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5(贈与)①

次の瞬間、目を開けると真っ白な場所に僕は立っていた。


僕の目の前に美しい装飾のされた大きな姿鏡が置いているだけの白い空間。


「え??」突然のことに驚き、次いで鏡に写った自分の姿を初めて目にした。


髪は黒の短髪。よくも悪くもないがスッキリした顔立。目だけは水色でよく映えていてその幼い顔から10歳くらいの印象だった。


「あれ??痛くない?」

脇腹に刺さっていたはずのナイフは無く、右腕の傷も消え血で汚れていた服も綺麗になっていた。


「傷なら治してやったぞ。」

さっきまで鏡以外は何もなかったはずなのに後ろから野太い声がした。


反射的に振り向くとそこには…



僕の身長の3倍はありそうな巨人がいた。

筋肉隆々の腕や足を見せつけるような太ももまでの長さの布の付いた胸鎧と兜を纏った巨人。

「おいおい、礼も無しか??」どこか不機嫌そうな声が頭上から響く。


「あ…ありがとうございます!」

「ふむ。当然だ。」


僕はいくつもの疑問が頭に沸いてきているのを無視して気になっていたことを問う。

「あの!側にいた男の子を知りませんか!?リヒトって言うんですけど!!」

「そやつなら無事だ。今は気を失っておるだろうが約束する。それよりも落ち着け。」

「よく聞け人間よ。ここは我が聖域。我が名は雷神ヨウィス。貴様の祈りを聞き届けた者だ。」


「雷神??…神??」その言葉に面食らう。だが、目の前の存在がただ者じゃないことは本能的に理解していた。


「うむ。そなたの名をきかせてもらおうか?」

「名前…名前は…わかりません…。自分のことについては何にも覚えてなくて…」

「むぅ…やはりか…なら、この我が直々に授けてやろう。…とりあえず、タマはどうだ?…それかポチはどうだ?」

「…お断りします。」…何故だろう?意味はわからないけどすごくバカにされた気がする。


「なにをっ!?よい名前かと思ったんだがな…」


名前…名前ねぇ…うーん……ふと頭によぎった単語は何故か「レオ」という単語。

「なら、僕は『レオ』でいいです。適当に頭に浮かんだのですけど…」僕の発言にヨウィス様は「面倒になってきたしそれでいいぞ。」と少し突き放すように答えた。…名前を付けるのを断られたことに怒ったのかもしれない。


「さて…名前も決まったからな。ふむ…レオ、ちょいと触れるぞ。」

ヨウィス様がそう言うと大きな手を僕の頭に触れた。


1、2分経った頃…その間1人うなずくヨウィス様。

その手が…そっと離れてその口を開いた。




「色々わかったが…順に話していくが途中で質問は挟むなよ?後である程度は答えてやる。」

僕はあえて口に出さずにうなずいてみせた。


「まずな・・・」



・・・・・・・・・・・


「とまぁ、とりあえずはこんな感じだな。」


僕がヨウィス様から聞いた話はまとめるとこんな感じだった。


「まず記憶は戻す方法はない。」

「頭の中にある知識はこの世界のこととは結び付かないことからここではない世界の知識だということ。」

「記憶は失ったと言うよりも僕の生きた時間という物自体を無理矢理に体と魂から引き剥がされたようだとのこと(ヨウィス様が言うには記憶とは魂に強く結び付いた物で魂の壁となる(生命力)役目を持っていて通常、人が死に生まれ変わる過程でそれらの記憶は流れ落ちていくものらしい)」

「魂と深く結び付き壁となっていた記憶を無理矢理剥がされた僕の魂はちぐはぐで知識以外は砂粒のような残滓しか記憶の欠片はなく、長く生きることは出来ないということ」


「そんな…」それを聞いた僕の中では絶望感しかなかった。

正直、知識のことは薄々変だとは思っていたし…だって『太陽』という物は空に浮かぶ1つだけだと頭では思っていたし『魔法』も『ゴブリン』もどんなものか理解できなかったから。

失った記憶を取り戻せないことよりも、なによりあの子リヒトと共に時を刻めないことに何故だか絶望感を感じていた。



「まぁ・・・記憶はともかく命の方はなんとかなるかもしれんがな。」

希望の言葉が僕の耳に届いた。

もっと早く進むはずだったのに・・・

徐々にテンポ良く進めるように努力しますので暖かく見守ってあげてください。

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