第七十六話 的
「今日の試験は、赤魔法を使って前方の的に命中させれば合格だ」
ジャック先生が試験内容を説明した。
「では、誰か一番にやりたい奴はいるか?」
「はい、私がやります」
手をあげたのは金パだった。
「よしじゃあ、やってみろ」
金パは的に手を向けた。
「ファイヤーボール!」
すると火の玉がまっすぐ飛び、見事命中した。
周りからは割れんばかりの歓声がおきた。
「さすがアンナだ。みんなも彼女を見習うといい」
ジャック先生がいう。
金パはどや顔をして戻っていった。
その後はまずカースト上位のおぼっちゃまたちから試験を受けた。
やはり、彼らは入学以前から魔法を習っていたらしく全員が合格していった。
「よし、次は誰が行く?」
ジャック先生が生徒を見渡す。
もう残っているのはカースト最下層の私たちだけだった。
「私が行きます」
隣にいたサラが手をあげた。
サラは的の前に立つと、ゆっくりと深呼吸した。
「頑張って」
私が小声でいうと、彼女は頷いた。
そして的に手をかざす。
「ファイヤー・・・ボール!」
サラの手から魔法が放たれた。
そしてそれはまっすぐに的に命中した。
それを見ていたジャックは驚いた様子だった。
たぶん身分の低い学生が合格するとは思ってもいなかったのだろう。
「つ、次は誰が行く?」
「私が行きます」
今度は私が手をあげた。
威力を最小にとどめて、ファイヤーボールを放った。
そしてそれは的の端をかすめていった。
下手を演じるのも難しい。
けれどこれで私とサラは試験に合格した。
金パの顔を見ると、彼女は機嫌悪そうにしていた。
ただ、後ろ盾がバラガンということだけあって、私たちに何かをすることは無かった。




