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ただ想うは君のことと・・・  作者: 小柴屋 歩夢
二章
23/52

僕は僕

 僕は、花山さんと別れて教室に戻ろうとしていた。


「林、調子はどうだ?よくなったか?」


 佐々木先生だ。


「調子はよくないけど、何ともなかった」


「また訳のわからないこと言うなぁ、そう言うの流行ってるのか?」


「そのうち流行るかもね」


「まぁいい、この後の授業はちゃんと受けろよ」


「うん、わかってるよ」


 教室に入った瞬間。


「歩美っ!」


 ジュンが叫んだ。


「大丈夫だったか?傷はなさそうだな」


 カズもタカ君も寄ってくる。


「よく無事に逃げて来たな」


「タカ君、別に逃げて来た訳じゃなよ」


「で、何だったんだよ花山さんは」


「美菜さんのこと」


「だから俺が最初に言っただろ、美菜さんはやめとけって」


「で、花山さんはどんな人だった?」


 ジュンが心配そうだ。


「ブスなイケメン」


「何だよそれ、まっ無事ならいいけど気をつけろよ」


 みんな心配してくれてたみたいだ、それがわかって少し気持ちが落ち着いた。


 僕は普段あまり怒らないからか、周りに八つ当たりするような人が嫌いだ、親に怒られた、友達や彼女と喧嘩した色々怒る理由はあるだろうけど、周りは無関係だ。


 苛立ちが周りに漏れる、僕なんか悪い事した?と聞きたくなるような人が嫌いだ。


「みんな心配させてごめんね、後ありがとねっ」


 だから僕は、周りに感情を悟らせないように心がけている、嬉しい、楽しいはまだいいとして、負の感情は見せないように、嫌いな自分が見られないように。


 2年生初日は、一日中何とも言えない気持ちで過ごした。


「お前今日、何とかって奴に捕まったんだって、大丈夫だったか?」


「ケン君情報早いね」


「ジュンがずっと、どうしようどうしようってテンパってたからな」


「そうだったんだ」


 今はケン君にバイクで送ってもらっている。


 前より行き帰りの時間は減ったが、その分ケン君と二人で話す時間も減った、そこは少し寂しい。


「で?どんな奴だった?殴られたりしなかったか?」


「殴られたり、脅されたりはないんだけど、むしろ殴られた方が楽だったって言うか」


「あ〜、あれか、いい男だったんだな?そりゃ厄介だな」


「顔はブスなんだけどね、それくらいしか文句言えなくて、それがなんかヤダかった」


「でも勝つんだろ?」


「うん」


「お前って頑固だもんな、あんまり欲しがらないくせに、欲しいものは絶対にって奴だよな」


「そうかな?自覚ないけど」


「まっ、俺が何言ったってお前の気持ちなんて変えられねぇし、お前が納得するまでやりゃいいけど、歩美・・」


「ん?何?」


「変わんなよ、お前のいいところは優しいところだ、変わんなよ」


「優しいかどうかは知らないけど、変わらないよ」


「ならいいけどよ、まっ頑張れよ」


「うん、ありがとねっ」


 僕は僕、変わるってなんだろう・・・








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