第七十九話 誤解
その日の夜、私は自分のテントを抜け出すと、ミル先生の元へと向かった。
課外授業には赤組だけでなく青、緑、白組も来ていた。もちろん先生も一緒に。
私はミル先生のテントにゆっくりと近づいた。
「誰?」
テントの中からミル先生の声がした。
どうやらまだ起きていたみたいだ。
「モモコです。ミル先生にお話があって来ました」
「いいから帰って。また明日でいいでしょ」
「大事な話です」
「どうせまたクライ先生のことを聞きに来たんでしょ?」
「それもあります。でも他に聞きたいことがあるんです」
「何他にって」
「ジャック先生がミル先生を殺すように私に言いました」
「中に入りなさい」
私はミル先生のテントの中に入った。
「さっきの話は本当?」
「はい」
「でもなぜモモコに頼むの?」
「私もバラガン様が後ろ盾にいるので、味方だと勘違いしたんでしょう」
バラガンの名前が出た時、彼女は一瞬狼狽えたように見えた。
「それで、そんなことを私にバラして何が望みなの?」
「はい。クライ先生のことを知りたいんです」
「だから何にも知らないわ」
いや、ミル先生は確実になにかを隠している。
どうにかしてそれを聞き出さなければ。
するとミル先生のお腹がぐーっと鳴った。
「お腹空いてるんですね。なにか私が作ります」
私はテントを出て、夕食の材料の余りで軽く夜食を作った。
今は機嫌をとってでも情報を聞き出すのが最優先だ。
「どうぞ食べてください」
「ありがとう」
ミル先生はスープを一口飲んだ。
「・・・!?!?」
そしてからスプーンを落とす。
「どうしました!お口に合わなかったですか!?」
「いやそうじゃないの。モモコ、このスープはどうやって作った?」
「はい、じゃがいもと人参を入れて、醤油で味付けをし、隠し味にすったリンゴを入れました」
「どうしてすったリンゴを入れたの?」
「昔お母さんがこうやって作っていたので」
「お母さん・・・」
そう言ってミル先生は考え込んでしまった。
私は何が何だかわからずにいた。
「ちなみにお母さんの名前は?」
「クライです」
「えっ!?!?!?」
ミル先生は固まった。
「まさか、モモコがずっと私にクライ先生のことを聞いてきたのは・・・」
「お母さんのことを知りたかったからです」
ここでミル先生の誤解が解けた。




