表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/213

事件後の学校2

 学校の授業が進み、昼休みになったので俺は先日、フレス達がいた貴族専用のテラスに足を向けた。

 テラスには複数人の見た覚えがある貴族の生徒達がいたが、肝心のフレスの姿はなかった。座っている貴族の生徒達は妙にソワソワしている様子で落ち着かない様子だ。



「先輩方、こんにちわ」


「ひぃっ!?」



 普通に声をかけただけなのに、貴族の生徒達は怯えたような声を上げる。



「どうかしましたか?」


「君はフォレノワール家の……」


「グリオットです。少し会わないだけで忘れてしまいましたか?」


「い、いや、公爵家の君を忘れるなど、そんなことはないよ」


「それは安心しました。ところでフレス先輩が見当たりませんが……」


「……」



 フレスの名前を出すと、貴族の生徒達は皆、項垂れて口を閉ざしてしまった。

 昼休み前にマチェス達にフレスのことで何か新しい話は無いかを聞いてみたが、特に学校内で噂になるようなことは無いようだった。



「フレスさんは家の事情で少々ね……しばらくは学校に来れないかもしれないんだ」


「それは残念です。先日の件がどうなったのか、お聞きしたかったのですが。ほら、皆さんと一緒にフレス先輩の別荘にお邪魔した時にしていた件です」


「っ!? グリオット君、その話は学校ではしないでくれ」


「これは失礼を。確かに公の場で話すことではありませんでしたね」


「そうだよ。君がいくら公爵家とはいえだ」



 今まで会話と態度から、この貴族の生徒達はかなり不安を感じていることが分かる。

 フレスを始め、ケスター家に何が起こっているのかを知っている様子だが、この場で聞き出すのは難しい。後でアントルに調べてもらい、事情を聞くのが妥当そうだ。

 ただ、フレスが学校に来れない程度には忙しいということだけは間違いない。



「なあ、ケスター家はもうダメだろうし……この機会にフォレノワール家に」



 アントルに調査依頼をする方法を考えていると、目の前にいる貴族の生徒達からそんな呟きが聞こえてきた。



「今、何かおっしゃいましたか?」


「い、いや、なんでもないよ……そうだ、食事に来たんだろう? 美味しいメニューを教えるよ。ささ、座りたまえ」


「ありがたい申し出ですが、今日は友人達と食事の先約がありまして。ここにはフレス先輩に一言と顔を出しただけなのです。申し訳ありませんが、これで失礼します」



 俺は公爵家に擦り寄って来そうな雰囲気を出していた貴族の生徒達を背にそそくさとその場を立ち去った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ