第六十四話 ラニーという女
ナザリアの娘はラニーといって、ナザリアと同じく長髪の黒髪少女だった。
「私は今日から一週間ラニーさんの家庭教師を務めるモモコです。よろしくお願いします」
作り笑顔を浮かべて私は挨拶をする。
「あなたが新人家庭教師?私と同い年くらいだけど?」
「はい、私も今年グリモワール学院を受験します」
「はぁあ!!なんで私が同い年から勉強を教わんなきゃいけないの!!今すぐ帰って!!あんたなんか首よ!!」
ある程度予想はしていたど、ここまでプライドの高い娘だとは思っていなかった。
そして私の嫌いなタイプだ。
けれど、すべてはバラガンの後ろ盾を得るためだ。
そのためになら私は泥水もすする覚悟である。
「まずは話だけ聞いてください」
「いいから黙って帰って!!」
「落ち着いてください。少しでいいので私の話を聞いてください」
「帰れっていったのがわからなかったわけ?あんたから勉強を教わるつもりはないわ!!」
ラニーとはまともに会話もできない状況だ。
だがここで引くわけにはいかない。
「ラニーさん、私は家庭教師ですが勉強を教えるつもりはありません。私はあなたを合格させるために来たのです」
この言葉にラニーは反応した。
「何言ってるの?意味わからない。家庭教師なのに勉強を教えないってどういうこと?」
ようやく会話が成立した。
私はこれがチャンスだと思ってたたみかける。
「ですから、勉強しなくても合格できる秘策を教えるのです。どうです?聞きたくありませんか?」
私はラニーの表情を見る。
彼女は判断に迷っている様子だった。
私はここでとどめの一発をお見舞いする。
「聞きたくないなら仕方ないです。どうぞ私を首にして試験勉強頑張ってください。では失礼します」
そういって私が部屋から出ようとした時、ラニーは声を発した。
「ちょっと待って!」
私は驚いた演技をして振り返る。
「わかったわ。今日からあんたを私の家庭教師にしてあげる」
「はい。よろしくお願いします」
「それで勉強しなくても合格できる方法を早く教えなさい」
私はその方法をラニーに教えた。




