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高速魔法式2

 魔法は魔法式を頭に思い浮かべ、式に魔力を流し込むことで使うことが出来る。

 言うのは簡単だが、実際に行うとなると最初は特に難しい。魔法の式を正確に思い浮かべなくてはいけないので、うろ覚えや間違いがあると、魔法が発動しなかったり、暴発する危険がある。熟練されれば、ほぼ無意識に式を思い浮かべることが出来て、発動までの隙は無くなる。


 この時代で普及している魔法式は簡素化されており、使い勝手が向上している。そのため、ある程度の才能があれば、数時間で使用が出来るようになっている。


 だが、今、トルテが黒板に記述している魔法式は複雑だ。俺が生前に教えてもらい、なんとか使っている高速魔法式はだいぶ簡素だ。


 複雑なのは、まだ研究段階だからだろう。複雑になっている式を必要最低限に簡素化し、誰でも使用出来るようにするのは、並大抵の努力ではない。



「これが今、私が使っている高速魔法式よ。分かる?」


「……なんとかな。だが、質問がある」


「どうぞ」



 トルテの高速魔法式を教えてもらいながら、曖昧な箇所について質問を行っていくうちに、同じような言葉でやり取りをしたことがあったのを朧気に思い出す。その時は今ほど知識が無かったので、変な質問をして、トルテを怒らせていた覚えがある。



「正直、イラついてる」


「なんだ、急に?」



 今回は変な質問はしていないはずなのに、トルテが不機嫌になってしまったようだ。



「この高速魔法式は私が独自で考えだしたモノなの。私の癖とか入っているし、まだこの学校で教えてない知識も入ってる。理解出来るのは現役の宮廷魔法使いでも難しいだろうって考えてたわ。それなのに……この短時間でほぼ理解されたみたいで、イラついてる。この式、私が考えてるほど、難しくない?」


「十分に難しいから、安心しろ」



 理解出来たように見えているのは、俺が未来の知識として既に知ってるせいだ。本来であれば、この時点でトルテの高速魔法式を理解出来る人はほぼいないだろう。

 トルテの魔法の才能は並ぶ者がいないほどだ。下手に自信を失うようなことになって欲しくはないので、どうにかして励ましたい。



「私が理解出来るのは才能があるからだよ。フォレノワール公爵家長男として当然のな」


「その言い方で、もっとイラついてきたわ」



 グリオットとして何を言っても、逆効果な気がしてきた。


 励ます役目としてはラティウスか、トルテの父親が適任だろう。ラティウスは遠方で修行中であり、俺から何か出来ることはない。出来るとすれば、宮廷魔法使いであるトルテの父親になる。公爵家の力で会うくらいは可能だろう。その時に娘を褒めるように、間接的に進言が出来るかもしれない。



「イライラの解消のためにも、さっそく実践よ。今からあんたに向けてコム・ウィンドを撃つから、防ぎなさい」


「おいおい、まだ式を見ただけだぞ。練習をさせろ」


「練習が必要ないくらいに理解出来てるでしょ」



 魔法に関して実力を見抜く才能もトルテは天才だ。俺の実力について質問を受けながら、ほぼ察したのだろう。



「これ以上、理解される前に、あんたの顔面に一発くらい撃ち込んでおきたいのよ」


「……」



 暴力的すぎるトルテの言動に俺は顔を強張らせた。

今の流れ的に

主人公であるグリオット(元ラティウス)が間男的な動きをしてしまっている

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