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ただ想うは君のことと・・・  作者: 小柴屋 歩夢
一章
6/52

逆輸入車

 美菜さんを見てから、いつも何処かで、美菜さんを探している自分がいる。


 カズから少し聞いた話だと、美菜さんは普通科の1つ年上で、カズと同じ中学だったらしく、この辺が地元だった。


 思っていたよりも早く情報が入った。


 僕の高校は普通科と工業科が結構はなれている、工業科の僕が、普通科の美菜さんを見ることはあまりないと思った。 


 普通科を受ければよかったな、ただ美菜さんを少しでも見る機会が多いからと、少しそう思った。


 僕は地元から通える高校で、1、2番に学力の低い高校を受けた、その中で工業科は多分1番学力が低い、中学時代不良グループにいたからと言って、不良ではない僕は、普通に授業は受けていたし、中の下くらいの学力はあった。


 下の中の下に入らなくてもよかったのかもしれない、でも、この高校のこのクラスになった事に、全然後悔はなく、むしろ良かったと思っている。


 すでに溜まり場になっていたカズの家で、そんな事を考えていた。


 周りはバイクの話で盛り上がっていた。


「後3ヶ月もすれば俺はフェックスちゃんで来るからよ、カズバイク停めさせくれよ」


 左手でアクセルを回す格好をしてケン君が言った。


「ケン君、アクセルは右だよ」


 僕がつっこむと周りは大爆笑していた。


「バカ歩美、俺のフェックスちゃんは逆輸入だからいいんだよ」


 訳がわからないけど、やっぱりケン君は返しも面白い。


「そうだね」と笑って返した。


 この空間は好きだ、中学の時と周りにいる人は大分変わったが、僕の好きな空間がそこにもできていた。


 ジュンがまだ左手でアクセルを回し、ブンブーンと言ってケン君をからかっていた。


 その日の帰り道、いつものようにケン君と自転車で帰っていると。


「歩美お前好きな女できたんだって?」


 まだケン君には話してないが、どうせジュンあたりが話したんだと思った、別に隠しているわけでもなかったし、隠す事でもない。


「うん、できた」


 笑って返すと。


「そっかよかったな、女はよぉ気持ちでぶつかんだ、それだけでいい、わかったな」


「うん、わかったよ」


 まだ誰とも付き合った事のないケン君だけど、自称女心のわかる男だ。


「それと男が何とかって言うヤンキーなんだろ?何かされたら俺に言えよ」


「ありがとね」


 嬉しかった、何かされてもケン君に助けてもらうつもりも、誰かに言うつもりもなかったが、ケン君のその気持ちがすごく嬉しかった。


「ありがとね」ケン君には聞こえないくらいの声でもう一度呟いた・・・


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