第八十三話 煽り
今日の課外授業の内容は、同時に二つ以上の炎を出現させることだった。
これが意外と難しい。
まあ私にとっては楽勝なんだけど。
ようやく魔法を覚えたサラは大いに苦戦していた。
「モモコ、何を意識すればいい?」
「イメージが大事。とにかく二つの炎が出ている所を想像する。これだけで出来るはず」
「分かった。やってみる」
サラが集中して、魔法を唱える。
「ファイヤー・・・ボール」
すると一瞬だったが、炎が二つ現れた。
「うん、その調子」
私はサラを励ました。
他方で、人だかりが出来ていた。
「なんだろあの人だかり?」
私は目を凝らして、その中心にいる人物を見た。
それは金パだった。
彼女はなんと炎を三つ出現させていたのだ。
「流石アンナさん!すごいです!」
取り巻きたちがお世辞をいう。
「これくらい私にとっては簡単なことよ!」
金パはどや顔をしていた。
そして何を思ったのか、金パが私たち二人の所に近づいて来た。
「可哀そうに。これしきのこともできないなんて。私が教えてあげてもいいけど?」
金パは明らかに私たちを馬鹿にしていた。
「結構です。私たちは自分でやりますから」
私はいった。
「おいお前!アンナさんが直々に教えてあげるって言ってるんだ。お前みたいな卑しい身分の奴が断るなんて何事だ!」
取り巻きAがいった。
周りも「そうだそうだ」と乗っかってきた。
すると金パがいった。
「戻りましょう。後で私の教えを受けなかったことを後悔する姿が楽しみだわ」
金パたちは帰って行った。
あー面倒くさい。
私は大きくため息をついた。
「サラ大丈夫?」
「私は平気。こういうことには慣れてるから」
今すぐにでも金パに特大の魔法をお見舞いしてやってもいいが、そうなると後々面倒なことになる。
私の目標は、平凡にひっそりと暮らすこと。
ここは何もしないことが一番だった。




