毒舌あの世漫才
「はーい、どうもどうも、本日もたくさんの死者の方にお集まりいただきまして、ありがとうございます」
「そんな陽気に声かけるなよ。みんな死んだばかりで滅入ってるんだから」
「関係ないだろ? 俺達漫才師なんだから、陽気に行かないと。俺達が陰気じゃ、意味ないだろ?」
「そうなんだけどさ」
「それではですね、これから皆さんにこの世界の決まり事をお伝え致します」
「大事なことですから、よく聞いて下さいね」
「決まりを守らないと、最悪死ぬ事になりますのでご注意下さい」
「もう死んでるだろ?」
「バカヤロウ、ここで死ぬと生き返るんだよ」
「それならその方がいいじゃないか」
「何もわかっていないな。ここに集まってる方々は、みんな生き地獄を味わった人達なんだよ。みんな何があっても生き返りたくないの」
「何だよ、それは。意味わからないぞ」
「お前バカが原因で死んだのか?」
「違うよ。変なこと言うな」
「ま、こんな奴でもやっていける世界ですから、そんなに緊張しなくて大丈夫です」
「今もの凄くバカにされた気がするんだけど」
「気がするんじゃなくて、実際バカにしてるから」
「余計悪いよ。ちゃんと説明しろよ」
「この世界で守って欲しい事。まず1つ」
「はい、1つ目です」
「死神さんには季節の付け届けを怠らないこと」
「そんな決まり事ないよ」
「2つ目です」
「ないって言ってるのに先に進むのかよ」
「閻魔大王の事は、朝昼晩、寝る前に必ず拝むこと」
「だからないって、そんな決まり事」
「3つ目」
「おい、勝手に進むなよ」
「1日1回は化けて出て、生きてる人を怖がらせる事」
「極めつけにないよ。ちゃんと説明しろよ」
「だからしてるだろ」
「はァ? 訳わかんないこと言うなよ。してないだろ」
「してるよ」
「してないって」
「だから、何も決まり事はないって説明してるでしょ」
「いい加減にしろ」
「どうも、ありがとうございました」