告白
「ねぇ、歩美君は何色が好き?」
「白と黒かな」
「ふーん、じゃあ、食べ物は?」
「カレーと肉」
僕達は今、人がほとんど来ないベンチで話しをしている、話しと言うか美菜さんの質問攻めだ。
「ふふ、意外と男っぽい物が好きなんだね」
「男の子だからね、カレーだったら毎日でもいいよ」
僕は偏食ではないが、好きな物なら毎日でも毎食でも食べられる、家族がそれについてこれないだけで、僕は平気だ。
「ふーんそうなんだっ、じゃあ好きな服は?」
「この服が好きって言うのはないかな、流行りとかもあんまりわからないし、見ていいなと思った物って感じかな」
「歩美君、オシャレ君だから、こだわりあるのかなと思ってたんだけどないのか、初私服だけど、歩美君学校でも制服ほとんど着てないでしょ」
僕の学校は学生服だ、でもこだわってるわけじゃないけど、上は私服で、下も学生服っぽい黒のパンツだった、学ランは年に2、3度くらいしか着た覚えがない。
それを誰も注意して来ないくらいゆるい学校だ。
「うん着てないね、こだわりはないんだけどね、でも人と同じはヤダかな、美菜さんは?服好き?」
「うん好き、雑誌とかもよく見るよ、じゃあ次っ、好きな人はいる?」
「美菜さん」
何の迷いもなく答えていた、緊張もなく、普通の会話のように、長く付き合った2人が、好きだよ、私も好きみたいな、自然な流れで美菜さんと答えていた。
「えっ!」
「俺の好きな人は美菜さんだよ、でも美菜さん彼氏いるでしょ、だから付き合ってとかは言わないよ、重くなってウザがられるのヤダし」
「彼氏いるの知ってたんだ、いつから知ってたの?」
「最初から、初めて見た日から知ってたよ」
「歩美君は優しいと思ってたけど、案外意地悪なんだね」
「だから、優しくないよって言ったじゃん」
「うん、言ったね、、、美菜も歩美君好きだよ」
キスされた・・・
「彼氏も好きだけど、歩美君も好きっ、だめ?」
「だめ?って聞かれればダメだと思うけど、俺は美菜さんが好きだから、今は2番か、3番か知らないけど、いつか1番になって、最後は俺だけを想ってもらえるようになるから、そしたら結婚してよ」
「あははっ、歩美君は本当面白いね、付き合ってトばして結婚してって言われたの初めてだよ、周りでも聞いたことないよ」
「結構本気で言ってんだよ、俺」
「そっかごめんね、うん、わかった、そうなったら結婚してね、それに美菜が好きって言ったのも嘘じゃないからね」
もう外は寒く、いつ雪が降ってもおかしくない、僕はそんな大嫌いな季節に、大好きな人に告白した。
痛くて、痛くて仕方ない恋だとは知らずに・・・
第1章 完




