第七十二話 サラ
入学から一週間が経ち、クラス内のカーストがわかってきた。
私みたいなひっそりと暮らしたいタイプの人間は、カーストを見極めることが重要なのだ。
赤組のカーストは大きく三つに分かれる。
都の役人の子
↓
地方の役人の子
↓
商人、農民の子
こんな感じに。
まあ私は当然最下層だけど。
そんな最下層の中でも私に友達ができた。
彼女の名前はサラ。もちろんカーストは最下層。
「サラは試験の勉強どう?順調?」
私はサラに訊いた。
「うん」
サラはペンを滑らしながら頷いた。
試験の内容は筆記である。
「モモコは随分余裕そうだけど?」
「いやいや、そんなことない。私も焦ってる」
私は顔の前で手を振って答えた。
「余計なお節介かもだけど、あんまりいい点数取ると金パにまた嫌がらせされるよ」
金パとは、金髪クルクルパーマの略で、紅組のカーストの頂点に君臨するアンナのことである。
アンナの父親が都の相当なお偉いさんらしい。
「嫌がらせされても我慢する」
サラがいった。
「なぜそこまで試験でいい点を取りたいの?」
「それは両親に親孝行するため」
サラのその言葉は重みがあった。
「うちは貧乏なのに、両親は私がここに通うのも反対しなかった。だから私がこの学校を首席で卒業して、将来いい職について両親に恩返しがしたいの」
サラはとてもよく出来た子供だった。
「モモコの両親は反対しなかったの?」
「私の両親はもういないんだ」
「・・・ごめん」
気まずい空気が流れた。




