硬いモノ
ドッドッドッドッ、気付きました?
僕、スティード買いました!アイボリーのスティード買いましたよ。
黒にしようか迷ったんだけど、アイボリーにしましたよっと、車なら絶対黒なんだけど、黒一択なんだけどバイクはね。
浮かれてそうですが、本当は全然元気がない、むしろ落ち込んでます、いや、落ち込んだ所を打ち込んだ感じ、美菜と連絡取れなくなりました。
告白した日から一週間以上連絡が取れない、電話をしても、居留守なのか、本当に居ないのか繋がらない、学校で見たとは聞くけど、僕は見ていない。
今と違って携帯がないからどうしようもない。
「どうした歩美、具合でも悪いの?」
「あージュンか、具合は全然大丈夫、たた病んでるだけ」
「美菜さんと何かあったか?」
「うん、連絡取れなくなった」
「うわっ重いヤツじゃん」
「そうそれ、重いヤツですよ、学校ですら見かけないし」
「でもこの前、華ちゃんと歩いてたから、学校には多分来てるぞ、一回ちゃんと話ししてみろよ」
「出会うことがあったらね」
「大丈夫だよ、話したくなったら俺が華ちゃんに言ってやるから」
「うん、ありがとね、でも怖くて話せないかも」
「まっ、その気になったら言えよな」
「うん」
連絡が取れなくなって時間が経つほど、会うのが、話すのが怖くなる、何て話しかければいいのか?何て言われるのか?想像だけが膨らんで、どんどん怖くなる。
もう夏も終わる、すぐに寒くなってきて、冬がくる、あと一回冬がくれば美菜は卒業だ。
このままじゃダメだよなと思いながら、びびって一歩踏み出せない、そんな弱い自分が嫌いだ。
「おい歩美、また花山来てるぞ、呼んでこいって」
「タカ君、俺は貝になりましたって言っといて」
「そんなこと言ったら、俺が何されるかわかんねぇだろ、ちゃんと伝えたからな」
「わかってるよ、行ってきますよ」
何だ、今度こそ殴られるか?今の僕は1発殴って貰った方がいいかもな、1発以上はダメですよ。
はぁ~貝になりたい、硬い貝、適当に言ったけど貝にでもなりたい気分、石でもいいか、何か硬い踏まれても、叩かれても大丈夫なものになりたいな。
そんな事を考えながら歩いて行くと、前回と同じ場所に花山さんがいた。
タンクトップにダボっとしたハーフパンツ、いやハーフよりも長い、そして前回と同じサンダル、オシャレ要素はゼロだ、僕が気付いてないだけかもしれないがゼロだと思う。
「お疲れです花山さん、呼びました」
「よぉ~歩美君、勉強してるか?またちょっと付き合えよ、コーヒーくらい奢るからよ」
拉致られました、2回目の拉致です・・・




