第八十二話 ミル先生が死んだ
「昨夜ミル先生が死んだそうです」
課外授業の二日目の朝、ジャック先生の口から生徒へと伝えられた。
生徒の間にはどよめきが起こった。
特にミル先生が受け持っていた緑組の生徒たちの中には泣いている人もいた。
「これから緑組の生徒は他の組に混ざって課外授業を受けてもらいます」
そういって、ジャック先生は緑組の生徒を赤組、青組、白組に適当に振り分けた。
「あらモモコ、よろしく」
ラニーが声をかけてきた。ラニーは私が家庭教師となり、彼女をこの学校に入学させたナザリアの娘だ。
そういえば彼女は緑組の生徒だったっけ。
「ラニー久しぶり。ミル先生のことは気の毒に思う」
「そうね。私はあの先生が意外に好きだったのだけれど」
ラニーは私の隣のサラに目をやった。
「彼女は?」
「私の友達のサラ」
「そう。よろしくサラ」
「よろしくお願いします」
「別に敬語じゃなくていいから」
「よ、よろしく」
サラのあいさつはぎこちなかった。
ラニーがいなくなった後、サラが私に訊いてきた。
「ラニーってことは、入試の時一番だった人だよね?どうしてモモコが知り合いなの?」
「以前ラニーの家庭教師をやっていたことがあるんだ」
「えっ!」
サラは驚いた。
まあ無理もないだろう。私が入試一番のラニーの家庭教師をしていたんだから。
それなのに私は入試一番どころか、真ん中よりも低い。
「モモコが教わるんじゃなくてモモコが教えてたの?」
「う、うん。でもこれはここだけの秘密にしといて」
「わかった」
サラの私を見る目が変わった気がした。




