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安否

「あはははっ、すまないすまない。からかうのが楽しくてな。気分が高揚しているんだ」



 悪魔が空を仰いた瞬間に駆け出す。

 狙いの首筋に向けて剣を振り抜く。



「くっ!」



 振り抜いた剣は空を斬る。振り抜いた剣の軌道のわずか外では悪魔の笑顔があった。



「本当に躊躇がないな。その決断をその歳で出来るとは褒めてやろう。何度も死地を経験してきた騎士かと思うほどに剣先に殺気が宿っていた」



 余裕を見せる悪魔の顔面を叩き斬るために上段から斬りつけるが、再びギリギリでかわされる。

 攻撃の手を休めること無く、連続して突きを繰り出すが、胴体を狙っても顔を狙っても、ほんの僅か距離をずらされてかわされてしまった。



「いい腕だ。騎士とかになるのならば良い地位まで上り詰めそうだな」


「公爵家の嫡男が騎士になるものか!」


 

 問答の合間にも攻撃を繰り返す。

 斬撃、突き、時折混ぜた打撃、全て間合いが見抜かれていた。



「当たらん当たらん。今までお前が盗賊達と相対してきたのを見ていたからな。動きは完全に分かっている」



 息を整えるために一旦距離を取る。

 悪魔は息一つ乱さずに、その場で一回転している。



「盗賊達を操って、けしかけたのは俺の動きを見るためか。手間のかかることをしたな」


「盗賊達についてはお遊びだよ。予想以上にお前が強かったのは驚いた。これは本当だぞ。怪我の一つくらいはすると思っていたのに」


「お前が操っていなかったら、もう少し手強かったかもな。動きは読みにくかったが、動き自体は遅かったぞ」


「そこが外から操るの面倒なところだ。どうしても反応が遅れてしまう。完全自動にして動きを良くすることも出来たが、それだと簡単にお前を倒せてしまいそうだったのでな。そうなるとつまらない」


「操り人形のように感じたのはそのせいか」



 今まで起こった状況を整理しながら、打開策を考える。

 動きを完全に読まれてしまっている以上は、このまま攻撃を続けても俺の体力が先に突きてしまうだろう。


 

「何を悩んでいるか知らんが、無駄だからやめておけ。そもそもだ。なぜ攻撃してくる。俺は別にお前と敵対しているつもりはないぞ」


「……ラクレームはどこにいる。彼女が無事だと分かったのなら、少しは話を聞いてやる」



 悪魔が何を考えているのか分からないが、国を一つ滅ぼす可能性があるという存在を放置することは出来ない。

 とはいえ俺一人では倒すことは難しい。場合によっては逃げることも考えている。

 逃げる場合の最低条件はラクレームの安否だ。彼女の安全が確保出来なければ逃げることは出来ない。


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