表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/167

ALC0298⇔驚天動地

 黄色いターゲットカーソルがモンスターを捕らえる。

 これが赤いカーソルに変化すれば、自身の持つ武器による攻撃範囲に敵が侵入したという合図となる。

 しかし錬金術師の装備は『腕輪』と呼ばれる非戦闘用の武器である。

 本来であればパーティを組まずに一人で戦闘をこなすなど自殺行為であるのだが――。


「数は……5体か」


 じりじりと距離を縮めて来るモンスターに対しターゲットカーソルを動かし数を把握する。

 カーソルの移動は右目のウインクで行うので、その間に空いた手でアイテムウインドウを開き、玉アイテムを選別する。

 アイテムウインドウは横一行に4つずつの並びになっているので、さきほど私は縦の1列に単体攻撃用玉アイテム、2列目と3列目に複数攻撃用玉アイテム、そして4列目に補助回復系玉アイテムを整理しておいたのだ。

 錬金術師専用のアイテムである『玉』は複数の敵に攻撃出来るものが多い。

 威力の高いものはその分、作成にも高いALCを必要とするが、高火力広範囲攻撃の『玉』は一撃必殺の破壊力を持つものがある。

 2人の錬金術師で協力して使用する超強力な玉なども存在し、最終的には錬金術師が全職業中最強の攻撃力を誇ることとなる。


 そしてもう一つの優位点――。


「よし……! 《驚天動地の神鳴玉》!」


 アイテムウインドウをタップし玉アイテムを具現化させる。

 そしてそのアイテムを、まだ黄色いターゲットが出たままのモンスターに向かい投げ付ける。

 

 もう一つの優位点とは、玉アイテムは黄色いターゲットの時点でも使用が可能ということだ。

 要は長距離からでも相手が目視出来れば使用可能なアイテムなのである。

 これは非常に使い勝手が良い。

 当然誰かに教えてもらった訳では無く、オフライン時代に地道に検証して知った内容なのだが。


 弧を描き、宙に舞った《驚天動地の神鳴玉》。

 システムにより自動補正された軌道は、決して的を外すことなく敵集団へと向かって飛んで行く。

 大丈夫。

 オフラインのときと基本的なシステムは全て同じだ。

 これなら臆することなく戦える。

 要はダメージを負わなければ良いのだ。

 その戦術を、今まで嫌というほど身に付けて来たのだから。


 ドン、という音と共に玉から巨人が出現する。

 そしてその巨人から発せられた叫び声は――。


『バカモーーーン!!』


 天地を揺るがすほどの大声が敵モンスターに襲い掛かる。

 出会い頭に咆哮を受けたモンスター達はたじろぎ、身動きが取れなくなっている。

 あれは状態異常の【スタン】が発生したのだろう。

 

 そして巨人はその場でしこを踏み、辺り一体に地震が発生。

 再び状態異常の【スタン】が発生し完全に動きが封じられるモンスター達。


「……巨人の咆哮具合をもう少し調整するべきだわ……。鼓膜が破れそう……」


 耳を塞ぎながら戦況をただただ見守る私。

 叫びながらしこを踏んでいた巨人は天に向かい両手を掲げ始める。

 右手には雷属性の魔法が集約され。

 左手には炎属性の魔法が集約される。


『最近の若者はーーーー!!』


 さらに咆哮を飛ばした巨人にたじろぐモンスター達。

 そう。

 この玉アイテムは『オリジナル錬金』で作り出した、私のオリジナルアイテムだ。

 そしてモデルとなった諺がある。

 地震、かみなり、火事、親父――。


『なんばしよっとかーーーー!! けしからんーーーー!!』


 叫びながら交互に雷を纏った拳と炎を纏った拳を振り下ろす巨人。

 モンスター達の頭上では『450』『520』『470』『580』といくつもの赤い数字が飛び交っている。

 まだ敵集団のステータスすら確認できていないのだが、恐らくはオーバーキルなのだろう。

 次からはもう少し弱い玉アイテムでも良いだろう。

 何が起こるか分からない世界なのだから、節約するに越したことは無い。


『おかーーーーん!! 早く帰ってきてけろーーーー!!』


 泣き叫びながらも攻撃の手を休めない巨人。

 

 私は背を向け、その場を後にする――。



◇◆◇◆



「えーと……。あ、あったあった」


 何度か戦闘を繰り返しながら、目的の食材アイテムを見つけ出した私。

 今までみたいに出来るだけアイテムウインドウいっぱいまで採集する必要も無くなった。

 食材アイテムもカテゴリーとしては『素材アイテム』のうちに含まれるので、水島の改造コードの無限増幅対象となる。

 なので1つだけ手に入れられればそれで良い。


 久々のフィールド探索で少し疲れた私は、近くの岩陰で休憩することにする。

 多少は気分が晴れたのかも知れない。

 やはり気分転換はどんなときでも必要なのだ。

 もう、こちらの世界に渡ったばかりのような鬱状態には戻りたくない。

 庵にも少しだけ逢えたのだし、気合を入れないと――。


ぐぅ――。


「あ……。お腹の音……」


 少し動いたからだろうか。

 空腹を知らせる音が私のお腹から聞こえて来た。

 今頃女神はビーフストロガノフ以外のおかずも用意してくれているのだろう。

 それを考えると余計お腹が鳴ってしまう。


「……生きている証拠よね。これって……」


 お腹をさすりながら、一人そう呟く。

 私は今、生きているんだ。

 確かにこの世界で、今ここで、生きている。


 まだまだ私がやれることは、いくらでも残っている。

 諦めることなんて、いつでも出来るじゃない。

 だったら最後まで足掻いてみせなさいよ、早苗――。


「……うっし! 帰ろう! お腹空いた!」


 パン、と両の頬を叩き立ち上がる。

 前方には図ったかの様に別のモンスター達の群れが見える。

 思っていたよりもモンスターの数が多い気がするのは気のせいなのだろうか。

 それとも情報屋から仕入れた情報が少し古いせいなのか……。


 私は再度ウインドウを開き、臨戦態勢に入る。

 戦闘経験を高めておいて損は無いはず。

 これからの事も考えて、様々な戦闘パターンを頭に叩き込んでおかなくちゃ。


「よし来いコノヤロウ! めっためたにしてやるんだからね!」



 私の少し嬉しそうな叫び声が、フィールドに木霊する――。


















 錬金リスト 《オリジナル錬金》 【驚天動地の神鳴玉】 ALC350 


 【錬金素材】

 岩石獣の硬尾(ロックデビル/rare)×3

 育毛剤(錬金アイテム)×1

 巨親父の赤いふんどし(グランドマン/rare)×3

 迅雷蛇の神鳴鱗(サンダースネイク/nomal)×12

 業炎土竜の紅い爪(ファイヤードッグ/nomal)×12

 【武器強化素材】

 なし

 【追加素材】

 育毛剤(強)(錬金素材)×1

 【錬金イメージ】

 地震、かみなり、火事、親父

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=670025474&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ