決定事項
2年生初日から最悪。
「急いで行った方がいいぞ、あいつ危ねぇから、後気をつけろよ」
「行くけど、別に急がないよ、お世話になったこともないし、会ったことすらないんだから」
僕は不良グループにいたからか、上下関係はしっかりしている方だと思う、挨拶はもちろん、呼ばれれば多少急いだりもする。
でも今回は、年は上でも知らない人だ、知ってはいても面識もない、上下関係どころか、会ったことすらないんだから関係がない人だ。
はぁ~、殴られるな、事故の傷も綺麗に治ったのに、はい元どおり、なんて笑えない。
「おい林、もう授業だぞ、どこ行くんだ?」
「先生おはよぉ、俺ちょっと具合悪くなるから、外行ってそのまんま、保健室か病院に送られると思うから宜しくです」
「何言ってるんだお前は?言ってることの意味がわからないぞ、大丈夫か?」
「うん、今はね、それじゃまた後で」
「あっああ、お大事にな」
今のは担任の佐々木先生だ、何気に先生とは、先生達とは上手くやっている。
普通科の先生と違って、工業科の先生はみんなフレンドリーだ、中にはかたい先生もいるが、それは1人か2人、だいたい優しく、みんながあまい、思春期の子達にはとてもいい学校だ。
校門を出た道の反対側にその人はいた、多分アレが花山さんだ。
武丸みたいなリーゼントで、(わからない人はググってね)ダボっとした服を着ている、身長は170ちょいくらいかな?そこにサンダル、寒そうだ。
顔は!うーんブス!?
想像したことはあるけど、想像とかけ離れていた、想像以上にブスだった。
「花山さんですか?歩美ですけど」
「ちょっといいか?とりあえず乗れよ」
グロリア、シャコタン、もうどっから見てもヤン車! 一つ上だよね?無免か、まっそれはいいけど、問題は顔だ。
コレはまずいと直感で思った。
イケメンだったら良かったのに、その方が勝ち目がある、ブスはダメだよ、それって中身がいいってことじゃん!
それか美菜さんがブス専なのか、それとも超武闘派が好きなのかわからないけど、中身だったらヤバい!
中身じゃない方に賭けよう。
みんなが多分授業を受けている時、僕は花山さんの車に乗った。
この後の展開に不安しかない、でもコレは美菜さんを見た日から覚悟していたこと、僕にとっての決定事項、海外逃亡はしない、そこに美菜さんは居ないから。
成るように成るさ・・・




