉生地と混ぜたお好み焼き?フライドポテト?等などだ。


 デザートに、ミルクで作ったゼリー?の様なものも買っていた。デザートはそのまま置いておくと生暖かくなってしまうので、冷たいまま子供三人分、妖精の鞄の中に一旦、仕舞い込む。


 時間停止機能が付いている妖精の鞄に入れておくと冷たいまま保存出来るからだ。


 俺はリゾットを食べつつ、ジャガイモチーズ掛けを食べる。ティーちゃんとシーちゃんは色々手に取ってはもしゃもしゃ食べていく。


 フラムには、サイコロステーキを食べさせつつ、エイムがお好み焼きを切り分けて取り皿に置いていた。フラムはフォークを持って切り分けて貰った物を元気よくモグモグ食べていた。


 俺達が食べていると、隣のテーブルに制服を着た若い女性達が、屋台で買ってきたもので食事を始めた。


「…あら?ホワイトさん?今日は外でお食事ですか?」


 突然、声を掛けられたのでチラッとそっちを見る。俺は慌てて、ジャガイモを落しそうになった。


「…あ、あぁ、セーナさんでしたか!!いや、気が付かなくてスミマセン…」


 そう言いつつ、俺はセーナさんの司書の制服姿にドキドキしていた。ブラウンを基調とした落ち着いた感じの制服はセーナさんのイメージにぴったりだ。


「昨日はどうもありがとうございました。戴いたものを夕食として出しました所、母が大変喜んでましたよ」

「…そんな気にしないで下さい。病気の時はしっかり食べた方が良いと思いますので…」


 俺達が話していると、若い女性達がセーナさんに俺達の事を聞いている。


「…セーナ先輩、あの人誰ですか?」

「今朝方、お話ししたハンターで交易などもしてらっしゃるアンソニー・ホワイトさんですよ」


 紹介された俺は、立ち上がり、若い女性達に軽く頭を下げる。俺は子供達三人を紹介した後、セーナさんに初見のエイムを紹介した。


「ファミリーの一人で、子供達の護衛をして貰ってるんですよ」

「わたしはエイム。エイム・ヒトリゲンです。お嬢様方、よろしくお願いします」


 それぞれが挨拶を終えた後、食事を再開した。セーナさん達は食事を終えた後、俺達に軽く挨拶をして、仕事に戻って行った。


 まさかセーナさんに会えるとは思ってもいなかったので、俺はドキドキしていた。そんな俺を揶揄う、ティーちゃんとシーちゃん。


「アンソニーよ、さっきから顔が赤いのぅ(笑)」

「ドキドキしてるでしゅね(笑)?」


 そしてエイムも、今の俺の状態を科学的に分析する。


「動悸、心拍数と体熱の上昇を検知。顔が赤面している所からホワイトさんは『恋』をしていると思われます」

「いや、エイム。そこは分析しなくていいよ!!」


 そのやり取りを見てケラケラと子供達が笑う。そんな中、突然席を立つエイム。


「…ホワイトさん。何者かが来ます!!」


 その瞬間、俺達の前に一人の男が現れた。

朝と晩が少しづつ涼しくなって行くにつれてエンド・オブ・サマーだな、そう思う今日この頃ですw

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