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高速魔法式3

 トルテが俺と距離を取るために離れていく。トルテが立ち止まった位置はトルテの表情が分からなくなるくらいには遠目だ。距離を取ってくれたのは、一応の配慮だろう。


 距離を取って、すぐに魔法が打たれるのかと警戒していたが、トルテは一度立ち止まった後で、屈伸や体を伸ばすなど準備運動をするような動作を始めた。


 トルテが上体を上に伸ばすような動かした時、コム・ウィンドが放たれた。

 警戒を解く一瞬前に魔法が放たれたことでなんとか反応出来た俺は教わった魔法式に従い、コム・ウィンドを放ち、迎撃した。


 俺が迎撃出来たのを見て、トルテは大きな動作で舌打ちをしていた。声は聞こえてこないが、俺への悪態を言っていることは想像できた。



「不意打ちがすぎるぞ!」



 これくらいの不満はいいだろうと大声で叫ぶ。



「顔面にブチ込むつもりだったから、不意打ちでいいのよ!」



 トルテが若い頃はわりと暴力寄りの傾向だったのは覚えているが、これほどまでだった記憶はさすがにない。ラティウスの前では抑えていたのだろうか。



「きちんと反応して、高速魔法式も使えたんだからいいじゃない」



 素直に納得することは出来ないが、俺が覚えている高速魔法式と今、教わった高速魔法式を使えば、コム・ウィンド以外の魔法も現在の魔法式に比べて、高速に使用することが出来そうだ。トルテにも俺が覚えている高速魔法式を教えたい気持ちはある。が、この魔法式はいずれトルテが独自で辿り着く結果だ。教えてしまうとトルテの成長を奪ってしまうことになるだろう。



「……」


「それ以上、文句がないなら続けるわよ」


「は? 続ける?」


「当たり前でしょ。修練なのに一回だけで終わらせるわけないわ。私もせっかくだから、色々試してみたいし。昨日の実践で分かったこともあるし」



 俺が続けて反論を言う前にトルテは俺へ向けて腕を伸ばした。



「じゃあ、行くわよ」



 コム・ウィンドの他に、炎魔法であるクライム・ファイヤが同時に高速で飛んできた。

 高速魔法式による魔法の同時使用。

 コム・ウィンドを一つ迎撃するのに精一杯だったのに防げるはずがないと俺は横に回避する。



「避けるな」


「避けるに決まっているだろ。二つ同時にどうしろというんだ」


「防御魔法でも貼ったら?」


「間に合わないだろ!」


「高速魔法式を使えばいいじゃない」


「防御魔法に転用はまだ難しいのを分かって言っているだろ」


「ええ。というか防御魔法の高速魔法式を使えたら、本気でキレてた」



 理不尽が天井知らずだ。

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