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7.作戦の効果

 いつもと変わりなく営業しているペットショップ。しかし今日はちょっとお客さんの様子が違いました。


『見て、あの子達カワイイ! おそろいのポーズしてる!』


 お兄ちゃんがお座りをしている隣にぴったりくっついて、彼が前足を上げるとワタクシも同じように前足を上げ、ロープの玩具を咥えた時は反対側を咥えて引っ張りっこをするような真似をしました。


『あのハスキー面白い! 同じ動きしてるのダンスしてるみたいでカワイイ‼』


『一緒に遊んでるのカワイイ! 仲良しだねー! へぇ、兄弟なんだ!』


『マネっこしてるの可愛すぎるでしょ……!』


 お客さん達は口々にワタクシ達をほめ称え、微笑ましい光景を動画や写真収めようと喜んで撮影しています。


 そして数日後。さっそく効果は現れました。


『見てみて! この子たち、あの動画のハスキーだよ!』


『あっ、拡散されてた仲良しわんちゃんだ! 可愛い~!』


 どうやら狙い通り、上手くネットで広まっているようです。

 その影響かワタクシや彼はその日、何度もショーケースから出され、いろんな人たちに抱っこされたり撫でられたりしました。


 その結果、上手い具合に『二匹とも一緒に飼いたい』と申し出があったのですが。


 ――やはり、ワタクシの足が悪いことを知ると皆、一様に困ったような顔をして尻込みしてしまいました。


 それならば健康な方だけでも飼おうと、お客さんがお兄ちゃんに手を伸ばしたのですが、彼は唸り声を上げてワタクシのそばを離れまいとするので、商談は上手くまとまらなかったのです。


「……何やってるんですかお兄ちゃん! せっかく上手くいってたのに!」


 営業時間が終わった後でワタクシが文句を言うと、彼は大きな声で反論しました。


「俺だけが売れるのはダメだ‼」


「あなたはこの場に及んでもまだそんなことを……」


「一緒に生き残るって言ったのチビじゃねぇか! 俺、オマエをひとりぼっちになんか絶対させないからな‼」


 彼はキャンキャンひとしきり吠えたあと、ワタクシにくっついて眠ってしまいました。


「お兄ちゃん……」


 彼の温かな体温と規則正しい呼吸音が聞こえる中、やり切れない気持ちを抱えながらワタクシは意識を手放したのでした。

次の更新は7月27日(土)と7月28日(日)です。

ここまで読んでくださりありがとうございました。


もしよろしければジェルが活躍するハイスペック残念イケメンコメディ「それは非売品です!」本編(全18話)も読んでみてくださいますと幸いです……!

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