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契約事


「婚約者さん……ね。無事だよ無事。ちゃんと生きてる。怪我もしてない」



 悪魔は今まで以上にいい加減な態度で返答をしてくる。



「俺はどこにいるのかと聞いたんだ」


「ここにはいないっと言ったはずだが?」


「はぐらかすな。明確に場所を言え。コテージで俺達と過ごしていたラクレームは本人だった。ならば、ラクレームと貴様が入れ替わったのは盗賊が襲ってきて、レジェスさんが助けを呼びに行ったタイミングだ。この森のどこかにラクレームはいるんだろう?」


「ほぼ正解。頭いいな」


「いい加減に答えろ」


「……分かったよ。うるさい奴だな」



 悪魔は両手を前に突き出すと、一瞬の瞬きの間に悪魔の手の中に横たわるラクレームが現れていた。



「っ!? ラクレーム!!」


「うるさい。寝ているんだから寝かせてやれ。そういう気遣いは大事なんじゃないのか……ああ、そうだ。どこにいるのか答えてやらないとな。俺の腕の中だって」



 状況的には最悪になっている。

 これではラクレームは人質状態だ。いや、最初から人質だったのだろう。



「さっき敵対はしていないと言っていたが……何が望みだ」


「望み望みね……えっと、何だったか」



 悪魔は何かを思い出すように首を捻って考え始めた。隙があればラクレームを助け出したいが、悪魔の両手で体を抱えられているので難しい。



「あー、そうだそうだ。今後の人生を俺に捧げろ」


「なんだと?」


「体をよこせって意味じゃない。今後の生き方を全て俺の指示通りに生きてもらう。公爵家だからな。お前の動き次第で国を滅ぼすことも出来るだろう」


「随分と回りくどいな。国を滅ぼすのなら、お前の実力だけでも出来るんじゃないか」


「出来るかもな。だが、返り討ちに会う可能性もある。一人一人は俺より弱くても数十人、数百人が集まるとどうなるか分からんからな。そんな危険を犯すくらいなら、影からこっそりと滅ぼしてやろうと計画しているわけだ」


「……望みを聞いたら、ラクレームを開放するか」


「別に今も拘束しているわけではないが、約束はしよう。この子には何もしない。家まで怪我一つなく帰すと。悪魔は約束事、契約は守る。だが」



 急に悪魔の声が低くなり、真面目な口調になる。



「覚えておけ。悪魔との契約した相手も絶対に契約を守らなくてはいけないということを。後で反故にすることは許されない。契約を破った場合、当人だけでなく、周辺の人間、子々孫々まで呪い尽くす」


「悪魔と契約することが、どういうことかは調べて知っている」



 悪魔の情報については儀式の本を手にしたから調べたというわけではなく、俺の転生に悪魔が関わっている可能性があるかもしれないという考えから調べていた。

 そこで得た知識としては悪魔はその個体により力の上下はあるが、共通しているのは契約については絶対厳守の理があるとのことだった。


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