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空から絶世の美女が降ってきた。

 アイちゃんに二人の紹介をした後、俺に付いて聞かれた。


「…あの~、オジサン…というかホワイトさん達って何者なの…?まぁ、ホワイトさんが何処の出身かはすぐ分かるけどね~。日本でしょ?某漫画と似たようなセリフ、訓練所で叫んでたもんね」


 …ああ、訓練所で禅爺と戦闘やってた時いたんだな…。


「確かに、そうだね。俺は日本から来てるんよ」

「…もしかして召喚者?」

「まぁ、そんなとこかな」


 と適当に返事をしといた。


「…あぁ、だから異常に強いのかー…。…ていうかホワイトさん、アーチャーだったのね」

「ん?あぁ…そうだね。普段は弓と矢筒は隠してるけどね」

「訓練所でタガー使ってたから、アサシン系かと思ってた…。けど何で弓と矢筒隠してんの?」

「何でって、決まってるじゃん。アーチャーってすぐ分かったら無用に接近されそうだし、隠し玉って意味でも普段見せてない方がいいからだよ」

「…まぁ確かに…援護職だと真っ先に狙われちゃうもんね…」

「けど、あのエネルギー弾はなんていうか、もう弓攻撃とか通り越してる気がしたけど…。なんでベルファの訓練所で弓使わなかったの?」

「うーん、そんなの答えるまでもないと思うけど…。そもそも、あの訓練所の中はそんなに広くなかったよね…?しかも、あんなに接近されてたら弓で攻撃出来ないし…。それに、さっきの見たでしょ?こっちの世界に来たばかりで、自分の力をコントロール出来てないんだよ…」


 俺は続けて説明する。


「まぁ、弓を使える状況だったとして、だよ?さっきのやったら、訓練所どころかベルファの街、破壊しちゃうから使えるわけないじゃん!!」


 俺の答えに、そりゃそうか、と納得していた。


「…ところで、アイちゃんは漫画とか知ってるってことは日本から来てんだよね?」

「うん、わたしは日本人よ。詳しくは言えないけどこっちの世界に転生したの…。こっちに来て何年になるかな~?…三年くらいかな…。こう見えて転生前はナイスバディだったのよ!!」


 自分で言うあたり、ホントかどうか怪しいもんだ…。


 アイちゃんの話を、ふんふんと流して聞いていたが、実はこの直後に人物鑑定を終えたティーちゃんから、俺の頭の中に情報を送って貰っていた。

 

 アイちゃんの人物鑑定のログを読んでみる。


 アイリス・オオヤマル。本名、大矢(おおや) 愛莉(あいり)、二十五歳。…ん?本当に二十五歳だったのか…。なんか見た感じ中学生にしか見えんけど…。


 東京の某総合商社に勤めていた。アニメ、ゲーム、漫画、小説、ドラマが好きなオタク。長期休暇を利用して家族とアメリカに旅行中、テロに巻き込まれて家族と共に死亡。死ぬ間際に、好きな漫画の続きを読みたかった、との強い念が天使の目に留まり転生を果たす。


 転生の際、遊んでいたオンラインゲームの魔法少女アバターを選んでしまい、転生後に失敗したと嘆いている。転生前、転生後も胸が無いのが悩みである。考えずに行動するのでPT、ギルドなどから信用を無くしつつある。


 魔法『火炎魔法+5』『流水魔法』、スキル『鑑定+3』となっている。


 この子、鑑定持ってるのか…。ていうかやっぱり全然…ナイスバディじゃないじゃん…。この姿はゲーム内のアバターだったのか…だから黒髪ロリツインテなわけね…。


 後悔するならじっくり考えて選べばよかったのに…。勢いで決めて後悔するタイプだな…。


 本人談とティーちゃんの鑑定が、少しズレているが胸の部分以外は、まぁまぁ本人が話していた事と違わないのでスルーしといた。


 …ちょっと見栄っ張りなのかな…。しかし信用を無くしつつある、というのは少し気になった。と言うか人物鑑定って現在の状況まで見えるんだ…。


 お互いの話をしていると突然、上空から美人でやたらとスタイルの良い女性が静かにスゥーッと降りてきた。


 その美人は肌の露出の多い衣装?コスチュームかな?を身に付けていた。誰…?なんか今日は森の中でよく人に会うなぁ…。


挿絵(By みてみん) 


 解体と回収をしているアイちゃんと話していると、上空からすんごい美女が降ってきた。美人な上に、スタイルもグンバツですよw


 グリーンのショートボブ、内巻きカールのゆるふわウェーブ。鼻筋が通っていて綺麗な顔立ち。目は二重で瞳は碧く、少し釣り目がちだ。


 肌は透き通るほど白く、引き締まったカラダと胸が大きい。そんな美女が、目のやり場に困る程に、身体のラインに密着した露出の多い衣装を身に纏っていた。


 スレンダーな巨乳さん…いや爆乳さんかな。とにかく肌の露出が多過ぎるw


 トップスは黒いピチピチのビキニ、スカートはかなり短くヒラヒラしている。両腕には、掌まで保護するガントレット、脚には膝丈まであるブーツ?の様な脛当てを身に付けていた。


 その美人が、ゆっくりと俺の方に歩いて来た。

 

 歩き方も何か優雅というか風格というか、ただモノではない雰囲気を醸している。俺の目の前まで来た美女は、左手を腰に当て優雅な物腰で俺に話す。


「…ふむ、人間か。お前、龍の気を感じるな?」


 美女から良い匂いがしてくる。


「…人間よ、先程のエネルギー弾はお前がやったのか…?」


 そう聞かれたので俺は少し考えてから、首を横に振り質問に応えた。


「…いいえ、僕じゃないです。あの子です。そこにいる魔女っ子アイリスちゃんです!!」

「ちょっ、ちょっと待ってよ。ホワイトさんっ、なんで嘘ついてんのっ!!」


 俺が、そう言うや否や、慌ててアイちゃんが否定した。続けて俺は惚けるように話す。


「…えっ?さっきのエネルギー弾って…フレイムバレットかウォーターボールの事でしょ?」

「いやいやいやいや、何言ってんのっ!!どう考えてもホワイトさんの方でしょッ!?」


 俺達のやり取りを、不敵な笑みを浮かべながら黙って見いる美女。俺がすっとぼけたのはいやな予感、というかこの後のめんどくさい展開が簡単に予想出来たからだ。


 この美女は、「お前がやったのか?」と聞いて来た。と、言う事は、そのエネルギー弾の強さと、それを出した人間に興味かあるという事だろう。


 しかもこの美女から漂ってくるオーラ的なモノも、この後の展開を想像させるに簡単だ。この美女のオーラはかなり戦闘的だからだ。


 美女はじっと俺を見ている。その時、ティーちゃんが駆け寄ってきた。


「久しいのぅ、クレア姉さま!!」


 美女は(ようや)く、俺から視線を外す。


「うむ。ティーよ、久々だな…。久しぶりに二人に会いに世界樹に来てみれば留守にしていると聞いたからな。森を探していたのだ」

「クレア姉さまっ…」


 シーちゃんも駆け寄って、クレアと呼ばれた美女の足に抱き着いた。


「シーも久しぶりだな、元気だったか?」


 なんかちびっこに会いに来た叔母さんみたいな言い方だ。


「二人とも、この美人さんと知り合いなの?」


 俺が聞くとティーちゃんが紹介してくれた。


「アンソニーよ、こちらはクレア姉さまじゃ。挨拶してくれ」

「…あ、はい。どうも、クレアさん…。俺はアンソニー・ホワイトです、よろしく…」


 俺の自己紹介に特に何の反応もしない。


「ふむ、この人間はティー達が連れてきたのか?」


 俺を無視したまま、ティーちゃんと話を続けるクレア。


「姉さま、アンソニーは龍神の加護を持っている人間なんじゃ…」

「ほほう、龍神の…道理で龍の気を感じるわけだな…。しかしこの世界の龍神の気とは少し違うようだが…」


 ティーちゃんは、チラッとアイちゃんを見てクレアに言う。


「その事については後から話した方が良いと思ってるんじゃ…」

「…ふむ、そうか…」


 なんか失礼な美女だが、このまま俺に興味を持たずに無視してくれればいいと思った。戦闘続きで疲れてるし、早く村に帰って風呂に入りたいからな。

 

 ついでに酒も飲みたいし…。


 傍にアイちゃんがいたので、ティーちゃんは今までの経緯を話せる範囲で掻い摘んで話している。

その間に、俺は何気なくすーっとその場を離れた。


 しかし、すぐに呼び止められてしまった。


「…待て、人間よ。どこに行く気だ?」

「…えっ?どこって村に帰って風呂に入ろうと思ったんだけど…」


 そう答える俺に、ティーちゃんからあまり聞きたくない事を言われた。


「アンソニーよ、クレア姉さまは凄く強いんじゃ!!いい機会じゃから訓練して貰ったらどうかの?」

「そうでしゅ、それがいいでしゅね!!」


 シーちゃんも賛同している。


 …俺はねぇ、早く村に帰って風呂に…。そう言っても聞かないだろうね、キミ達は…。俺は思わず溜息を漏らす。


「…フフ、人間よ。思惑が外れて残念なようだな…?」


 クレアは笑みを浮かべながら話す。


「さっきのエネルギー弾に少し興味がある…人間よ、わらわと…」

「そこでアンタはこう言う!!わらわと勝負せぬか?…だろ?」

「…勝負せぬ…か…―!!―…」


 イラついてた俺は、クレアの次のセリフを先に言ってやった。真顔になり、俺を見るクレア。もう既に、こうなる事が予想出来てたからな。いいタイミングだったから言わせてもらったぜw

 

 俺はあの漫画の第二部が好きなんだw


 リーちゃんがポケットの中から言う。


「漫画のパクリ!!」


 アイちゃんも同時に呟く。


「パクリだ…」


 俺は思わず叫んだ。


「パクリじゃないッ!!オマージュだッ!!」

 

 続けて俺は真顔のクレアに言った。


「じゃあ村の宿屋に戻って良い部屋取りますか?」


 全員、俺の言葉の意味が分らなかったようだ。みんなの顔が?になっている。


「アンソニー、なんで村に戻るんじゃ?」

「クレア姉さまと勝負するんでしゅよね?」

「村で戦ったら宿屋だけじゃなくて、村全体が壊れるでしょ?」


 三体の言葉に、俺はすっとぼけた。


「…えっ?勝負するって…ベッドの中で勝負するんじゃないの…?」


 俺の言葉に、アイちゃんが即反応した。


「…うわっ、ホワイトさん、それセクハラ…」


 そんな俺にティーちゃんが眉を顰めて、『ひそひそ』を飛ばしてくる。


≪…アンソニーよ、クレア姉さまをおちょくると痛い目にあうぞ?≫

≪…あぁ、分かっててやってるんだよ≫


 こういう輩はめんどくさいんだよな。「なんかコイツ強そうだ、ワクワクしてくっぞ」とか

「このエリートがお前と勝負してやろう」的なのは凄く迷惑なんだよ。

 

 こういうヤツは少しおちょくってやらんと気が済まんわ。


「おやおや、とんだ勘違いしてしまいまして。こりゃまた失礼しました。そうですか。戦闘の方だったんですね。…仕方ないですね。じゃ勝負しますか…?」


 やっぱりめんどくさい展開になったな…。クレアは真顔のまま、顔色一つ変えない。


「では先に、ルールを設定しますかね?」


 俺はここで一旦言葉を止める。禅爺の時みたいに、終わりが見えないのはごめんだからな。俺はクレアにルールを提示していく。


「動けなくなるか、もしくは相手が参った、を言ったら終わり、OK?」

「…ああ、構わぬ。しかし開始直後に『参った』と言っても聞かんからな?」


 先に、クレアに釘を刺されたが、それはしない。俺はイライラが募ってる。さっさと帰って風呂に入りたかったのに、だ。


 クレアはかなり自信満々だ。


「相当自信がおありの様ですが、敗けても後から文句言わないで下さいよ?」

 

 俺の挑発に、クレアが反応する。


「人間如きがわらわに勝てるとでも思うておるのか?」

「そうだね。まぁ、勝てなくても、剛力一辺倒の脳筋おバカさんをいなす事くらいは出来ると思うよ?」


 俺の言葉に、再び真顔になるクレア。俺は彼女の装備を見て分かった。両腕にガントレットを付けてる。そして身軽な装備。というかエロイ衣装。


 拳闘とかの格闘タイプだろう。言動からも想像できるが、かなり力には自信があるようだ。こういうヤツには、正面からまともに当たらない。そして、まともに戦ってやる気なんてサラサラない。


 ティーちゃんは俺の考えが読めるせいか、かなり顔を(しか)めていた。けど今の俺はそんな事は気にしなかった。


 そして俺とクレアは、向かい合って立つ。ティーちゃんの合図でお互いが動いた。

AI画像生成でクレアのイメージイラストの一番イメージに近いモノを入れてみました。納得は行ってないけど後によりイメージに近いモノが出来れば差し替えますw

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