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不気味な盗賊達

 森の中、馬を走らせていくと、道の先で武器を手にした三人の男達と馬車が視界に入ってきた。

 俺が近づいていることに気付いた男達はそれぞれの武器を俺に対して構えた。



「お前達が盗賊か!!」



 向かい撃たれている俺は馬を加速させると手にした剣で突き出された攻撃を捌いて、盗賊達の間を駆け抜けた。

 駆け抜けるとすぐに反転して盗賊達と向かう。



「ラクレーム……女の子はどうした?」



 俺の質問に言葉で答えるのを拒否するように盗賊達は武器を馬上の俺に向けてくる。



「答えるつもりはないのか」



 盗賊達をよく見ると、全員、目の焦点が合っておらず、どこか惚けているような表情だった。しかし、武器はまっすぐに俺に向けられており、すれ違いざまの攻防は確実に俺の命を狙っているモノだった。


 狭い森の中の道で馬上は逆に不利だと判断して馬を降りる。



「私が誰かを知って襲っているのか。ラクレームについてもそうだ。騎士団が動き出すぞ」



 定番の脅し文句を言ってみる。公爵家である俺と俺の婚約者が襲われているのは騎士団が動く事態としては十分だ。徹底的に追い詰められて、殲滅させられるだろう。



「……」



 しかし、脅し文句に対して盗賊達は一切の反応を示さない。動じていないのではなく、聞こえていないような態度だ。


 不気味だ。


 一刻も早くラクレームを保護して、この森から抜け出さなくてはいけない。

 俺は盗賊達に注意しながらラクレームが森の中をどこへ逃げたのか、手がかりが無いか探す。

 道の右側の茂みが踏み荒らされているのを見つけて、ラクレームが右側の方へ逃げた可能性が高いと判断すると山賊達に斬りかかった。

 盗賊達を無視して森の中へラクレームに探しにくと背後から襲われるために、ここで倒しておく必要があった。


 正面の盗賊と剣を交差させた瞬間、前蹴りを繰り出して盗賊の体制を後ろへと崩す。俺はそのまま勢いを殺さずに前へと進み、体制が崩れた盗賊の胴体を突き刺す。

 突き刺されてもなお、盗賊は苦痛の声一つ上げない。


 不気味さが増す中でも攻防は続き、俺の背後を狙って、残りの二人の盗賊が剣を振り下ろしてくる。

 右手で剣を後ろへと振り抜いて、盗賊達の剣を弾き飛ばすと左手で盗賊達の頭部へ向けて、風魔法のコム・ウィンドを連射する。

 頭部へそれぞれ数発のコム・ウィンドを打ち込まれた盗賊達は吹き飛ばされて、森の木に激突して動かなくなった。


 

「なんなんだ……。こいつらは」


 

 痛みに対する反応がない不気味さを振り払って、俺はラクレームが逃げたであろう茂みの奥へと駆け出す。

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