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頭ぶつけて異世界とかwおっさんがちびっこ妖精達と冒険してたら最凶ファミリーが出来ました。リミットレスのおっさんと最凶ファミリーが異世界を席巻する。  作者: 駄犬X
エミルの復讐編

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伝説の男。

 俺は何故チョーカンの攻撃がヒットしたのかようやく解かった。  


 チョーカンは身体に、さっきまでなかった霧のようなエネルギー纏っていた。恐らくあれは魔障気だ。地獄でフィーちゃんの魔障気を一度見ている俺はすぐに気づいた。


 そして朧を使ってもすり抜けを使っても恐らくまた、強制解除されると予測した俺は、瞬時に闘気を張った跳躍で頭から突っ込む方に切り換えた。


「俺はガキじゃねぇ。もうとっくに四十過ぎてるわッ!!」


 ゼルクは立ち上がりながら、思考を巡らせる。


(コイツッ…何故、『空間掌握』の中でこれだけ自由に動ける…?)


 片膝を付いたまま俺に向けて手を翳すチョーカンに、間髪入れず『ファントムランナー』で突進する。瞬間、また違和感が俺を襲った。


 気付くと後ろに引き戻されていたが、俺はここで般若が使っていた『空間膨縮』の『縮』を使った。そして一気に間合いを詰める。


 驚きで眼を見開くチョーカンに、俺はそのまま跳び蹴りを放つ。


「クククッ、驚いたかチョーカンよッ!!喰らえ!!烈火〇陽脚ッッ!!アチョーッ!!」


 俺は額に『中』と書かれたあの人の技でチョーカンを蹴り上げた。


「…グワッ!!このガキッッ!!」

「だから俺はガキじゃねぇッ!!続けて喰らえッ!!猛虎〇歩拳ッ!!」


 更に俺は両腕から虎を出すイメージで闘気を両手から伸ばす。半透明だったがなんとなく虎っぽいのが両腕から出たw

 

 俺に蹴られてバランスを崩したチョーカンに半透明の虎っぽい闘気が襲う。


「…くッ、クソッ!!このッ!!ガキが調子に乗るなよッ!!」


 チョーカンは叫ぶと身を翻して一瞬にして姿を消した。


 …消えたか…。


 俺は注意深く、周囲の気配を探る。暫くして急激に、足元が冷たくなってきた。周りは濃い霧に包まれ、足元を視ると地面が凍り付いていた…。



 長官と酔っ払いの闘いを見ていた警備隊の二人の男は唖然としていた。


「…あの男は何者なのだ?本当に人間か…?」

「…普通なら長官に接近すら出来ずに、制圧されるはずなのに…」


 動揺している二人に、ウィルザーが問う。


「…どういう事だ?本来ならあの長官には近づく事は出来ないのか?」

「…えぇ、ゼルク長官はある一定の範囲の空間を制御する事が出来ます。だから攻撃を仕掛けられても相手の動きを止める事が出来るんですが…」

「…このままでは埒が明かぬか…」

「…いえ、長官が少し本気になったようです…」


 上司の男に言われて、ウィルザーが長官とホワイトを見る。しかし範囲内は濃霧状態で中で何が起こっているのか見えなかった。


 一方、ティーアとシーアは困っていた。


≪…このままでは重罪は免れんのぅ…どうするか…≫

≪…あねさま、こうなったら神さまに頼むしかないでしゅ…≫

≪そうじゃな、仕方ない…神さまに仲裁に入ってもらうかの…≫


 二人の言葉を聞いた妖精リーアが天界へ行く準備をする。


≪…では闘いの仲裁、それから酔っ払いへの天罰を頼んできます!!≫


 それまで妖精族の話を黙って聞いていたクレアが慌てる。


≪ちょっと待て!!リーよ、天罰はやり過ぎではないか?神の罰は大地をも引き裂くというぞ?それでは主が死ぬのではないか?≫

≪いや、姉さま。それは伝説とか伝承での話なんじゃ。確かに天罰はかなりきついが死ぬほどではないんじゃ≫


 続いてシーアもクレアに説明する。


≪ゼルク長官がアンソニーを制圧できんのでしゅ。ここにいる他の者では止めようがないから仕方ないんでしゅ≫

≪…それはそうなのだが…いや待て。見ろ、何か様子がおかしいぞ…?≫


 クレアに言われて妖精族三体が再び、闘いに目を向けた。


 範囲内に深く濃い霧が立ち込めていた。


≪…あれはゼルク長官のスキル『霧氷凍土(むひょうとうど)』じゃ!!アンソニーを凍らせて拘束する気じゃ!!≫

≪これはまずいでしゅ!!もう既に下半分が凍ってるでしゅ≫


 ティーアは急いでリーアを天界へ行くよう急かす。


≪リーよ、急ぐんじゃ!!このままでは完全凍結して取り返しがつかなくなる!!≫

≪…いや、そんな事ないと思いますよ?≫


 結構暢気に構えているリーアをシーアが急かす。


≪早く行くでしゅ!!もう三分の二まで凍結してるでしゅ!!≫

≪解りました。取り敢えず行ってきます≫


 心配無さげなリーアは二人に急かされて天界へと転移した。そんなリーアを見ていたクレアはしばらく考えていたが、ふとある事を思い出した。


≪…お前達、主は大丈夫だ≫

≪何で姉さままでのんびり構えてるでしゅか!!≫

≪そうじゃ、このままだとかなりまずい事になるじゃろ?≫

≪…まぁ、そう言うな。よく見ておくのだ。我が主が凍結程度でどうにかなる訳ないからな…≫


 クレアの妙な自信に、二人は顔を(しか)めた。



 濃霧の中、俺の身体は既に腰まで凍り、動けなくなっていた。範囲内を氷漬けにするのではなく、地面から来る凍気が下から俺だけを凍らせている。


 よく見ると霧が下から俺の身体を伝う様に昇っている。…どうやらこの霧が俺の身体に纏わりついて凍らせているようだ…。


 余りにも寒いので、酔いも完全に冷めてしまった。俺は急いでこの氷漬けに対抗するべく、スキルウィンドウを開く。


 まずはこれがスキルではなく、魔法である可能性を考えてマジックキャンセルを発動させる。

暫く待ってみたが、何も起きない。どうやら魔法では無いようだ。


 俺はすぐに『すり抜け』を使ってみたが、びくともしなかった。そして『朧』どころか『虚』までも発動を止められてしまった。


 …もしかして、もしかせんでも…この霧には魔障気が含まれているのか…?これはかなりまずいな。そう思うと増々焦る。


 魔障気に干渉されると、こっちのスキルが止められてしまう…。厄介な能力だな…。既にへそから鳩尾まで凍気が迫っている。どうするか…。


 しかし考えるまでもなく俺は思い出した。


 そうだ!!氷なんだから溶かせばいいじゃん!!それなら熱で溶かすだけなんだから魔障気とか関係ないよな…たぶん。


 俺はすぐに融真のスキル『メルトフィーバー』を自分のスキル欄にセットする。そしてすぐに発動させた。



 ……………あれっ?



 既に俺は凍気によって胸辺りまで凍っていた。しかし肝心のメルトフィーバーは全く発動する気配がない。


 まさか体内から熱を出すだけのメルトフィーバーでさえも止められてるのか?このスキルは身体の外からじゃなくて体内から作用していくから行けると思ったが…。


 俺は慌てて、『メルトフィーバー』のスキル説明文を読む。


 『メルトフィーバー』炎熱神アドラヌシアの力を宿したグローブに付いているスキル。殴った対象を灼熱のエネルギーで溶かす。炎熱神が使用者の肉体に耐性を与え保護し、周辺温度を上昇させて防御する攻防一体の能力。

 赤色スキル。


 …となっている。あのオープンフィンガーグローブがないからダメなのか…?しかし説明文には、このスキルの使用者の肉体に耐性を与え保護…とある。


 という事はグローブがなくてもスキル自体を持ってるんだから発動してもよさそうなもんだが…。


 そうこうするうちに凍気が首まで迫る。まずい!!かなりまずい!!どうするか…。その時、俺はふとスキル説明文がスクロールする事に気が付いた。


 下に動かして、補足として付け加えられていた一文を読んだ。


 『メルトフィーバー』発動必須条件。炎熱神アドラヌシアの心を萌えさせるようなカッコいい呼び掛けで叫び、呼び起さなくてはならない。

 


 ……………は?何コレ…w?



 カッコいい呼び掛けって何だよッ!!…コレってもしかして…アレか…?ダークリ〇ニオンがどうとか、俺の邪眼が疼くとか、漆〇の翼がどうとか、そういう系統のアレかw?


 …しかし、酒が回ってる時ならいざ知らず、今のシラフに近い状態でそれを俺にやれってか…w?


 そんな事を考えている内に凍気は顎まで来ていた。まずいッ!!これ以上、躊躇していられなかった。俺は目を閉じて炎熱神を呼び起すべく、叫んだ。


「唯一にして至高の炎熱神アドラヌシア!!燃え盛る我が心の炎に呼応し、すべてを灼熱で溶かせッ!!『メルトフィーバーッ!!』」


 …こんなんで大丈夫かな…?ていうか融真、こんなの叫んでたかな…w?


 俺が半信半疑で待っていると凍気が鼻下まで迫ってくる。アドラヌシアが反応しなかった時の為に、俺は最後の手段を考えておいた。


 …力技で行くしかないw!!


 そう思っていた時だった。腹の底から、熱い感覚が拡がり始めた。そして全身から一気に猛烈な熱が放出する。


 その猛烈な熱は、凍っていた俺の身体を一気に開放し、範囲内の霧でさえも一瞬にして蒸発させた。そこには驚きで眼を見開くチョーカンが立っていた。


 俺は凍結から解放されたものの、すぐには身体が動かせなかった。

 

 …これが伝説の魔族のスキルか…。さっきの凍結の間に俺のエネルギーを吸収していたのか。動けない俺の前で、チョーカンも顔を引き攣らせて、動けないでいた。


「…こッ、コイツッ…!!そんなバカな…!!俺の『霧氷凍土』が…溶けるとはッ…お前は本当に人間かッ!?」


 驚き、立ち尽くすゼルクに突然、密談が飛んでくる。


≪…ゼルク長官、そこまでじゃ。すぐにそこから退避して欲しい…≫


 その密談を送った主を見るゼルク。


≪…妖精女王か…?何故ここに…?この人間は…?≫

≪後で説明するでしゅ。天罰が落ちるからすぐにそこから退避するでしゅ!!≫


 そう言われたゼルクは急いで転移で後退した。その直後―。低く唸るような声が天から降ってくる。


 

 ―天罰、『神雷(じんらい)』―。


 

 激しい雷鳴と共に、何かが俺の身体を一気に貫いた。


「…かはッッ…!!」


 俺の呼吸が一瞬止まる。全身に凄まじい電撃が迸っていた。…これは…高圧縮の…稲妻…か…?

瞬間、真っ白になっていく意識を何とか繋ぎ止める。

 

 しかし、余りにも激しい雷撃のショックで立っていられず膝を付いた所で、俺は強制転移させられた。

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