初めての料理
OFUSE始めました。
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ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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「指揮官より速報、4日目が終了した現在時点で我々赤陣営は241点、白陣営は87点、黒陣営が79点。全ての旗を譲り渡したとしても勝敗は決した。しかしながら、全力をもって敵を打倒する。消極的な策は取らない。あえて攻撃的に出る。既に食糧庫への襲撃は無意味だ。よって拠点の防衛を捨てて、攻勢に出る。目標には黒陣営も見据える。各人奮起せよ。ここからが本当の勝負だ」
ほう。勝ち確なのね。それで貢献度を取りに行ったのか。まあ、今更食糧庫を襲撃しても無意味だしな。こっちは守り切った訳だし。黒陣営は、そもそも食糧庫を必要としているのかが解らないからなあ。そっちの方はそもそも眼中に無かったわけなんだしさ。勝つことは当たり前だったんだから当然の結果というか。白陣営に注力するのも当然だよね。黒陣営に白陣営が負ける可能性があるんだけど、そんな事は知ったことではないし。自分たちが悪いんだしな。拠点を襲撃されることを見逃していたのはそっちなんだから。悪いのは自分たちである。その点に至らなかったのが運の尽きだな。
「勝ち確なのはいいとして、後は生産活動をどれだけするのかって話になってくる訳なんだけど、そこまで真剣にやらないといけないのかね? まあ、やるんだけど、ちょっと興味があるのが、普通の食事なんですよ。妖精って花の蜜だけで満腹度を回復できるので、普通の食事はしないんですけど、出来ない訳じゃないんですよね。だから、折角だから普通の食事をしてみたいなとは思ったんですが、ここで食べても良いものなのかと思って」
「いや、いいわよ? だって、妖精プレイヤーも普通に食べているんだし。まあ、量はどうなのかは知らないけど、普通に食事が出来るんだから、皆食べているわよ?」
「折角だから僕と一緒に食事に行ってみるかい? 料理人が作ったものも、結構おいしいんだよね。味覚も再現がかなりされているのか、美味しく感じられるよ。僕が思うに、ここのプレイヤーはミシュランの1つ星レベルはあるよ。前に接待で連れて行った店と同じくらいの満足度があるしね。ゲームなら太ることも考えなくていいから、積極的に食べた方がいいんじゃないかな。しかも医療モニターなんでしょ? 食べられない生活をしているんだから、美味しいものは食べた方が良いとは思う。味覚が余程変じゃなければ、美味しく感じられると思うしさ。どう? 一緒に行ってみないか? どうせタダなんだしね」
「折角なので食べに行きたいですね。エムリットさんお願いします」
「それじゃあ食事に行って来るよ。ちょっとゆっくりしてくるかもしれない」
「ええ。問題ないわ」
そんな事で、ゲーム内で初めて、食事を食べます。蜜玉は食事というか、必要だから食べているだけだからな。何というか、義務感? 最近のは甘味があって美味しいけど、始めの事を思えばな。味の無くなったガムをひたすら噛んでいるような感じのものもあるし、まあ、色々とあるんだよ。でも、カロリーは正義な訳だ。俺にとっては経験値だからな。食べ物を食べて経験値を得られるんだから、結構食べた方がいいんじゃないか。そう思えてくる。
それに、興味がない訳でもない。ミシュラン1つ星といっても、ミシュランに選ばれるだけでも凄い事なんだよな。それだけ美味しいって事なんだろうし。残念なことに、ミシュランなんて知らない世界だ。ブラック企業戦士の俺にとっては、ただのカロリーですら重要だったからな。何度カロリーメイトに助けられたことか。カロリーメイトと水で何度飢えを凌いだことか。その経験が活きる事なんて殆どないんだよなあ。そもそも食事を楽しむなんてことも少なかったのかもしれない。下手をしたら、大学の学食が最後なんじゃないだろうか。食事に時間を取ってこなかったからな。
「どうも。2人前頼めるかな? こっちは1人は妖精なんだけど、1人前欲しいんだ。なんでも、このゲームに来てからまともな食事を取ったことがないらしいんだよね。だから腕を振るってもらえると嬉しいかな」
「マジかよ。このゲームって食べ物は美味しいから、是非とも味わってくれよな。俺もエルフだから、エルフの町で料理人をやっているんだ。まだ自分の店は持ててないが、その内持つ予定だからな。機会があったら食べに来てくれよな。それに、食事は楽しまないと損だぞ。満腹度の回復っていう義務感で食事をするんじゃなくて、楽しんで食事をしてくれよな。俺は料理人としてそう思うんだ。ただの回復アイテムじゃないんだよ。味わって食べな。今から作るからよ」
「お願いします。今までは甘い物しか食べて来てないので、別の味の方がいいですね」
「解った。それ以外はおススメで構わないか?」
「僕はおススメで。アレンさんはどうする?」
「俺もおススメで」
「任せな! 12番で待っててくれ」
食事を楽しめ、か。今までは満腹度の回復と経験値でしか考えてなかったな。そうか。そういえばもう、外の食事も出来ない状態なんだったな。だったらゲームで食事を楽しんでも良いのかもしれない。幾らデータだからって、食事な事には変わりがないからな。何かしらの再現をしているんだろうし、美味しい食事か。興味がないと言えば嘘になる。楽しい食事なんて何年ぶりだろうか。ちょっと思いだせないかもしれない。本当に学食が最後かな?
「あいよ。チャーハン、ラーメン、餃子のセットでどうだ? けっこうチャーシューがおススメだぞ。魔物肉って案外美味いんだよ。だから比較しやすいのを作ったつもりだ。中華は得意じゃないってんなら別のを作るが」
「いえいえ、大丈夫です。……どうやって食べようか?」
「さあ? そこまで考えて作ってねえからな。でも、他の妖精の奴らも似たような感じだけどな。食事量はかなり少ないが。1人前って言えば、この位だろ?」
「それは太っている人基準じゃないかな。少なくとも僕は、現実世界ならラーメンだけで十分だよ。ゲームだから食べれるけどね。カロリーも気にしないで食べれるし、太らないからね。こういうのは、ゲームならではだよ。さあ、食べようか」
そもそもスプーンも端もフォークも持てない件。まあ、チャーハンから食べるか。妖精サイズだと、米粒が巨大だな。食べられないことは無いが。それでは、頂きます。
「……おお。感動だ。ゲームの外のチャーハンよりも美味く感じる。まあ、美味しいチャーハンを知らないってだけなのかもしれないけど、少なくとも今まで食べたチャーハンで最高の味だよ」
「お? 嬉しいねえ。沢山食べなよ! じゃあまたな!」
「沢山は、どうなんだろうね? 食べられそうかい?」
「さあ? 何処まで食べられるのかは解らないけど、とりあえず残さないことを前提に食べようとは思う」
「それだと体よりも沢山食べることになるんだけど……。まあ、良いか。ゲームだしね」
そうしてチャーハンを平らげ、ラーメンを汁まで飲み尽くし、餃子6個をぺろりと食べてしまった。多分、普通はそんなに食べられないはずだ。妖精の大きさの量しか入らないはずだ。だけど、俺には暴食のスキルツリーがある。胃袋も拡張しているし、消化吸収も早い。更にカロリーから経験値を得られるから、本当にどれだけでも入るんじゃないかな。というか、食事でレベルが上がってしまったくらいには経験値が入ったことになる。これは積極的に外食をした方がいいんじゃないかな。美味しい物も食べられるし、経験値にもなる。こんなに沢山食べたのは初めてだけど、まだ余裕があるような気がするし。




