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ただ想うは君のことと・・・  作者: 小柴屋 歩夢
一章
12/52

嫌いな名前

「だぁ~~はっはっはっ~、マジかよ」


 豪快に笑われた


「歩美、お前は俺がいないと学校も行けないのかよ」


「ちょっと考え事してただけ」


「右見て左見て、右見ろとは教わったけど、前見ろまでは教えてくれなかったからな!だっはっはっ」


「笑いすぎっ」


 確かに前見ろとは教わらなかった気がする、教習所から帰ってきたケン君に事故った事を話したらやっぱり笑われた。


 あの後だいぶ腫れた、右目がパンパンになった、よく目が大きいと言われるが、糸くらいしか目が開かなかった。


 腫れはひいてきたが目の回りの血が死んで、変色していた。


「まっその程度でよかったじゃねぇか、可愛い顔は台無しだけど、ブハッ、何その目だっはっ」


 しばらくいじられそうだな。




 僕達は休み時間の度にカズの家で一服していた、カズの家は本当に近く自転車で1、2分で着く。


 カズの親はさぞ迷惑だろうと思ったがそんな事もなく「歩くんちゃんと前見て運転するんだよフフフ」

などと、やな顔は見せずフレンドリーだ。


 そんないつもの休み時間の一服を終えて、教室に戻ると僕のクラスの前に美菜さんがいた!


 タカ君と話している。


「おお、歩美こいつ中学で同じクラスだった町田、でこいつが今のクラスメイトの歩美」


「どっどうも、歩美です」


「ふーん歩美君ってゆーんだ、変わってるけどカッコいい名前だね、美菜は美菜宜しくね」


「あっ宜しくお願いします」


 キーンコーン・カーンコーンチャイムが鳴った。


「じゃタカまたね、歩美君もまたねっ」


 突然だった、突然すぎた、よくわからないうちに、僕は美菜さんと知り合いになった、知り合いと言うか顔見知りくらいだけど、それでも会話した。


 町田マチダって言うのか、町田美菜マチダミナさんか。


「おい、歩美何やってんだよ、授業始まってるぞ」


「んっ!あっ!ああわかってるよダブリン」


「ダブリン言うなっ」


 廊下に立ったままだった、タカ君が呼ぶまで立ちつくしていた、ヤバい話しちゃったよ、しかもカッコいい名前だねだって、僕はこの名前が嫌いだ、名前だけ聞いたらまず女性だと思われる。


 よく女みたいな名前とか、変な名前と言われた、学校でやな事は何かと聞かれたら、自己紹介と言うだろう。


 病院でも何でも、名前を呼ばれる場所も嫌いだった、僕がもっと男らしい名前だったら、今よりは自己主張できる子だったと思う。


 自分から前に出れる子だったと思う。


 僕はこの名前が嫌いだ。


 でも今日、ほんの少しだけ、本当に少しだけこの名前が嫌いじゃなくなった・・・



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